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第三十六話
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「ふむ、そういうことになっているのか......」
アーシェイカはうなづいた。
俺たちはアーシェイカに相談しにギルド本部にきていた。
「ギルドならバストゥールについて知っていることはあるだろ。 兵士たちの話だとバストゥールに何かがある口ぶりだった」
「まあ、あるにはあるが......」
「この間、助けたとき報酬を辞退したよな」
俺がにやついて聞いた。
「あのとき、報酬を受け取らなかったのはこんなときのためか。 抜け目ない男だ」
アーシェイカはあきれたようにいう。 そして気を取り直したように話し出した。
「バストゥールは今、国を二分しているのだ」
「二分......」
「確かいまの王さまは病気よね」
「ああ、現王ルザリクが不治の病に伏せ、先の王の息子ミルディンと現王の息子アリシエとにわかれて派閥争いをしている」
「それで両方の情報は?」
「うむ、ミルディン派は圧倒的に優勢だが、ミルディン自身尊大で傲慢な男、アリシエは温厚で本のむしだと聞いている」
「ならミルディンだな」
「なんでよ! アリシエでしょ」
「国を治めるんなら温厚なやつより尊大なやつの方がいいだろ。 どうせ二世なんて官僚の言いなりなんだから、上手くすればこのまま国が弱体化してくれるかもしれん」
「まあ、そうかもしれんが、アリシエ、ミルディンはいま命を狙われている。 ギルドに護衛の依頼がきているのだ」
「両方から!?」
「だが、当ギルドはあくまでも護衛しか受けない。 実はもうギルドから犠牲者もでている......」
「それでどっちにつけばいい」
「願わくばアリシエの方に言って欲しいな......」
そういってアーシェイカは俺の目を見すえた。
「仕方ない...... アリシエの方にするか、で俺たちが入り込めるか?」
「ああ、Aクラス以上限定の依頼だからな。 あと三人が決まっている一人はSクラスだ。 君たちも加えておく、さっきもいったがこれはあくまで護衛だよ」
アーシェイカに話を付け俺たちは護衛につくことにした。
「かなりでかいな」
町は高い建物が並び立ち、裕福そうな人々も多く行き交っていた。
「バストゥールはヴァルヘッドに匹敵する大国よ」
アンナはそういった。
俺たちはアリシエの護衛として、バストゥール公国の首都トロックにきていた。
「ここか......」
そう指定された屋敷にいくと、兵士たちが屋敷を囲んでいる。
「君たちが新しい護衛か」
整った顔の金髪の男が話しかけてきた。 その無駄のない動きからかなりの手練れだと感じた。
「ああ、あんたは?」
「私はジオス」
「おいおい」
「ジオスを知らないの?」
そういって巨漢の男と、ローブの女が近づいてくる。
「しらん」
「三人しかいないSクラス冒険者の一人よ。 もう一人はアーシェイカ、そしてマルリッチ...... 前にはなしたでしょ」
アンナがあきれながらそういった。
「...... そういや、あんた、そんなすごいのか」
「あははっ、今はSクラスの実力はないよ。 昔大きな怪我をしてるからね。 もう少しで廃業さ...... 君たちこそ有名人だ。 コウミとアンナ」
ジオスはそう自嘲気味に笑う。
「なっ! あのサンドワームをやったっていう、こんな子供だったのか」
「ああ、短期間でAクラスまで上がったあの...... 確か凄腕錬金術師や強大な魔法をつかう魔法使いを連れてたっていう......」
二人の男女とも意外そうに俺をみてくる。
「まあいい、俺はガウサーだ」
大柄な男がいった。
「私はリビテイラよ」
ローブの女がいった。
「それで護衛ときいたけど、状況は?」
「ああ、最近だけでも三回は狙われている...... すんでのところで何とか国の騎士たちが守っているが、冒険者も四人犠牲になった」
ジオスが考え込むようにいう。
「かなり腕のたつやつだったAクラスも一人いたがやられた。 相手側にかなりの使い手がいるらしい」
ガウサーは憎々しげに両拳をぶつけた。
「感情的になりなさんな。 プロでしょ私たちは」
「わかった......」
リビテイラに諭されてガウサーはうなづいた。
「そのようすだと告発はできそうもなさそうだな」
「ああ、証拠がないんだ。 やり口が完全にプロだよ。 だからアーシェイカは護衛に僕たちを派遣したって訳だ......」
そう怪訝な顔をジオスがする。
「ただ、そのプロが殺し損ねてるのか」
「今までの襲撃は何とかね。 ここの騎士たちがかなりできるのと冒険者の適切な行動で回避している感じよ」
リビテイラは腕を組んだ。
「......まあ、まず王子がまっている早くいこう」
俺たちはジオスと共に屋敷内に案内された。
「王子、ギルド長が遣わせた新しい冒険者です」
「どうぞ......」
部屋にはいるとそこには青年が左右に兵士をおいて座っていた。 部屋には大きな本棚が壁一面にある。 そして青年は立ち上がる。
「あなた方が新しい冒険者の方ですね...... 私はアリシエ、我が国の騒動に巻き込んで申し訳ありません」
そう頭を下げた。
(線の細そうなやつだけど......)
