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第二十九話
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「まずいぞサキミ。 あの鎧は【排魔の刻鎧】《アンチマジックメイル》あれは魔法を無効化してしまう...... 魔法は効かん!」
「なっ!! くそ!」
剣を抜いてザグリムに斬りかかる。
キィン!!
ザグリムは腰にあった剣を抜いて簡単に防いだ。
「ぬん!!」
「ぐぅ!!」
ザグリムが腕をふりぬくと、俺はふき飛ばされた。
「くそ、骨のくせになんて力だ!」
「魔力を体に通して強化しておる! しばしまて!」
ーー大地の命脈よ、汝の力をもって、かの者に加護を賜らんーー
「ライフガード」
ーー大気の息吹よ、汝が力にて、かの者に恩恵を賜らんーー
「ボディーストレングス」
俺の体が仄かに光ると、体の芯から力がわいてきた。
「おお!! なんか力がわく!」
「バフをかけた! それで何とか、策を考えるまでもたせてくれ!」
「わかった!!」
ザグリムに斬りかかる。 何度か打ち合う。 さっきよりは力で押しあえる。
「なるほど...... 強化魔法か...... それでも私と斬り結べるとは、ただの人間ではないな」
「そりゃどうも!」
(確かに強化はされた。 でもこいつの剣は素人とはちがう...... 強さや速さだけじゃない。 鍛練された強さだ)
剣技で勝るザグリムにじりじりと押され始める。
(くそっ! このままじゃ押しきられる。 かといって魔法も効かないし...... でもこの骸骨、骨を魔力で強化しているんだよな)
「よしサキミ! こちらに引け!」
ディンが叫んだ。 俺は後ろに飛び退いた。 するとディンのもつ鏡からザグリムと同じスケルトンが現れた。
「今のうちに離れるぞ! こいつと戦ってもかてん!」
「わかった!」
スケルトンと交代で逃げる。 後ろで剣の打ち合う音がする。
「やつは強すぎる、 魔法も効かんのでは倒しようがない」
「だな。 一旦引こう!」
俺たちが離れようとすると、なにかが落ちる大きな音がした。
見ると、ディンがつくったスケルトンが半分に斬られている。
「なっ!? 同じ強さだろ!」
「あの剣は...... どこかで」
ザグリムが持つ剣が青白く光っている。
「......本物が、偽物に負けるわけがなかろう......」
隣に現れ剣を振るう。 とっさに剣で防ぐ。
「俺は負けかけたけどね!!」
(どうする...... こいつ魔力で強化されてるってことは、鎧は魔法を無効化するが魔力はしない......)
魔力を剣に流す。
「強者と認め我がリグムーザにて屠ってやろう」
「誰が死ぬか!」
右手の剣を左に持ちかえて、顔を撃ち抜く。
ガキンッ
兜のすき間を剣が貫く。
「やったかサキミ!」
「いや!!!」
俺は離れる。
「なるほど...... 魔力そのもので攻撃してきたのか。 その剣も普通ではない...... か」
兜の中砕けたドクロが元へともどる。
「くそ! 死なんのかよ!」
「いや、あれは...... 余のアイテム」
「......そうだ」
ザグリムはそういうと懐から貝殻をとりだした。
「それは時の貝殻......」
「それでもとに戻したのか! くっ! じゃあ倒せないだろうが!」
「いや、おそらく魔力の核のようなものがあるのだ。 デュラハンの時のようにな。 それであのアイテムを使っておる」
「さすが魔王...... 魔力の核、魔晶はここだ」
ザグリムは右胸を指差した。
「そういうブラフか...... いやそんなことする必要はないか」
「そういうことだ......」
(ヤバい! 打つ手なしだ! 取りあえず逃げるために......)
「逃がさんよリグムーザ」
そう掲げると剣は青白く光り輝く。
「やばい!」
「あれは衝撃波を放つリグムーザ!! やはりあやつなのか!」
ディンがあせる。
ギィン!
