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◆本編◆
episode.005 救出作戦会議
しおりを挟む「此所も安全とは言えないし……、フラクちゃんが大丈夫ならアタシの大陸に来ない?」
「えっ?いいんですか、迷惑に……」
「別に大丈夫だよ、ウチの側近達なら何かあっても倒せるだろうしね?」
ククルは戻ってきたレーヴェを見てから、フラクの方を見ればフラクは泣きそうな顔をしている。
「ありがとうっ、ククルさん……本当は、一人で怖くてっ……」
「うん、もう大丈夫だから」
「主~、偵察とかしておく?」
「ん、可能ならやってくれる?」
「任せておきー、ちゃかり偵察しておくわ」
レーヴェはククルに笑いかけてから、その場から音も気配も無く姿を消し去る。
ククルはフラクを連れて、転送石を使って拠点への屋敷前に戻ってくると目が笑っていないが微笑んでいるヴェニタスが立っていた。
「あ、ヴェニタス」
「“あ、ヴェニタス”じゃないで?マスター?なーに、勝ってな行動をしておるねんっ!?あれほど、勝手に行動をするなって言ったやんっ!?」
「ごめんごめん、他の人材とか欲しかったから“商人交易都市”に出向いていただけだよ~?」
ヴェニタスはククルの左腕を掴み自分の懐へと引き寄せては、優しく抱きしめるとククルの頭を優しく撫でる。
「心配したんやで、俺は」
「……ごめん」
「また、喪うんじゃないかって思ったんやからなっ?」
「ん……」
書き置きぐらいは、今度から残そうとククルは考えた。(いや、違うからね!?そういう、問題の話じゃないって!)
「んで、後ろにいる子は?」
「あ、彼女は……」
ククルがヴェニタスに説明をしていると、ノルンが大量の素材を手押し車に乗せて歩いて戻ってくる。
「んじゃ、フラクに任せればいいんじゃない?丁度、喫茶店とかやっておったんなら出来るやろうし」
「えっ?わ、私が……?」
「そうだね、そういう経験者がいるなら宿屋と酒場について頼もうかな」
「いいのっ!?」
ククルはメニューパネルを出して、開拓アイコンに触れるとポイントが“12,000”になっているのを気付いた。
どうやら、フラクが入ったからなのか“2,000ポイント”が含まれたようだ。
「んじゃ、まずは“宿屋”の規模をどうすかを決めないとね」
「な、なら……中規模でいいと思いますよ?酒場も、どちらかと言うと中規模のが扱い易いですし」
「ん、わかった」
ククルは“宿屋兼酒場(中規模).5,000ポイント”のを選ぶと、入り口付近の所に工房の時と同じように建設される。
これで、今のところは大丈夫だろう。
「よしっ、ヴェニタス!ノルン!ちょっと、屋敷の方に来てくれる?“商人交易都市”について話し合いたい事があるの」
「おん、大丈夫やで」
「ふふっ、私も大丈夫だよ~」
*
屋敷の少し広い部屋に集まったククル達は、再びフラクから“商人交易都市”の現状について話を聞いている。
「レーヴェを呼んだのかよ……」
「しょうがないでしょ?ヴェニタスとノルンは、ダンジョンの探索で不在だし?そうなると、戦闘面で一番いいのがレーヴェだったわけだから」
「むー……狡いやん、アイツ」
明らかにヴェニタスは不機嫌になっているのは、ヴェニタス自身がレーヴェに対して好感が持てていないってのもあるが、自分のマスターを取られているのが一番気に食わないってのもあるようである。
「むー……」
「ほら、作戦会議をするんだから」
「ふふっ、ヤキモチ妬いてー?」
「うっさいわ、ノルン」
「何や、ヤキモチ妬いておったん?ヴェニタスの旦那」
「げっ……」
いつの間にか窓枠にレーヴェが座って、此方を見ては可笑しそうに笑っている姿がありヴェニタスは嫌そうな顔をしている。
「主ー、褒めてや!あの屋敷の地図を確保してきたんやで?」
「流石、レーヴェだね」
レーヴェは嬉しそうな笑みを浮かべながらも、ククルへと近寄り少し屈んで頭を差し出せばククルはレーヴェの頭を優しく撫でる。
「~♪」
「んじゃ、この地図を確認しながら作戦を考えようっか」
「そ、そうですね……」
レーヴェから貰った地図には屋敷の3階までと、地下2階までの内容が書かれていて地下2階の奥の方にある地下牢屋に、赤い丸で囲まれていた。
「主、其処の赤い丸が“前ギルドマスター”が幽閉されているみたいや」
「結構、入れ組んだ屋敷内部だね……これは、表側で暴れながらも陽動作戦をしてもらって裏側から地下に向かって救出ってのが一番無難?」
「そうやな~、暴れるなら俺がやるで?ってか、久々に暴れたいんや!」
レーヴェは恍惚な表情をしながらも、手で遊んでいた投げナイフを触れていてククルは苦笑いを浮かべながらも、軽く引いていた。
「じゃあ、表ではレーヴェに思う存分に暴れて目立ってもらおっか」
「イヒッ……、楽しみやわ」
「派手に暴れて、屋敷を壊したりとかするなで?マスターや俺らが、中にいるんやからな」
「当たり前やわ、それぐらい」
レーヴェとヴェニタスは互いに睨みながらも笑っていて、ククルは二人の様子を見ては色々と不安になっているが二人の実力は知っているので、一応多少なりとは安心しているつもりでもある。
「んじゃ、決行は“真夜中”だね」
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