異世界の果てで教師になる(私)~教わることしかできなかった私の授業録~

曇天

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第九話「縁が導く新たな旅路」

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(これで大丈夫だろう...... よし、このまま帰るか) 

「あの......」   

 いつの間にか後ろに少女がいた。

「ひっ!」

「あ、あの、すみません。 助けていただきありがとうございました」

 少女は頭を下げた。

(ゴブリンたちの存在をしられてはいけない)

「いや、たまたまここにいただけだけど、なにかあったのかな?」

「いえ、先程のあのものたちを追い払いましたよね。 あの長い棒で複数の人がいるように見せた......」  

(な、なぜそれを......)

「ここには一人しかいなかった。 私は一族の中でも特に鼻がきくのです」 

「......一族?」

 そういうとその姿をかえる。

「えっ!? 犬」

 そこにいたのは美しい毛並みの白い犬のような顔をした姿だった。

「いえ、私は人狼《ライカンスロープ》。 亜人種族です。 名前はリオネ」

「......ライカンスロープ」 

(そういえばそんな種族もあるってビケルさんが言っていたな)

「ああ、そうなんですね」

「やはり、驚かれませんね。 その服についたにおい、人のものじゃない」

 リオネは海のような青い目でこちらをみた。

「い、いや...... あの」
 
「大丈夫、別に敵意はありません。 ですので話してはいただけませんか。 なぜ人間のあなたが亜人種族をしっているのかを」

(どうする...... ゴブリンたちの敵対種族の可能性もある...... 知られれば、襲われるかも、いやただ話はできる。 今はゴブリンたちも強い。 ここは対話の道を模索するべきか)

 そう何度も考えてリオネに事情を話すことにした。


「えっ!? ゴブリンですか!」

 リオネは戸惑うように答えた。

「ええ、それほどおかしいですか?」

「は、はあ、他の亜人種族なら、人間にもメリットはあるのですが...... ゴブリンたちは文化度も低く、なにか資源をもつわけでも武力があるわけでもない。 人であるあなたがゴブリンたちと共に行動する理由がない」

「まあ、最初は助けてもらった恩ですが。 能力が低いわけでも性格に問題があるわけでもない。 貧しいのは環境がそうさせているだけ、その性格は優しく真面目で正直だと私は思います」

「......仮にそうでも、彼らとあなたが行動する理由には、ならないのでは?」 

 納得できないようでそうリオネはきいた。

「せっかく知り合えた縁なのです。 それは大切にしたい。 それだけでは、理由になりませんか?」

「い、いえ、そんなことは......」

「それで人狼《ライカンスロープ》のあなたがここにいるのは、なぜですか?」

「ええ、少し...... いえ、縁というならばお願いを聞いていただけますか?」

「お願い、聞くだけならば...... できることならですが」
 
「実は......」

 リオネから話を聞いた。


「ここがゴブリンの集落...... いえ、村ね」

 リオネは興味深そうにそういった。 もはや人間の村と変わらぬ暮らしにリオネは驚いている。

 ゴブリンたちは人狼《ライカンスロープ》が怖いのか、距離をとっている。

「大丈夫、彼女は危害を加えたりしないですよ」

「そうですか......」

「それで、人狼族が、ここになんのごようですか先生」

「えっ? ゴブリンたちが言葉を流暢にしゃべっている?」 

「ああ、私が教えているんだ。 もし他の種族や人間と話すことがあるときに有効なようにね」

 そう、少しずつ、私の知っていることを可能なかぎり伝えている。 ゴブリンたちは物覚えもよく、会話なら流暢にしゃべられるようになっていた。

「私の知るゴブリンとはちがうわ」

 リオネは更に目を丸くして驚いた様子だった。


「人狼族のリオネどのですか。 私はこの集落の長、ビケルともうします」

 そうビケルさんはリオネを快く迎えた。

「はい、ビケルさん」

「それでこちらにはなんのご用で?」

「実は、彼、ケイどのにお話しをしたところゴブリン族の手を借りたほうかよいときき、参ったしだいです」

 そういって丁寧に、彼女はビケルさんたちゴブリンに事情をはなした。

「なるほど、それでケイどのはどうされるおつもりですか?」

「それですが、人狼族との交流のきっかけを作ってくれるとのこと。 それにこの問題、ゴブリン族にも遠からず関係するかもしれません」

「......ふむ、確かに、他種族の問題に首を突っ込むのは危険ですが、今後のことを考えればということですね」

「いかがでしょう」

「ゴブリン族の利益もそうですが、その話、とてもかわいそうですね。 何とかしてあげたいが...... 皆はどうだ」

「手伝えるなら、やってみてもいいかもしません」

「そうね。 困っているなら、私たちができることをしてあげられることがあればやってあげましょう」

「先生が手伝うというなら、手伝おう」

 そうみんないってくれた。

「ありがとうございます」

 感激したようにリオネは頭を下げる。

 私たちはリオネの話を手伝うことにした。
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