オールバンク ~異世界で契約の力を得た俺は、世界をかえる選択を選ぶ~

曇天

文字の大きさ
22 / 49

第二十二話『四大宝玉と古代帝国の影』

しおりを挟む
 扉を開けるとそこは巨大な棚が置かれていた。 その中には本が並べられており、何人もの人たちがその本を調べていた。

「彼らが学者か」

「ええ、確か【ヒュライド】というルードランド王国の考古学者がいるはず......」

 近くのものたちに聞き、奥へと進むと、大きな机にたくさんの本を積んでいる老人がいた。

「あなたがヒュライドさん?」

「なんじゃ、今忙しい、後にしてくれ」

 そうこちらを向くことなく頭をかきながらヒュライドさんが言った。

「かなり緊急を要する話なんだ。 終焉の宝玉《ヴェルム・オーブ》という......」

「なに!? 終焉の宝玉《ヴェルム・オーブ》じゃと!! 持っておるのか!」

 そういって振り返るとレンドの両肩を持ち揺らした。

「お、落ち着いて、そういうものを探しているやつらがいるんです!」

「な、なに......」

 
「なるほどのう...... あの宝玉を探しておるものが......」

 そう考え込むようにヒュライドさんはつぶやく。

「どういうことかな。 説明をしてくれないか」

 そうゼノフォスが言うと、ヒュライドさんが目を丸くした。
 
「あっ! 王子!?」

「王子!?」

 レンドと俺はゼノフォスを見た。

「ははは、そうなんです」

「王子ということは......」

「ええ、イオリシアの双子の弟です。 あなた方のことは姉上から聞いていたのです」

「イオリシアの弟? そうだったのか」

「なんで王子が、冒険者なんか......」

 レンドが腑に落ちないように言った。

「そうですね。 我が王家は庶民の気持ちを理解するために、身分を偽り町に出るのが、代々の習わしなんですよ」

「......というより、勝手に出歩いとるだけじゃろう」

 ヒュライドさんが言うと、ゼノフォスが頭をかいた。   

「無茶苦茶な王子だな。 まあイオリシアもそんな感じか...... 話を続けてくださいヒュライドさん」

「うむ、古代に【ブレンバルト】という帝国があった。 その帝国がこの世界を制覇するために使ったのが、その宝玉だという」

「終焉と始祖の宝玉......」

「いや、あと二つある。 【運命の宝玉】《フォーチュン・オーブ》、【意志の宝玉《ウィル・オーブ》だ」

(四つの宝玉......)

 そしてヒュライドさんは四つの宝玉の話を始めた。

「宝玉は四大国が作り出した遺物《レリック》だった。 それを皇帝【ヴェルザグ】は全てを奪い、世界を支配した」

「だが文明ごと滅んだ......」

「......ああ、どう滅んだかまではわかってはいない。 しかしその四大宝玉はとてつもない力を持つという、効果まではわからんがな。 そいつらが集めて何をするのかは知らんが、放置すると危険かもしれんな......」

「ある場所がわかっている宝玉は、ルードランド王国にある始祖の宝玉《ファースト・オーブ》だけなんですか」  

 レンドが聞くとヒュライドさんは首をふる。

「いや、運命の宝玉《フォーチュン・オーブ》が、【リュージュ神殿】のダンジョンにあると文献にはある。 しかし......」

「リュージュ神殿か......」

 ゼノフォスが眉をひそめる。

「なんだ?」

「あそこのダンジョンは入って帰ってきたものがいません」

「なぜだ?」

「......【不死者】《アンデッド》の巣窟となっているからです」

 ゼノフォスは言いづらそうに言った。

「アンデッド......」

「ええ、亡霊や死者がよみがえり、モンスター化したものです。 不死ゆえ死ぬことはなく、魔法や物理的に粉々にするしかないのですよ。 それでも時間がたてば甦りますが......」

「ひぇぇえ......」
 
 レンドは情けない声を出した。

「それなら、簡単には奪われることもないか。 オールバンクを探ってみたがその宝玉は売ってない。 仮に売っていても、買えんしな」
  
「いや、あのリゼルダインたちの力なら、アンデッドたちを粉砕できるかもしれませんね」

 ゼノフォスは眉をひそめる。

「確かにな......」

「あそこは迷宮と化しておる。 道案内もなしでは相当苦労するはず......」

 ヒュライドさんがそう言う。

「それなら放置しておきましょう!」

「アンデッドが怖いだけじゃないのかレンド」

「そ、そりゃ、そんな化物戦いたいわけないじゃないですか!」

「ふむ、しかしな。 そやつらが残り三つのうち何個か手にいれておるやもしれん」

 ヒュライドさんも眉をひそめる。

(......もし、運命の宝玉《フォーチュン・オーブ》を取られたら、本格的に残りを探すだろう。 つまり俺の持っている終焉の宝玉《ヴェルム・オーブ》を...... ルードランドに渡すか、いやいくら二人の祖国とはいえ、ルードランドが悪用しないとも限らないな)

「やはり、確保しておくしかないか......」

「ええぇ......」

 レンドの悲痛な声で答えた。

「それがいいかもしれんな」

「しかし迷宮ですよ。 そう簡単に攻略できるとは思えませんが......」 

 ゼノフォスが疑問を呈した。

「それなら、おーい【ディルセア】!」

「なによ。 おじいちゃん。 そんな大声ださなくても聞こえてるわ」

 そう奥の棚から、勝ち気そうな少女が顔をだした。

「わしの孫娘だ。 古代の知識はかなりのものだ、魔法も使える。 迷宮について詳しいから連れていくといい」

「勝手なことはいわないでよ! 私はブレンバルトを調べてるの! そんな暇ないんだから!」

 そうディルセアは怒った。


「ブレンバルトの資料はほとんどない...... この膨大な文献から調べるのは大変なんだからね」

 そういってディルセアは文献を漁っている。

「ディルセア、もしその文献が見つかれば協力してくれるか」

「はあ? そんなの素人のあなたには無理よ」

「オールバンク」 

 文献を探しだし買った。 

「あった。 これだろ」

 手にした文献を見せると、ディルセアはこちらに走ってきた。

「こ、これ、本当にブレンバルトの文献だわ! あなたどうやってこれを!」

「それより、協力してくれるのか」

「わ、わかったから、それを見せて!」

 俺はその文献を渡すと、ディルセアは食い入るように文献を読み始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生したので、文明レベルを21世紀まで引き上げてみた ~前世の膨大な知識を元手に、貧乏貴族から世界を変える“近代化の父”になります~

夏見ナイ
ファンタジー
過労死したプラントエンジニアの俺が転生したのは、剣と魔法の世界のド貧乏な貴族の三男、リオ。石鹸すらない不衛生な環境、飢える家族と領民……。こんな絶望的な状況、やってられるか! 前世の知識を総動員し、俺は快適な生活とスローライフを目指して領地改革を開始する! 農業革命で食料問題を解決し、衛生革命で疫病を撲滅。石鹸、ガラス、醤油もどきで次々と生活レベルを向上させると、寂れた領地はみるみる豊かになっていった。 逃げてきた伯爵令嬢や森のエルフ、ワケありの元騎士など、頼れる仲間も集まり、順風満帆かと思いきや……その成功が、強欲な隣領や王都の貴族たちの目に留まってしまう。 これは、ただ快適に暮らしたかっただけの男が、やがて“近代化の父”と呼ばれるようになるまでの物語。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...