左からナイフのようなものが飛んでザグリムが剣で払う。
「大丈夫ですかサキミさん!」
走ってきたそれはセレネだった。
「セリア......」
ザグリムの動きが止まる。 そのすきに距離をとり、ディンと共にセレネのそばによる。
「こいつは何者ですか!!!」
「ああスケルトンだ。 しかもかなりの強さで魔法も効かない。 魔力しかとおさん。 剣は衝撃波を放つ。 弱点の核は右胸......」
簡潔にそう伝えた。
「なるほどわかりました...... アンデットの上、かなりの強者、そして逃げられそうにもない...... 左右で攻撃しましょう。 ディンどのは後ろに」
「わかった。 セレネにバフをかけておく!」
俺たちは三方向にわかれ、攻撃を仕掛けるが、左右からの俺たちの剣をザグリムはさばく。
しかし先ほどまでの動きのキレはない。
(やれる!)
「くっ......」
徐々にザグリムを押していく。
「リグムーザ!!」
ザグリムがそう叫ぶとやつの剣が青く光り輝き、俺たちは吹き飛ばされる。
「ぐっ!」
「やはりリグムーザ!! いや今はサキミどの、やつの動きを一度だけ止めてください」
「何かあるんだな...... よし! ディン何でもいい! 更にバフをかけてくれ!」
「もう危険なものしかないぞ!」
「かまわない!」
「わかった......」
ーー炎よ、その燃ゆるあらゆる源よ、かの者に荒ぶる力をーー
「バーンプロミネンス」
体に炎がうつる。 体の中心が燃えるように熱い。 だが力が漲る。
「おおおお!!」
剣を振るう。 力で少しザグリムをおす。
「くっ!! 邪魔な! リグムーザ!!」
「ぐおおおおお!!!」
剣で青く光る剣の衝撃を何とか押し止める。
「うああああああ!」
セレネが声をあげる。 その剣が黄金へと代わりこちらへ走ってくる。 俺は飛び退く。
ガキンッ!!
その黄金の剣が、ザグリムの胸をとらえる。
「やったか...... いや」
「ぐっ!!」
ザグリムが剣を振り上げる。
「セレネ! うけとれ!」
魔力を剣に流しセレネになげつけた。
セレネはそれをうけとると胸を切り裂いた。
ザシュッ!! パキィンッ!!
そう音がすると、胸から上が切り裂かれ、そこに割れた魔晶がみえると、ザグリムの上半身は地面に落ちた。
「なっ!! くそ!」
剣を抜いてザグリムに斬りかかる。
キィン!!
ザグリムは腰にあった剣を抜いて簡単に防いだ。
「ぬん!!」
「ぐぅ!!」
ザグリムが腕をふりぬくと、俺はふき飛ばされた。
「くそ、骨のくせになんて力だ!」
「魔力を体に通して強化しておる! しばしまて!」
ーー大地の命脈よ、汝の力をもって、かの者に加護を賜らんーー
「ライフガード」
ーー大気の息吹よ、汝が力にて、かの者に恩恵を賜らんーー
「ボディーストレングス」
俺の体が仄かに光ると、体の芯から力がわいてきた。
「おお!! なんか力がわく!」
「バフをかけた! それで何とか、策を考えるまでもたせてくれ!」
「わかった!!」
ザグリムに斬りかかる。 何度か打ち合う。 さっきよりは力で押しあえる。
「なるほど...... 強化魔法か...... それでも私と斬り結べるとは、ただの人間ではないな」
「そりゃどうも!」
(確かに強化はされた。 でもこいつの剣は素人とはちがう...... 強さや速さだけじゃない。 鍛練された強さだ)
剣技で勝るザグリムにじりじりと押され始める。
(くそっ! このままじゃ押しきられる。 かといって魔法も効かないし...... でもこの骸骨、骨を魔力で強化しているんだよな)
「よしサキミ! こちらに引け!」
ディンが叫んだ。 俺は後ろに飛び退いた。 するとディンのもつ鏡からザグリムと同じスケルトンが現れた。
「今のうちに離れるぞ! こいつと戦ってもかてん!」
「わかった!」
スケルトンと交代で逃げる。 後ろで剣の打ち合う音がする。
「やつは強すぎる、 魔法も効かんのでは倒しようがない」
「だな。 一旦引こう!」
俺たちが離れようとすると、なにかが落ちる大きな音がした。
見ると、ディンがつくったスケルトンが半分に斬られている。
「なっ!? 同じ強さだろ!」
「あの剣は...... どこかで」
ザグリムが持つ剣が青白く光っている。
「......本物が、偽物に負けるわけがなかろう......」
隣に現れ剣を振るう。 とっさに剣で防ぐ。
「俺は負けかけたけどね!!」
(どうする...... こいつ魔力で強化されてるってことは、鎧は魔法を無効化するが魔力はしない......)
