ランキングデスゲーム〜辛くて拡散希望、生き残りたいです〜

みにぶた🐽

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第V部:視聴率の地獄

第28章 「もう止められない」

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午前11時。

ホール内の狂気は臨界点に達していた。

視聴者数は400万人を突破し、コメント欄は制御不能な興奮状態にあった。一晩で100万人も増加している。世界中の人々が、この地獄の配信に釘付けになっていた。

『やばすぎるwww』
『もっと過激に!』
『誰が次に死ぬ?』
『看守2人だけとか神企画』
『止まらない止めるな』
『歴史に残る配信』

俺は看守席に座りながら、状況の完全な暴走を感じていた。もはや誰も制御できない。視聴者の狂乱、参加者の絶望、そして俺自身の感情すらも。

五十嵐龍之介は血まみれの指で壁一面に「ごめんなさい」を書き続けていた。もう文字の意味すら失っている。純粋な行為の繰り返し。人間性を完全に放棄した証拠。

「次は誰に命令しますか?」五十嵐が血文字を書きながら俺に向かって言った。「僕はもう人間ではないので、どんな命令でも出せます」

囚人たちの状況は悲惨だった。

宝生朱音は変形した顔から血を流し続け、「死にたい、殺して」と繰り返している。白鷺小夜は感染症で高熱を出し、意識が朦朧としている。安堂圭吾は精神的に完全に破綻し、虚ろな目で宙を見つめるだけ。雪村颯汰は元看守としての屈辱で打ちひしがれ、宍戸昴は密閉装置のPTSDで震えが止まらない。