「ああ、それとアーシェイカから手紙を預かっている。 ああジオスにもだ」
「ギルド長から」
そういってジオスに手紙を渡した。 その中身を確認したアリシエは俺たちを残し、みなに下がるよう命じた。
アーシェイカはうなづいた。
俺たちはアーシェイカに相談しにギルド本部にきていた。
「ギルドならバストゥールについて知っていることはあるだろ。 兵士たちの話だとバストゥールに何かがある口ぶりだった」
「まあ、あるにはあるが......」
「この間、助けたとき報酬を辞退したよな」
俺がにやついて聞いた。
「あのとき、報酬を受け取らなかったのはこんなときのためか。 抜け目ない男だ」
アーシェイカはあきれたようにいう。 そして気を取り直したように話し出した。
「バストゥールは今、国を二分しているのだ」
「二分......」
「確かいまの王さまは病気よね」
「ああ、現王ルザリクが不治の病に伏せ、先の王の息子ミルディンと現王の息子アリシエとにわかれて派閥争いをしている」
「それで両方の情報は?」
「うむ、ミルディン派は圧倒的に優勢だが、ミルディン自身尊大で傲慢な男、アリシエは温厚で本のむしだと聞いている」
「ならミルディンだな」
「なんでよ! アリシエでしょ」
「国を治めるんなら温厚なやつより尊大なやつの方がいいだろ。 どうせ二世なんて官僚の言いなりなんだから、上手くすればこのまま国が弱体化してくれるかもしれん」
「まあ、そうかもしれんが、アリシエ、ミルディンはいま命を狙われている。 ギルドに護衛の依頼がきているのだ」
「両方から!?」
「だが、当ギルドはあくまでも護衛しか受けない。 実はもうギルドから犠牲者もでている......」
「それでどっちにつけばいい」
「願わくばアリシエの方に言って欲しいな......」
そういってアーシェイカは俺の目を見すえた。
「仕方ない...... アリシエの方にするか、で俺たちが入り込めるか?」
「ああ、Aクラス以上限定の依頼だからな。 あと三人が決まっている一人はSクラスだ。 君たちも加えておく、さっきもいったがこれはあくまで護衛だよ」
アーシェイカに話を付け俺たちは護衛につくことにした。
「かなりでかいな」
町は高い建物が並び立ち、裕福そうな人々も多く行き交っていた。
「バストゥールはヴァルヘッドに匹敵する大国よ」
アンナはそういった。
俺たちはアリシエの護衛として、バストゥール公国の首都トロックにきていた。
「ここか......」
そう指定された屋敷にいくと、兵士たちが屋敷を囲んでいる。
「君たちが新しい護衛か」
整った顔の金髪の男が話しかけてきた。 その無駄のない動きからかなりの手練れだと感じた。
「ああ、あんたは?」
「私はジオス」
「おいおい」
「ジオスを知らないの?」
そういって巨漢の男と、ローブの女が近づいてくる。
「しらん」
「三人しかいないSクラス冒険者の一人よ。 もう一人はアーシェイカ、そしてマルリッチ...... 前にはなしたでしょ」
アンナがあきれながらそういった。
「...... そういや、あんた、そんなすごいのか」
「あははっ、今はSクラスの実力はないよ。 昔大きな怪我をしてるからね。 もう少しで廃業さ...... 君たちこそ有名人だ。 コウミとアンナ」
ジオスはそう自嘲気味に笑う。
「なっ! あのサンドワームをやったっていう、こんな子供だったのか」
「ああ、短期間でAクラスまで上がったあの...... 確か凄腕錬金術師や強大な魔法をつかう魔法使いを連れてたっていう......」
二人の男女とも意外そうに俺をみてくる。
「まあいい、俺はガウサーだ」
大柄な男がいった。
「私はリビテイラよ」
ローブの女がいった。
「それで護衛ときいたけど、状況は?」
「ああ、最近だけでも三回は狙われている...... すんでのところで何とか国の騎士たちが守っているが、冒険者も四人犠牲になった」
ジオスが考え込むようにいう。
「かなり腕のたつやつだったAクラスも一人いたがやられた。 相手側にかなりの使い手がいるらしい」
ガウサーは憎々しげに両拳をぶつけた。
「感情的になりなさんな。 プロでしょ私たちは」
「わかった......」
リビテイラに諭されてガウサーはうなづいた。
「そのようすだと告発はできそうもなさそうだな」
「ああ、証拠がないんだ。 やり口が完全にプロだよ。 だからアーシェイカは護衛に僕たちを派遣したって訳だ......」
そう怪訝な顔をジオスがする。
「ただ、そのプロが殺し損ねてるのか」
「今までの襲撃は何とかね。 ここの騎士たちがかなりできるのと冒険者の適切な行動で回避している感じよ」
リビテイラは腕を組んだ。
「......まあ、まず王子がまっている早くいこう」
俺たちはジオスと共に屋敷内に案内された。
「王子、ギルド長が遣わせた新しい冒険者です」
「どうぞ......」
部屋にはいるとそこには青年が左右に兵士をおいて座っていた。 部屋には大きな本棚が壁一面にある。 そして青年は立ち上がる。
「あなた方が新しい冒険者の方ですね...... 私はアリシエ、我が国の騒動に巻き込んで申し訳ありません」
そう頭を下げた。
(線の細そうなやつだけど......)
「ああ、それとアーシェイカから手紙を預かっている。 ああジオスにもだ」
「ギルド長から」
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