イセカイトレーダー ~取引《トレード》で異世界に建国する~

曇天

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第十三話

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 ミーシャたちがきて数日たった。 二台の馬車や家具なども町で揃え、花壇に花なども植えて華やかになる。

「なんか村みたいになってきた」

「そうですね。 それでコウミさんにすこしお願いがあるんです」 

 ミーシャがそういう。

「なにお願いって?」

「拡張した土地に畑を作りたいんです。 実はこの国の農地は少なくて野菜なんかは交易していてかなり高い。 町の人たちも困っていて......」

「なるほど、わかった。 でも農夫がいないな」

「わたしに知り合いがいます。 その人たちは昔農夫だったんですが、土地がモンスターに荒らされて今は細々と山菜をとって暮らしてるんです」

「わかった。 その人たちをこの村に招待しよう。 呼んできてくれないか」  
 
「わかりました」  

 ミーシャはそういって喜び、馬車に乗り村をでていった。

「では拡張が必要ですね」  
 
「私も手伝わさせてほしい」

 クリュエとディラがそばにきていった。

「ディラは何か魔法が使えるのか?」

「ああ、大地の魔法をつかって土壌を改良できる」

「ならクリュエは壁をディラは農地をつくってくれ。 ハイレンはその護衛を頼む」

「わかりました!」

「わかった」

「ええ、お任せを」

 三人は楽しそうにはしっていく。

「じゃあ私はなにしようかな」
  
 アンナがそういう。

「あと何が必要かな?」

「そうね。 裁縫に必要な道具ね。 針や布、糸は取引《トレード》でだしたけど、機織り機は購入しないと」

「ああ、どうやら魔力がほとんどないものは取引《トレード》できないからな。 頼めるかな」

「ええ、町にいって集めてくるわ」

「じゃあ、私もいってきます」

 リクルとアンナは町へと馬車で向かう。

「さて、俺は少し壁を拡張するか」

 そう思い壁を交換し始める。
  

 一ヶ月がたった。 家の数は百軒をかぞえ、人も百五十人へと増えた。 
 
「もう立派な村だ」 

 俺とアンナは丘の方にたって眼下の村をみる。 

「そうね。 畑の数もふえて、モンスターと戦える人も二十人はいる。 近辺のモンスターも倒してどんどん拡張してる。 元の村をこえる大きさになったわね」

「あとは、交易か...... リクルたちがつくった服も好評なんだろう?」

「ええ、元々糸や布、針に魔力があるから、汚れやダメージに強い服になるの。 デザインもよくて今や王都でも売れるわ」

「よし、このまま更に拡張を進め町にしよう」

「コウミさん! アンナさん! 大変です!!」

 そう後ろからミーシャが走ってくる。

「どうした?」

「実は......」


「なんだって? ここを明け渡せって?」

 門の前で俺はだされた令状をよんだ。 そこには期限内に退去するよう書かれていた。

「ここは、領主バルバロ様の領地である。 引き渡しをもとめる」

 目の前の兵士たちはそう勧告してくる。

「いや、ここは誰のものでもないだろう。 捨てられた土地だったぞ」

「貴様がこの土地の長か」

 後ろから馬に乗ったちょびひげの細身の男が尊大にいった。

「あんたは」

「私はエーベンタール・バルバロ公爵、ここの領主である」
 
「元でしょう。 ここは百年は放置されていた土地。 開拓したのはコウミどのたちです。 今さらなにもしなかった貴方が領地を主張するのは筋違いでしょう」

 セーヌの言葉にバルバロはまゆをあげる。

「百年だろうが、数百年だろうが、我が領地は、我が領地、ほれここが所領だとしめす国の認可だ」

 そうボロボロの巻物を広げて見せた。
 
「まあ、お前たちが我に平伏して、我が民となるならばこの地に住むことは許そう。 もちろん役にはついてもらうがな」

 にやついてバルバロはいった。

「どうするコウミ?」

 アンナが聞いてきた。 みんな不安そうにしている。

(このやろう...... とはいえ法としての証拠があるなら、仕方ないか......)

「また一週間後までまってやろう。 そのときまで我に従うと決めるか、荷物をまとめてでていくがよい。 あーはっはっは!」

 そう笑いながらバルバロは帰っていった。


「まさか所有者がいたとはな」

「でもだったら途中で教えてくれたらよかったのに...... もうかなりここに村があることは知られてたのに」

 沈んだ声でクリュエがいった。

「知ってて開拓させようとしたんだ」

 ディラの言葉には怒りがこもっている。

「でしょうね。 でも認可状という証拠があるのなら、法的には有効です......」

 ミーシャがそういう。

「しかも裁判をしても相手は貴族、おそらく勝ち目はないですね」

 ハクレイはそういって目を伏せた。

「どうしましょう。 せっかくここまでつくったのに......」

 リクルは目に涙を貯め両手を合わせた。

「おそらく領民になっても、ひどい扱いを受けるでしょうね。 重税に苦役、ここでいきるのは奴隷のようになる。 悪しき貴族の典型です」

 セーヌがそういう。

「多分な...... あいつはクズだと感じる」

「あなたがいうなら完全にクズね」

 アンナがうなづく。

「うむ、場所があればいいんだがな。 ここを離れたとしてもこれじゃどこにいっても誰かの所有を主張されて、振り出しに戻る」

「......それなら知っている場所があるわ...... 見に行ってみましょう」

 沈黙していたアンナがそういい、次の日に案内してもらうことになった。 
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