8 / 13
◆本編◆
episode.008 ねじれて染まる記憶
しおりを挟むククル達はガレスの執務室へと案内されて、ククルはガレスの治療を行いながらもカナタについての話をしていた。
「じゃあ、カナタは“神皇国”の皇太子として迎え入れられたって事?」
「ええ、そうですよ」
「へぇー、まぁカナタなら色々と出来るから当たり前って言えば当たり前かな?」
“神皇国”。
言わば“ゲーム開始時の共用拠点”とも言える場所でもあり、閉じ込められた際に一番世話になった都市とも言えるだろう。
あの後にカナタが再建のために残り、皇太子という立場となり国を導いてくれているようである。
「んで、ガレスさんは“商人交易都市”の管理をカナタに頼まれたっと」
「あぁ、まぁ……頼まれて間もなく“リコール事件”が起きたんっすけどね」
「どんまい」
ガレスは灰皿を出しては、自分の机に置いて引き出しから煙草が入った革製のケースを取り出し、煙草を一本だけ出すと側にあったランタンへと近付けては火をつけると口に加える。
「んで、さっきの“ラムダ”だっけ?アイツが、カナタじゃなく何故ククルさんを狙っているのかって話っすよね」
「あ、うん……」
「そっちの旦那達も知っているっぽいけど、此方が話しても大丈夫っすかね」
「おん、いずれは話すつもりやったから追加があれば話すで」
「分かりましたっす」
ガレスは灰皿に煙草の灰を落としてから、軽く背伸びをして“ラムダ”について話を始める。
「ラムダの目的は、詳しくは分からんけど……カナタからの話だと、ラムダはククルさんを狙っているって話について詳しくは聞いたんっす」
ガレスは煙草を咥えながらも、当時カナタから聞いた話は半分は有り得ないと考えていて受け入れていなかったが、今回の事やラムダのククルに対しての剥き出した感情を読み取り、カナタが言っていた事が事実何だと判断した。
「カナタからの話を聞いた時、ラムダは前にククルさんに助けられてからククルさんに対して執着を始めたって言ってたんっすよね」
「助けた?……………あぁっ!そういえば、始めたばっかりの子を助けた事があったような?確か、私が“戦闘職”の時だね」
「え、主って“戦闘職”だったん?」
「そういえば、マスターは最初の頃は“魔騎士”に“暗殺者”だったなー」
「えー、旦那知ってたん?ずるーいぃ……」
ククルは当時の自分が“戦闘職”だったのを思い出しては、今の自分とは違ったスタイルで戦っていてソロだったのを思い出していた。
“戦闘職”として活動している中で、確かに初心者を一人助けた事が一度だけあるのは覚えている。
それが、多分ラムダだったんだろう。
当時、その初心者に色々とレクチャーをしたのも自分でも驚いたぐらいだった。
元々、群れて行動をするというのが苦手だったからだ。
「まぁ、ヴェニタスと組んでからは色々と考えたりカナタに振り回されたりとしてきたら……マルチも悪くないって考えたのと、とある出来事で戦闘職を辞めてからは会って居なかったような気がする」
「その間は、カナタがラムダの対応をしてくれていたみたいっすよ?まぁ、どういう対応をしていたのかは知らんけど」
「そっか、あの時の子だったんだ……」
“先生っ!”って、凄く慕われていて何処に行くにも必ずついてきたり呼び出しが会っても、凄い早さで慌てて来てくれていたのは覚えている。
でも、当時のラムダとは何処か何かが違っていた。
多分、別れを告げた時に彼の身に何かがあったのは確かなのだろう。
「もうちょっと、違う別れ方をしていたなら彼は違ったのかな」
「それは、違うで?マスター」
「え?」
「アイツは、当時からマスターに対しての執着は異常だったのは確かな話やで?アイツは、影からマスターを孤立させようとしていたのは確かな事や」
ヴェニタスは苦虫をつぶしたかのような表情をしては、当時のラムダの行動などを思い出していた。
他のプレイヤーが、ククルにパーティーの誘いをしようとするとラムダは影ながらも排除していたのだ。
それは、ヴェニタスが買い出しをククルに頼まれて市場に向かった時に聞いたラムダの言葉は、“先生に近寄るな、近寄るならテメェらを殺すから”である。
「他者と関わるマスターを嫌っていた、あのクソ野郎は」
「そうっすね、カナタからの話も同じように言ってたっす……あれは、“狂った粛清者であり狂信者”でもあるって」
「………そういえば~、あのラムダって人が帝国の話を出してましたねー」
「今後、何かしらで関わってくるのは確かな話だと思うっすよ」
ククルは何とも言えない表情をしては、あの時共に落ちた際にヴェニタスに呼ばれる声と共に別の声が聞こえていたのだが、それが何だったのか未だに思い出せない。
(あの時の声は、なんて言ってたのか………なんというか、思い出したら、いけないような気がする)
「さて、ロイドの処遇について決めないとアカンっすね」
「あ、そういえば」
「あ、治療は私がやっておいたよーますたぁー」
「あ。ありがとう、ノルン」
「本人を此方に呼びますので、ちょっと待ってて~」
ノルンが執務室から出ていこうとすると、扉を開けた先にはロイドが包帯だらけで立っていた。
next
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる