イセカイトレーダー ~取引《トレード》で異世界に建国する~

曇天

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第四十三話

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「まさか、素材を作り出せる能力とは...... 魔法、錬金術とも違うな......」 
 
 俺の力をみてバルフは感心して、俺が取引で交換したものを興味深そうに見ているいる。

「さあ、これでやれるか?」

「ああ、まさかリリンが独学でこれをここまでつくっているとはな......」

「へへ、でも一度ぐらいしか使えないよ......」

 リリンはバルフに誉められて喜んでいるようだ。

「一度で十分だ。 さあみんな降りて作戦通りにしよう!」

 俺たちは下の階段を下りた。


 部屋の奥でゴーレムが止まっている。

「あいつ、こっちには来ないのか」

 バルフに聞く。

「おそらくある一定の距離までしか動かない。 そして侵入者が近づくと......」

「ガガ......」

 俺たちが近づくと、アイアンゴーレムはこちらを向いて腕を伸ばす。

「いくぞ!」

 俺とバルフ、リリンは目の前に大量の蒼氷球を投げつけ氷の壁をつくる。

「ガガガ!!」

 バキバキバキバキと音をたて氷の壁を砕いてくる。 

「じゃあいくか!」

 走ってバルフのつくった透明な玉を握りしめ、魔力を込める。

「ぐっ、もってくれよ!」

 アイアンゴーレムは氷を破り腕を伸ばした。 その腕からそこから魔力の弾をはなってくる。 

「やばっ、もう抜けられた!!」

 滑り込んでかわし、ゴーレムの腹に透明な玉を押し付けた。

「ガガガ......」 

 ゴーレムの挙動がおかしくなり、動きも遅くなる。

「アンナ!」

「ええ!」

 アンナは最大に伸ばしたナイフでゴーレムを一閃した。

「ガ、ガ...... ギ」 

 半分になったゴーレムは動きを止める。

「なんとかやったな......」
 
「すごいな二人とも!」

「ああ、なんとかバルフのつくった魔力を奪うこれで、あいつの魔力シールドを吸いとった」

「だが、その吸魔玉《ドレインスフィア》はまだ未完成だ。 任意の相手から奪える訳じゃない。 触れているものから魔力を奪う」

「ああ、かなり奪われたな......」

「それにしてもよく耐えられたな。 それにそのナイフそんな出力をだせるなんて思ってもみなかった。 なんなんだ君たちは......」

 バルフは驚いて聞いてくる。

「二人は私の仲間だよ!」 

 そうリリンが胸を張っていった。


「ここを守ってたのか」   
 
 俺たちはゴーレムの後ろにあった部屋へとはいった。 そこも荒らされていて、さまざまな道具が壊され捨てられていた。

「これじゃ、残っているものはなさそうね」

「いや、この残っている器具から、ある程度推察はできる......」 

 バルフはアンナにそう答えた。

「多分、何者か、いや錬金術師が何かを作ろうとしているのだろう」

「何か......」

「そう危険ななにかだ......」

 台の上にある。 液体を調べながらバルフは断言した。 

「何者かにあてはあるのか?」

「ああ、おそらく【アルケミスティア】だ】

「アルケミスティア?」

「錬金術師で構成される秘密結社だ。 錬金術の力でこの世界を支配しようとしている」

「支配なんて、いや、子供じゃあるまいし......」

「冗談じゃなく、彼らは本気でそれを成就させようとしている。 錬金術師たちはかつてこの世界を支配していた。 その怨嗟により今は忌まれる力となった」

(そういえば、アーシェイカもそんなことをいってたな......)

「なんでバルフはそんなことを知ってる?」

「......錬金術師の兄弟子が、組織の総統だからだ」

 そう真剣な面持ちでバルフはいった。

「その兄弟子がなにかをしようとしているってことか」

「ああ、その男はミルガイア。 天才と呼ばれた男だ」

「ミルガイア...... 私のもってる錬金術の本の作者だ!」

 リリンが本を取り出す。

「錬金術、人々の希望...... 支配と全然違うな」

 古びた本のタイトルをみて俺はつぶやいた。

「元々...... ミルガイアはそう信じていた。 錬金術こそこの世界を救う唯一の方法だと...... それは師であるアスファイドの思想でもあった」

 バルフはそういって目を伏せた。
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