53 / 75
第五十三話
しおりを挟む
「こっちだ、静かについてきなよ。 お前さんを信用したんだから、こちらを信じてもらうぞ」
そうあってアターチさんは手招きした。
「あんたなにものなんだ?」
石の階段をのぼるりながら、先にいくアターチさんに聞いた。
「俺は密偵さ、セレンティナさまの配下だ」
「セレンティナさんの配下か!」
「知ってるのか? まあ魔王さまの知り合いならそうか、俺はセレンティナさまの命でザイガルフォンさまを探っていたのさ」
「なるほど、それでヴァライアはザイガルフォンの仲間なのか?」
「そうだな。 ザイガルフォンさまというよりは側近のベネブレスが養父となっていたようだ。 といっても最近わかったことだがね」
(養父...... ヴァライアを城に紹介した者ってベネプレスなのか、最初からアディエルエに近づく目的で城に仕えさせてたってことか......)
俺たちは階段をのぼり扉の前にたつ。
「ここからどうやってアディエルエにあう?」
「おいおい、会うつもりかよ。 俺はゲートまで案内するだけだぞ」
「もし、ここにいたら、俺が捕らわれないことを知らないと、あいつが危ない、何とかして伝えないと......」
「......仕方ないな。 こいつも魔力があまりないんだがな」
そういうと影に手をいれた。
「それは魔法か、ヴァライアも使ってた」
「ああ闇魔法だ。 使い手はあまりいない。 禁忌の魔法だからな。
使い手は忌み嫌われる......」
「忌み嫌われる?」
「ああ昔、暴虐の魔王っていう、歴代の魔王のなかでも最悪のやつがいてな。 そいつが使ってたから嫌われてるっいう迷惑な話だ。 だからほとんど使い手はいない。 使い手の村ごと焼き払われたっていう話しさえある」
そういいながら二つの宝石をとりだした。
「それ...... フォルムフィルムジェムか」
「おお、よくしってるな。 そうだ、そしてこっちが魔力を消すマジックフィルムジェムだ」
(メルティーが使ってた姿を消すアイテムともうひとつか)
「こいつを使って夜な夜な城のなかを探ってたのさ、お前さんも消すぜ」
そういわれて手をみると変わっていない。 アターチさんの姿も見えている。
「消えてないぞ」
「使用したとき近くにいたものを見えなくするのさ。 ただ宝石の魔力がなくなると姿が見えてしまう。 急ぐぞ」
俺たちは姿を消し扉を魔法の鍵であけ、地下牢とみられる場所からそっと外にでる。
空は暗くなっていた。
「それでアディエルエを探すにはどこにいけばいい」
「ここは城壁の中だ。 あの城の中央に謁見の間があり、隣にザイガルフォンさまの部屋がある。 ゲートは最上階だ」
「なら、まずザイガルフォンかヴァライア、ベネプレスを見つけないと」
「取りあえず城の中心のほうにいこう。 あまり音はだすなよ。 姿は隠せても音は防げんからな」
俺たちは城に入り慎重に中央へとむかう。 その途中武器を携帯する兵士たち何人もとすれ違う。
「ずいぶん厳重だな......」
「まあ最近、怪しまれてるのは自覚してるからでもあるが、それにしても多いな。 やはりアディエルエさまがいらっしゃるのかもな」
俺たちは人をすり抜け、大きな部屋の前にきた。
「ここが謁見の間だ。 誰かが開けないとばれるから、入り込む隙をまつんだ」
しばらく待ってると大きな扉が開いた。
(ヴァライア!?)
ヴァライアがうつむいた顔がみえた。 そのとなりにはフードを被った司祭のようないで立ちの、顔色の悪い大柄な男がいる。
「ヴァライア、お前はよくやった...... 部屋に戻ってしばし休め」
「はい、ベネプルスさま...... しかしアディエルエさまは」
「問題ない、鍵のありかをきき出すだけだ」
そういってヴァライアは部屋をでようとする。
(やはりアディエルエがここにいるのか...... こいつがベネプレスか...... ヴァライアもきになるが先にアディエルエのほうだ)
俺たちはゆっくりと大きな扉がしまる隙を、ぬってなかに入り込んだ。 玉座に肘をかけふてぶてしく座る若い金髪の男がいた
「それで...... ベネプレス、アディエルエは......」
「ヴァライアの睡眠魔法で眠っております」
(こいつがザイガルフォンか......)
「起こして鍵のありかをききだせ......」
「しかし、少し様子を見た方がよろしいのでは......」
「ならぬ! 早く宝物庫の力を得て、魔王の座を、いやこの世界を私が支配するのだ!」
「......アディエルエさまはかなりの高等魔法を使います。 もし怒りを買い即座に使われでもしたらこの城ごと吹き飛ばされるでしょう」
「くっ、わかった......」
「簡単にヴァライアに捕まったのは、あの外の世界の少年を案じてのこと、あのものどうされました?」
「お前が帰るまえに地下牢に入れさせておる」
「それはなりません...... もし逃げられでもしたらアディエルエさまを押さえる術がなくなります」
そういうとベネプレスは足早に部屋をでていく。
「みなアディエルエ、アディエルエと! やつがなんだというのだ! 母上さえ...... それほど魔力が大事か!」
そうザイガルフォンは吐き捨て従者と共に席を立った。
そうあってアターチさんは手招きした。
「あんたなにものなんだ?」
石の階段をのぼるりながら、先にいくアターチさんに聞いた。
「俺は密偵さ、セレンティナさまの配下だ」
「セレンティナさんの配下か!」
「知ってるのか? まあ魔王さまの知り合いならそうか、俺はセレンティナさまの命でザイガルフォンさまを探っていたのさ」
「なるほど、それでヴァライアはザイガルフォンの仲間なのか?」
「そうだな。 ザイガルフォンさまというよりは側近のベネブレスが養父となっていたようだ。 といっても最近わかったことだがね」
(養父...... ヴァライアを城に紹介した者ってベネプレスなのか、最初からアディエルエに近づく目的で城に仕えさせてたってことか......)
