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憂い
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(このままでは…この国は終わる…)
彼は月を見上げながらこの国の明日を憂う
彼は「慎」(しん)。 若き志士である
彼がこんなにもこの国を憂いているのには理由があった
この「燦の国」は古来より外界の文化を極力入れず、独自の文化を作って発展してきた。
しかし、時は流れ他国が「自分たちを受け入れろ」と迫ってきているのだ。「燦の国」が持つ豊富な資源を手に入れようとしている。外界との接触がほぼなかった燦の国は外の世界がどれほど進んでいるのかを目の当たりにし、これからのこの国の行末をどうするべきなのかバラバラになっていた
特に外界の軍事力は凄まじもので諸外国が本気を出せばこの国など跡形もなく滅ぼされてしまうだろうと誰もが確信を持った。
慎は燦の国の良さ。「美しい自然」「雅な芸術」「この国だけの独自の文化」。そういったものを残しつつ外界を少しずつ受け入れるべきだと考えていた。というよりも「受け入れなければ滅ぼされる」と感じていた
諸外国が言うことの聞かないこんな辺境の小さい国を潰さない理由がないからだ
(早く落とし所を見つけなければ全て「潰されて」しまう。この国の文化も思想も…俺たちが「大切」だと思っているもの全て…) 慎は苦い顔をする
(それなのに…この国は…)
燦の国は大きくはないが、それぞれの州に分かれている。全部で十二州だ。それぞれに独自の文化があり、それ故に相入れないところもある。今までも何度も大なり小なり争いがあり、血を流してきた歴史がごく最近まである。
諸外国がこの国を乗っ取ろうとしているというのに内輪揉めばかりしているそんな状況に慎はため息をつく
国を開くべきだと言う「開国派」
外界など絶対に入れるべきではないとする「鎖国派」
話し合いなどまとまるわけもなく、時間だけが無駄に過ぎて行く
(だが、俺だけが騒いだところで何も変えることなどできない。どうすればいい?このままでは国の中で戦いが起こってしまう…)
そんな思いを抱えながら慎の夜は深まって行く
次の日
こんにちは、慎。いる?
と玄関から聞こえた
彼女は鈴(りん)
慎の幼馴染で恋人だ
ああ。鈴。いらっしゃい。
国のことを考えていても彼女を目にすれば心が安らいだ
またそんなに難しい顔をして…眉間に皺が寄ってるよ?
…そうか?そんなつもりはないんだが。
慎は苦笑いをする
…あまり、遠くへ行かないでね
鈴が小さく呟く
え?悪い。聞こえなかった。
何でもない。何も言ってないから
鈴は少し悲しそうに言う
ねえ。少し歩かない?今日は仕事はお休みって言ってたし集会とかないんでしょう?
……
慎?
あ、そうだな。今日は何もないから。歩こうか。
慎の心はここに在らずだった
しかし鈴は何も言わない
彼がどんな思いでいるのかがわかっているから
二人は小さい頃からよく遊んだ野原へと来た
ここは変わらないよね
そうだな
慎も少しだけ元気になったよに見えた。見せているだけなのかもしれないが。
もし…
鈴は少し不安そうに慎に問いかける
もし、国がこのままの状態なら…ここが外国に奪われたり…そうじゃなくてもここが戦場になったりしちゃうの…?
彼女も不安なのだ
政治的なことはよくわからなくても「大切な場所」がなくなってしまうかもしれないということは肌で感じている
このままなら…そうかもしれない。
だけどそうならないように、俺たちの勢力が他の州を説得してみせるから
慎は強い眼差しで答える
うん…‼︎そうだよね‼︎それにみんな…この国の人たちだって喧嘩したい訳じゃないはずだもん
鈴はなんとか笑顔を見せる
二人の逢瀬も終わり慎は家へ帰った
(しかし、どうすれば…先生も行き詰まっているし)
彼の師「劉」(りゅう)は誇り高い志士であり「早急に国内が力を合わせるべきであり、諸外国の良い部分を取り入れ燦の国をより発展させ強くする。それこそがこの国を守る剣となり盾となる」と唱え続けている
慎もその考えに賛同し、この5年何とか他州と協力できないかと奔走していた
しかし現実は甘くはなかった
彼は月を見上げながらこの国の明日を憂う
彼は「慎」(しん)。 若き志士である
彼がこんなにもこの国を憂いているのには理由があった
この「燦の国」は古来より外界の文化を極力入れず、独自の文化を作って発展してきた。
しかし、時は流れ他国が「自分たちを受け入れろ」と迫ってきているのだ。「燦の国」が持つ豊富な資源を手に入れようとしている。外界との接触がほぼなかった燦の国は外の世界がどれほど進んでいるのかを目の当たりにし、これからのこの国の行末をどうするべきなのかバラバラになっていた
特に外界の軍事力は凄まじもので諸外国が本気を出せばこの国など跡形もなく滅ぼされてしまうだろうと誰もが確信を持った。
慎は燦の国の良さ。「美しい自然」「雅な芸術」「この国だけの独自の文化」。そういったものを残しつつ外界を少しずつ受け入れるべきだと考えていた。というよりも「受け入れなければ滅ぼされる」と感じていた
諸外国が言うことの聞かないこんな辺境の小さい国を潰さない理由がないからだ
(早く落とし所を見つけなければ全て「潰されて」しまう。この国の文化も思想も…俺たちが「大切」だと思っているもの全て…) 慎は苦い顔をする
(それなのに…この国は…)
燦の国は大きくはないが、それぞれの州に分かれている。全部で十二州だ。それぞれに独自の文化があり、それ故に相入れないところもある。今までも何度も大なり小なり争いがあり、血を流してきた歴史がごく最近まである。
諸外国がこの国を乗っ取ろうとしているというのに内輪揉めばかりしているそんな状況に慎はため息をつく
国を開くべきだと言う「開国派」
外界など絶対に入れるべきではないとする「鎖国派」
話し合いなどまとまるわけもなく、時間だけが無駄に過ぎて行く
(だが、俺だけが騒いだところで何も変えることなどできない。どうすればいい?このままでは国の中で戦いが起こってしまう…)
そんな思いを抱えながら慎の夜は深まって行く
次の日
こんにちは、慎。いる?
と玄関から聞こえた
彼女は鈴(りん)
慎の幼馴染で恋人だ
ああ。鈴。いらっしゃい。
国のことを考えていても彼女を目にすれば心が安らいだ
またそんなに難しい顔をして…眉間に皺が寄ってるよ?
…そうか?そんなつもりはないんだが。
慎は苦笑いをする
…あまり、遠くへ行かないでね
鈴が小さく呟く
え?悪い。聞こえなかった。
何でもない。何も言ってないから
鈴は少し悲しそうに言う
ねえ。少し歩かない?今日は仕事はお休みって言ってたし集会とかないんでしょう?
……
慎?
あ、そうだな。今日は何もないから。歩こうか。
慎の心はここに在らずだった
しかし鈴は何も言わない
彼がどんな思いでいるのかがわかっているから
二人は小さい頃からよく遊んだ野原へと来た
ここは変わらないよね
そうだな
慎も少しだけ元気になったよに見えた。見せているだけなのかもしれないが。
もし…
鈴は少し不安そうに慎に問いかける
もし、国がこのままの状態なら…ここが外国に奪われたり…そうじゃなくてもここが戦場になったりしちゃうの…?
彼女も不安なのだ
政治的なことはよくわからなくても「大切な場所」がなくなってしまうかもしれないということは肌で感じている
このままなら…そうかもしれない。
だけどそうならないように、俺たちの勢力が他の州を説得してみせるから
慎は強い眼差しで答える
うん…‼︎そうだよね‼︎それにみんな…この国の人たちだって喧嘩したい訳じゃないはずだもん
鈴はなんとか笑顔を見せる
二人の逢瀬も終わり慎は家へ帰った
(しかし、どうすれば…先生も行き詰まっているし)
彼の師「劉」(りゅう)は誇り高い志士であり「早急に国内が力を合わせるべきであり、諸外国の良い部分を取り入れ燦の国をより発展させ強くする。それこそがこの国を守る剣となり盾となる」と唱え続けている
慎もその考えに賛同し、この5年何とか他州と協力できないかと奔走していた
しかし現実は甘くはなかった
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