そして、コメント欄の要求は止まらない。

『もっと残酷な命令を』
『全員まとめて命令出せ』
『看守同士で競争しろ』
『殺し合いさせろ』
『最後の一人まで見たい』

機械音声が響いた。

「視聴者からの特別リクエストが多数届いています。『連続命令モード』を開始します」

画面に新しい表示が現れた。

『連続命令モード』
『制限時間30分間で可能な限り多くの命令を実行』
『視聴者投票により最も評価された命令の看守が勝利』
『敗者は即座に処刑』

俺の血が凍った。ついに俺たち看守同士も競争させられることになった。

五十嵐龍之介が興奮した表情を見せた。「素晴らしい!これで僕の真価を発揮できます!」

コメント欄が爆発した。

『看守対決キター!』
『どっちが残酷か勝負』
『#07 vs #08』
『ついに最終局面』
『これは歴史的瞬間』

視聴者数が450万人に達した。

「制限時間開始」機械音声が告げた。

五十嵐龍之介が即座に立ち上がった。

「雪村颯汰!宝生朱音!白鷺小夜!3人同時に私の前に這いつくばって謝罪しろ!お前たちが惨めであることを大声で叫べ!」

3人は震えながら従った。「すみません…僕たちは惨めです…」

コメント欄が興奮した。

『#08容赦ねえ』
『まとめて命令えぐい』
『人間やめた効果すげえ』

俺は躊躇していた。これは本当に正しいのか。だが、躊躇すれば俺が処刑される。

俺は決断した。

「安堂圭吾。お前は葛城翼の死で精神を病んだ。その痛みを利用する。宍戸昴の前で、葛城翼がどれほど無意味な死を迎えたか、詳細に語れ」

安堂圭吾の顔が絶望に歪んだ。「そんな…翼を冒涜するような…」

「命令だ」俺は冷徹に言った。「従わなければ、お前も同じ目に遭う」

安堂圭吾は泣きながら話し始めた。友人の死への冒涜的な言葉を強制され、彼の精神はさらに破綻していく。

コメント欄が反応した。

『#07も覚醒した』
『心理戦の天才健在』
『友人の死を利用とか鬼畜』

五十嵐龍之介が次の命令を出した。

「今度は全員で輪になって、互いの最も醜い部分を告白し合え!制限時間5分!」

囚人たちは泣きながら従った。互いの醜さを暴露し合い、人間としての尊厳を完全に破壊されていく。

俺も負けじと命令を出した。

「宝生朱音。お前の変形した顔を鏡で見ながら、自分の美しさを褒め称えろ。10分間続けろ」

宝生朱音は血を流す顔で鏡を見つめ、震え声で「美しい…私は美しい…」と繰り返した。その光景は地獄そのものだった。

コメント欄は狂乱状態だった。

『やばすぎる』
『もう人間じゃない』
『でも止められない』
『どっちが勝つかな』
『これ配信史上最高』

15分経過。俺と五十嵐龍之介は互いを意識しながら、さらに過激な命令を競い合った。

「全員で私の足を舐めろ!」五十嵐が叫んだ。

「互いの傷口を舐め合え!」俺が命じた。

囚人たちはもはや人間ではなかった。命令に従う機械と化し、自己を完全に失っていた。

そして、俺自身も変わっていた。

競争の興奮、権力の陶酔、他者を支配する快感。これらの感情が俺を支配していた。

25分経過。

五十嵐龍之介が最後の命令を叫んだ。

「全員で死んだ仲間の名前を呼びながら踊れ!死者を冒涜するダンスをしろ!」

囚人たちは泣きながら踊った。「蒼依…凛…翠…天馬…翼…千景…」死者の名前を呟きながら、その死を愚弄するような踊りを強制された。

俺は最後の命令を出した。

「全員で俺に感謝しろ。この地獄を与えてくれてありがとうと叫べ」

「ありがとうございます…この地獄を…ありがとうございます…」囚人たちの絶望的な叫びが響いた。

30分終了。

機械音声が結果を発表した。

「視聴者投票結果。五十嵐龍之介:52%、緋村陸翔:48%。五十嵐龍之介の勝利」

俺の心臓が止まりそうになった。4%差で敗北。つまり、俺が処刑される。

五十嵐龍之介が血まみれの手を叩いて喜んだ。「やりました!人間をやめた甲斐がありました!」

コメント欄が興奮した。

『#08勝利!』
『#07処刑決定』
『まさかの逆転』
『最後まで分からなかった』

機械音声が告げた。

「緋村陸翔。処刑を開始します」

その時、俺は立ち上がった。

「待て」

ホール内が静まり返った。

俺は囚人たちと五十嵐龍之介を見回した。そして、配信カメラに向かって話し始めた。

「視聴者の皆さん。俺たちは何をしているのか、分かっているか?」

コメント欄が混乱した。

『#07何してる?』
『最後の悪あがき?』
『何か始まった』

「俺たちは人間だった」俺は続けた。「みんな、普通の人間だった。それが今では、互いを苦しめることでしか生きられない怪物になっている」

五十嵐龍之介が興味深そうに見つめた。「何を言ってるんですか?もう遅いですよ」

「遅いかもしれない」俺は認めた。「だが、最後に一つだけ言わせてくれ」

俺は囚人たちに向かって言った。

「お前たちは俺の命令に従った。五十嵐の命令にも従った。だが、それは恐怖からだった。本当は、全員が生きたいと思っていた。人間として生きたいと思っていた」

雪村颯汰が涙を流した。「陸翔…」

「だが、この檻の中では、人間らしく生きることは許されない。俺たちは娯楽として消費されるだけだ」

俺は視聴者に向かって最後の言葉を発した。

「視聴者の皆さん。あなたたちが求めているのは、本当にこれなのか?人間の尊厳を完全に破壊することなのか?」

コメント欄が分裂した。

『#07正論』
『でも面白いから見てる』
『偽善者』
『感動した』
『もう遅い』

機械音声が冷たく響いた。

「感動的な演説でした。では、処刑を開始します」

俺は微笑んだ。

「そうか。もう本当に止められないんだな」

俺は最後に振り返った。囚人たちの顔、五十嵐龍之介の冷たい目、そして配信カメラ。

「せめて、俺だけは人間として死のう」

処刑装置が作動を始めた。

だが、その瞬間、予想外のことが起きた。

視聴者数が突然、200万人減少した。

機械音声が慌てたように響いた。

「視聴者離脱を確認。緊急事態です」

俺の最後の演説が、一部の視聴者の良心を呼び覚ましたのかもしれない。

だが、それでも200万人はまだ見続けている。

狂気は止まらない。

もう誰にも止められない。
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