魔力を剣に流す。
「強者と認め我がリグムーザにて屠ってやろう」
「誰が死ぬか!」
右手の剣を左に持ちかえて、顔を撃ち抜く。
ガキンッ
兜のすき間を剣が貫く。
「やったかサキミ!」
「いや!!!」
俺は離れる。
「なるほど...... 魔力そのもので攻撃してきたのか。 その剣も普通ではない...... か」
兜の中砕けたドクロが元へともどる。
「くそ! 死なんのかよ!」
「いや、あれは...... 余のアイテム」
「......そうだ」
ザグリムはそういうと懐から貝殻をとりだした。
「それは時の貝殻......」
「それでもとに戻したのか! くっ! じゃあ倒せないだろうが!」
「いや、おそらく魔力の核のようなものがあるのだ。 デュラハンの時のようにな。 それであのアイテムを使っておる」
「さすが魔王...... 魔力の核、魔晶はここだ」
ザグリムは右胸を指差した。
「そういうブラフか...... いやそんなことする必要はないか」
「そういうことだ......」
(ヤバい! 打つ手なしだ! 取りあえず逃げるために......)
「逃がさんよリグムーザ」
そう掲げると剣は青白く光り輝く。
「やばい!」
「あれは衝撃波を放つリグムーザ!! やはりあやつなのか!」
ディンがあせる。
ギィン!
左からナイフのようなものが飛んでザグリムが剣で払う。
「大丈夫ですかサキミさん!」
走ってきたそれはセレネだった。
「セリア......」
ザグリムの動きが止まる。 そのすきに距離をとり、ディンと共にセレネのそばによる。
「こいつは何者ですか!!!」
「ああスケルトンだ。 しかもかなりの強さで魔法も効かない。 魔力しかとおさん。 剣は衝撃波を放つ。 弱点の核は右胸......」
簡潔にそう伝えた。
「なるほどわかりました...... アンデットの上、かなりの強者、そして逃げられそうにもない...... 左右で攻撃しましょう。 ディンどのは後ろに」
「わかった。 セレネにバフをかけておく!」
俺たちは三方向にわかれ、攻撃を仕掛けるが、左右からの俺たちの剣をザグリムはさばく。
しかし先ほどまでの動きのキレはない。
(やれる!)
「くっ......」
徐々にザグリムを押していく。
「リグムーザ!!」
ザグリムがそう叫ぶとやつの剣が青く光り輝き、俺たちは吹き飛ばされる。
「ぐっ!」
「やはりリグムーザ!! いや今はサキミどの、やつの動きを一度だけ止めてください」
「何かあるんだな...... よし! ディン何でもいい! 更にバフをかけてくれ!」
「もう危険なものしかないぞ!」
「かまわない!」
「わかった......」
ーー炎よ、その燃ゆるあらゆる源よ、かの者に荒ぶる力をーー
「バーンプロミネンス」
体に炎がうつる。 体の中心が燃えるように熱い。 だが力が漲る。
「おおおお!!」
剣を振るう。 力で少しザグリムをおす。
「くっ!! 邪魔な! リグムーザ!!」
「ぐおおおおお!!!」
剣で青く光る剣の衝撃を何とか押し止める。
「うああああああ!」
セレネが声をあげる。 その剣が黄金へと代わりこちらへ走ってくる。 俺は飛び退く。
ガキンッ!!
その黄金の剣が、ザグリムの胸をとらえる。
「やったか...... いや」
「ぐっ!!」
ザグリムが剣を振り上げる。
「セレネ! うけとれ!」
魔力を剣に流しセレネになげつけた。
セレネはそれをうけとると胸を切り裂いた。
ザシュッ!! パキィンッ!!
そう音がすると、胸から上が切り裂かれ、そこに割れた魔晶がみえると、ザグリムの上半身は地面に落ちた。
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