俺たちは階段をのぼり扉の前にたつ。
「ここからどうやってアディエルエにあう?」
「おいおい、会うつもりかよ。 俺はゲートまで案内するだけだぞ」
「もし、ここにいたら、俺が捕らわれないことを知らないと、あいつが危ない、何とかして伝えないと......」
「......仕方ないな。 こいつも魔力があまりないんだがな」
そういうと影に手をいれた。
「それは魔法か、ヴァライアも使ってた」
「ああ闇魔法だ。 使い手はあまりいない。 禁忌の魔法だからな。
使い手は忌み嫌われる......」
「忌み嫌われる?」
「ああ昔、暴虐の魔王っていう、歴代の魔王のなかでも最悪のやつがいてな。 そいつが使ってたから嫌われてるっいう迷惑な話だ。 だからほとんど使い手はいない。 使い手の村ごと焼き払われたっていう話しさえある」
そういいながら二つの宝石をとりだした。
「それ...... フォルムフィルムジェムか」
「おお、よくしってるな。 そうだ、そしてこっちが魔力を消すマジックフィルムジェムだ」
(メルティーが使ってた姿を消すアイテムともうひとつか)
「こいつを使って夜な夜な城のなかを探ってたのさ、お前さんも消すぜ」
そういわれて手をみると変わっていない。 アターチさんの姿も見えている。
「消えてないぞ」
「使用したとき近くにいたものを見えなくするのさ。 ただ宝石の魔力がなくなると姿が見えてしまう。 急ぐぞ」
俺たちは姿を消し扉を魔法の鍵であけ、地下牢とみられる場所からそっと外にでる。
空は暗くなっていた。
「それでアディエルエを探すにはどこにいけばいい」
「ここは城壁の中だ。 あの城の中央に謁見の間があり、隣にザイガルフォンさまの部屋がある。 ゲートは最上階だ」
「なら、まずザイガルフォンかヴァライア、ベネプレスを見つけないと」
「取りあえず城の中心のほうにいこう。 あまり音はだすなよ。 姿は隠せても音は防げんからな」
俺たちは城に入り慎重に中央へとむかう。 その途中武器を携帯する兵士たち何人もとすれ違う。
「ずいぶん厳重だな......」
「まあ最近、怪しまれてるのは自覚してるからでもあるが、それにしても多いな。 やはりアディエルエさまがいらっしゃるのかもな」
俺たちは人をすり抜け、大きな部屋の前にきた。
「ここが謁見の間だ。 誰かが開けないとばれるから、入り込む隙をまつんだ」
しばらく待ってると大きな扉が開いた。
(ヴァライア!?)
ヴァライアがうつむいた顔がみえた。 そのとなりにはフードを被った司祭のようないで立ちの、顔色の悪い大柄な男がいる。
「ヴァライア、お前はよくやった...... 部屋に戻ってしばし休め」
「はい、ベネプルスさま...... しかしアディエルエさまは」
「問題ない、鍵のありかをきき出すだけだ」
そういってヴァライアは部屋をでようとする。
(やはりアディエルエがここにいるのか...... こいつがベネプレスか...... ヴァライアもきになるが先にアディエルエのほうだ)
俺たちはゆっくりと大きな扉がしまる隙を、ぬってなかに入り込んだ。 玉座に肘をかけふてぶてしく座る若い金髪の男がいた
「それで...... ベネプレス、アディエルエは......」
「ヴァライアの睡眠魔法で眠っております」
(こいつがザイガルフォンか......)
「起こして鍵のありかをききだせ......」
「しかし、少し様子を見た方がよろしいのでは......」
「ならぬ! 早く宝物庫の力を得て、魔王の座を、いやこの世界を私が支配するのだ!」
「......アディエルエさまはかなりの高等魔法を使います。 もし怒りを買い即座に使われでもしたらこの城ごと吹き飛ばされるでしょう」
「くっ、わかった......」
「簡単にヴァライアに捕まったのは、あの外の世界の少年を案じてのこと、あのものどうされました?」
「お前が帰るまえに地下牢に入れさせておる」
「それはなりません...... もし逃げられでもしたらアディエルエさまを押さえる術がなくなります」
そういうとベネプレスは足早に部屋をでていく。
「みなアディエルエ、アディエルエと! やつがなんだというのだ! 母上さえ...... それほど魔力が大事か!」
そうザイガルフォンは吐き捨て従者と共に席を立った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる