6 / 52
第六話 武勇伝
しおりを挟む
オレたちが寮に戻るとオレの机に小さな箱と手紙が置いてある。
(なんだ? 手紙は親父からだけど、箱?)
とりあえず手紙を読む。
『はーい、おひさ、パパだヨーン。
ユーヤ元気かい。
パパは元気に国民の税金で夜面白おかしく飲み歩いてまーす』
こいつ一国民としてマジでなぐりてーな。
『で本題、その世界についてわかったことを伝える。
その世界は異世界と言うよりは異星らしい』
なに!?
『地球より遥か遠くにある星なんじゃないか、というのが最近の研究でわかったことだ。
まあ、だからどうしたと言うわけではないがとりあえず伝えとく』
まあな、それでどうなるわけでもないし......
『PS、魔法を使った特殊なスマホを送りました。
メールしか遅れませんしタイムラグがありますが、それでバッチリ君の近況を伝えてね。
バイバイマイサン』
「スマホ......」
箱を開けてみると、たしかにスマホが入っていた。
メールだけは打てそうだ。
(メール機能だけじゃほとんど使いもんにならんだろうが。
要するにこっちの情報を送ってこいってことだろ......
めんどくさいな)
「親父さんなんだって」
「まだムダに生きてるってさ」
オレはあきれながらザインに答える。
「それにしてもあのエルフ、何者なんだろうね。
結構強い魔法を使ってたし冒険者かな」
「さあな、まあかわいかったが......
そんなことよりホラこれ、バジリスク売ったらこんなにもらえたぜ!」
リビィにそう言うとザインは袋をあけ魔法銀貨を机にジャラジャラと出した。
「400はあるんじゃない......
ボムボム亭のパン何個買えるのかな......」
ゴクリと喉をならしてリビィいった。
この世界の貨幣価値はまだよくわかってないが、魔法がかかった銅貨、銀貨、金貨が流通している。
混ぜ物をしているらしいが不正を防ぐために魔法がかけられているのだという。
銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚の価値だ。
小さなパンが銅貨1枚で買えるから、だいたい100円とすると、銀貨1枚1万円、つまり400万円ぐらい手に入れたぐらいになる。
(まあ学生で400万は大金だな)
「よし! 三等分だ!」
「やった!」
「まて、あのエルフのこの分も分けないとダメだろ」
オレがそう言うと二人は絶望的な顔をした。
「い、いやホラあのこはいないしさ......な」
「そ、そうだよ。
もう会わないかもしれないし......」
「ダメだ。
あのエルフのこのおかげで死なずにすんだんだ。
また一緒に依頼《クエスト》にいってやるから、あのこの分は分けとけ」
オレがいうと、哀しそうに二人はうなずいた。
「わかった......
でも約束だからな!
次も依頼《クエスト》に付き合えよ!」
「そうだよ! 付き合ってよね」
オレがわかった、わかったというと、二人は笑顔で自分のお金を懐にしまった。
次の日の朝学園に行くと、周囲がざわついている。
(なんだ...... みんなこっちを見てくるな......)
「おい、あいつだバジリスク倒したってやつ」
「あいつって留学生の異世界人だろ」
「なんだ異世界人ってそんな強いのかよ」
(そうか、昨日のこと広まってんのか......
ただ勘違いされてるみたいだけど......)
そう思っていたが、女子たちがこっちを見て手を振って笑いかけてくるから、悪い気はしなかった。
教室に入ると、リビィ、ザインがみんなに囲まれて机に立ち上がってる。
「バーン!!」
「と、その時ユーヤの魔法が腹で爆発!
バジリスクは倒れたのでした!」
オオーと歓声があがった。
(あいつらのせいか!)
オレが入ってきたことに気づいたみんなはオレを囲む。
「バジリスク倒したんだってな!」
「すごいね! やっぱり異世界魔法?」
「俺にも見せてくれよ!」
みんなに言われる。
「たまたまだって、四人でギリギリ倒せただけだから......」
みんなの質問に何とか答えて席に着く。
「おいザイン! どういうことだ」
「いいだろ、事実なんだから。
名をあげるためさ」
「冒険者はね。
名があがると、指名が入ることがあるんだ」
リビィが答える。
「指名?」
「ああ、より報酬のいい仕事《クエスト》が名指しで入るんだ。
お前は元々有名人だから名があがれば依頼も増えるぜ」
「勝手なことを......」
オレはあきれていったが、ちやほやされるのは悪くはなかった。
その時先生ともう一人が教室に入ってくる。
その姿に教室がざわめく。
「おいおい、嘘だろ」
「かわいい、始めてみたわ」
「あれって......」
オレたち三人は顔を見合わせる。
教室に入ってきたのはあのエルフの少女だった。
(なんだ? 手紙は親父からだけど、箱?)
とりあえず手紙を読む。
『はーい、おひさ、パパだヨーン。
ユーヤ元気かい。
パパは元気に国民の税金で夜面白おかしく飲み歩いてまーす』
こいつ一国民としてマジでなぐりてーな。
『で本題、その世界についてわかったことを伝える。
その世界は異世界と言うよりは異星らしい』
なに!?
『地球より遥か遠くにある星なんじゃないか、というのが最近の研究でわかったことだ。
まあ、だからどうしたと言うわけではないがとりあえず伝えとく』
まあな、それでどうなるわけでもないし......
『PS、魔法を使った特殊なスマホを送りました。
メールしか遅れませんしタイムラグがありますが、それでバッチリ君の近況を伝えてね。
バイバイマイサン』
「スマホ......」
箱を開けてみると、たしかにスマホが入っていた。
メールだけは打てそうだ。
(メール機能だけじゃほとんど使いもんにならんだろうが。
要するにこっちの情報を送ってこいってことだろ......
めんどくさいな)
「親父さんなんだって」
「まだムダに生きてるってさ」
オレはあきれながらザインに答える。
「それにしてもあのエルフ、何者なんだろうね。
結構強い魔法を使ってたし冒険者かな」
「さあな、まあかわいかったが......
そんなことよりホラこれ、バジリスク売ったらこんなにもらえたぜ!」
リビィにそう言うとザインは袋をあけ魔法銀貨を机にジャラジャラと出した。
「400はあるんじゃない......
ボムボム亭のパン何個買えるのかな......」
ゴクリと喉をならしてリビィいった。
この世界の貨幣価値はまだよくわかってないが、魔法がかかった銅貨、銀貨、金貨が流通している。
混ぜ物をしているらしいが不正を防ぐために魔法がかけられているのだという。
銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚の価値だ。
小さなパンが銅貨1枚で買えるから、だいたい100円とすると、銀貨1枚1万円、つまり400万円ぐらい手に入れたぐらいになる。
(まあ学生で400万は大金だな)
「よし! 三等分だ!」
「やった!」
「まて、あのエルフのこの分も分けないとダメだろ」
オレがそう言うと二人は絶望的な顔をした。
「い、いやホラあのこはいないしさ......な」
「そ、そうだよ。
もう会わないかもしれないし......」
「ダメだ。
あのエルフのこのおかげで死なずにすんだんだ。
また一緒に依頼《クエスト》にいってやるから、あのこの分は分けとけ」
オレがいうと、哀しそうに二人はうなずいた。
「わかった......
でも約束だからな!
次も依頼《クエスト》に付き合えよ!」
「そうだよ! 付き合ってよね」
オレがわかった、わかったというと、二人は笑顔で自分のお金を懐にしまった。
次の日の朝学園に行くと、周囲がざわついている。
(なんだ...... みんなこっちを見てくるな......)
「おい、あいつだバジリスク倒したってやつ」
「あいつって留学生の異世界人だろ」
「なんだ異世界人ってそんな強いのかよ」
(そうか、昨日のこと広まってんのか......
ただ勘違いされてるみたいだけど......)
そう思っていたが、女子たちがこっちを見て手を振って笑いかけてくるから、悪い気はしなかった。
教室に入ると、リビィ、ザインがみんなに囲まれて机に立ち上がってる。
「バーン!!」
「と、その時ユーヤの魔法が腹で爆発!
バジリスクは倒れたのでした!」
オオーと歓声があがった。
(あいつらのせいか!)
オレが入ってきたことに気づいたみんなはオレを囲む。
「バジリスク倒したんだってな!」
「すごいね! やっぱり異世界魔法?」
「俺にも見せてくれよ!」
みんなに言われる。
「たまたまだって、四人でギリギリ倒せただけだから......」
みんなの質問に何とか答えて席に着く。
「おいザイン! どういうことだ」
「いいだろ、事実なんだから。
名をあげるためさ」
「冒険者はね。
名があがると、指名が入ることがあるんだ」
リビィが答える。
「指名?」
「ああ、より報酬のいい仕事《クエスト》が名指しで入るんだ。
お前は元々有名人だから名があがれば依頼も増えるぜ」
「勝手なことを......」
オレはあきれていったが、ちやほやされるのは悪くはなかった。
その時先生ともう一人が教室に入ってくる。
その姿に教室がざわめく。
「おいおい、嘘だろ」
「かわいい、始めてみたわ」
「あれって......」
オレたち三人は顔を見合わせる。
教室に入ってきたのはあのエルフの少女だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』
公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル!
書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。
旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください!
===あらすじ===
異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。
しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。
だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに!
神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる!
※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい
※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております
※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる