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第三十五話
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俺たちはテレウス王国のテントにもどる。
「建物があるはずでは......」
セレネがなにもない土地をみて困惑している。
「はい!」
「これなのだ!」
俺とディンはうずたかくつまれた瓦礫を見せた。
「こ、これは」
「モンスタースタンピードでぶっこわされたんだ」
「ああ、あれはつらかったな。 帰ってきたら木っ端微塵だったからな」
俺とディンはうなづきあう。
「それで、ここでテント暮らしなのですか?」
セレネは不安そうにいった。
「ああ、いままではな!」
「そう! 今余たちにはこれがある!」
そういってディンは貝殻をかかげた。
「貝殻? それがなにか」
セレネは怪訝な顔をしている。
「なんか、これをもとに戻せるんだってさ」
「本当ですか!?」
信じられないという顔をセレネはしている。
「ふむ、まあみておれ! サキミ魔力が足らん! フェアネスソウルで魔力を!」
「わかった! フェアネスソウル!」
「よし! いくぞ!」
ーーとめどなく流れる時よ、その流れを妨げ逆巻けーー
ディンが貝をかがけると、瓦礫が光り徐々に戻っていく。
「おお!!」
「すごい!!」
そこには壊れるまえのアパートがあった。
「ふぅ、や、やったぁ......」
ヘロヘロのディンを支えた。
「よし! よくやったディン! これで不労所得への道が開かれた!」
「これがサキミどのの宿ですか? みたことがない様式ですね」
セレネは興味深そうにみている。
「ああ! 入ってくれ! はじめての入居者だ!」
俺たちはアパートにはいった。
「ふぁあああああ! 俺の部屋だ!! あの柱の傷も、古いゲーム機も型落ちのタブレットも壊れたあの時のままだ!!」
俺は感動にむせびなく。 ディンも包丁を手に取っている。
「よ、余の包丁と鍋だーー!!! それに古い冷蔵庫も戻ってきた!!」
「は、はあ、確かに珍しいものばかりですね。 魔動力で動くのですか?」
「いや、電気だよ」
「えっ? 電気はありますけど、それを使うこのような魔動機械はみたことはないですね」
「だな。 ほらシャワーとかもあるから」
「シャワー?」
風呂までつれていき、シャワーをつかってみる。
「あっ! これ便利です!」
セレネは驚いている。
「さすがに風呂は魔動機械とやらで沸かすけどな。 ガスをつかってないからな」
それからトイレなどを見せて回った。
「わかりました! 見た目よりずっと便利ですね! 都会の豪邸よりすみやすそう!」
そう喜んでセレネは契約してくれた。
「さあ、じゃあアパート再開記念にみなで宴でもしようではないか!」
「それはいいな! ん? そういやティンクルはどこに行った?」
「ふむ、ここでまっておったはずじゃが...... まあ多分ネメイオと一緒におるのだろう。 まあ町に買い出しにいくとき、よってみよう」
俺たちは町へと向かう。
「セレネも来ればよかったのに」
「一通り部屋をみてみたいそうだ。 それにモンスターがまた襲撃してこないともかぎらん。 いてもらった方が安心だろう」
ディンがそういう。
「いや、時の貝殻があるから大丈夫だろ?」
「そうはいかん。 ほとんどの余のアイテムは遥か昔魔法によって生成されたものだ。 使うには何百年もこの貝殻に魔力が集まらんと無理だし、それにあと一、二回で壊れる」
「ま、まじか! ヤバい! 早く用事を済ませて帰ろう!」
「まずネメイオにいって保険に入り直すしかあるまい」
「だな! 先に行くか!」
俺たちはネメイオのアズレイ不動産にむかった。
「いらっしゃいませ」
「あっ、サキミさま! ねえさま!」
そこにはネメイオとティンクルがいた。
「やはりここかティンクル。 どうした?」
「ええ、不動産のことをすこし...... それより時の貝殻は?」
「うむ、アパートはもとに戻った」
「あの建物なおったんですか!?」
ネメイオがおどろいている。
「なんとかな。 それでモンスター保険に入りたいんだ」
「あっ、そうですね。 でも少しお高くなりますよ」
「ええ!? だってあれベルクセアがやったことだぞ!」
「それは聞いておりますが、ベルクセアがその事実を認めてないんです」
ネメイオがメガネの位置を直す。
「つまり、アラクネを使って襲わせてないと」
「はい、アラクネは突然現れ、自分たちはそれを止めていただけだと言ってるそうなんです......」
ティンクルはそう困惑した顔でいう。
「ふざけおって! 人の家をぶっ壊しておいて何たる言いぐさ!!」
ディンは地団駄を踏んだ。
「なるほど、証拠もないからな。 いくらでもいいわけができる」
「ええ、国も確信があるのですが確証がない。 ゆえに相手も強気にでてきているのです。 早く返還せよ、とベルクセアも催促している始末」
「我らが証拠であろう!」
「いえ、あなた方は微妙なんですが、一応この国の住民にあたります」
「いや両国に金はらってんぞ」
俺がいうとネメイオが首をふる。
「向こうが否定しています。 それでこの国に籍があるです。 それでは中立とはいえませんから」
「それでこの国はどう動くのだ」
「証拠のない以上、捕虜は返さねばなりません」
「しょうがないな。 返さないと、他の国にも喧伝《けんでん》して相手に有利になる。 戦争の口実にさえされかねないしな」
「そうです。 ですので、この件はおしまいということです」
「ぎぃぃぃい!!」
ディンが歯を噛んで怒っている。
「まあ、まあ、ねえさま落ち着いて」
「しかたない。 まあ保険に入るから契約してくれ」
俺たちは新たな契約して不動産屋をでた。
「建物があるはずでは......」
セレネがなにもない土地をみて困惑している。
「はい!」
「これなのだ!」
俺とディンはうずたかくつまれた瓦礫を見せた。
「こ、これは」
「モンスタースタンピードでぶっこわされたんだ」
「ああ、あれはつらかったな。 帰ってきたら木っ端微塵だったからな」
俺とディンはうなづきあう。
「それで、ここでテント暮らしなのですか?」
セレネは不安そうにいった。
「ああ、いままではな!」
「そう! 今余たちにはこれがある!」
そういってディンは貝殻をかかげた。
「貝殻? それがなにか」
セレネは怪訝な顔をしている。
「なんか、これをもとに戻せるんだってさ」
「本当ですか!?」
信じられないという顔をセレネはしている。
「ふむ、まあみておれ! サキミ魔力が足らん! フェアネスソウルで魔力を!」
「わかった! フェアネスソウル!」
「よし! いくぞ!」
ーーとめどなく流れる時よ、その流れを妨げ逆巻けーー
ディンが貝をかがけると、瓦礫が光り徐々に戻っていく。
「おお!!」
「すごい!!」
そこには壊れるまえのアパートがあった。
「ふぅ、や、やったぁ......」
ヘロヘロのディンを支えた。
「よし! よくやったディン! これで不労所得への道が開かれた!」
「これがサキミどのの宿ですか? みたことがない様式ですね」
セレネは興味深そうにみている。
「ああ! 入ってくれ! はじめての入居者だ!」
俺たちはアパートにはいった。
「ふぁあああああ! 俺の部屋だ!! あの柱の傷も、古いゲーム機も型落ちのタブレットも壊れたあの時のままだ!!」
俺は感動にむせびなく。 ディンも包丁を手に取っている。
「よ、余の包丁と鍋だーー!!! それに古い冷蔵庫も戻ってきた!!」
「は、はあ、確かに珍しいものばかりですね。 魔動力で動くのですか?」
「いや、電気だよ」
「えっ? 電気はありますけど、それを使うこのような魔動機械はみたことはないですね」
「だな。 ほらシャワーとかもあるから」
「シャワー?」
風呂までつれていき、シャワーをつかってみる。
「あっ! これ便利です!」
セレネは驚いている。
「さすがに風呂は魔動機械とやらで沸かすけどな。 ガスをつかってないからな」
それからトイレなどを見せて回った。
「わかりました! 見た目よりずっと便利ですね! 都会の豪邸よりすみやすそう!」
そう喜んでセレネは契約してくれた。
「さあ、じゃあアパート再開記念にみなで宴でもしようではないか!」
「それはいいな! ん? そういやティンクルはどこに行った?」
「ふむ、ここでまっておったはずじゃが...... まあ多分ネメイオと一緒におるのだろう。 まあ町に買い出しにいくとき、よってみよう」
俺たちは町へと向かう。
「セレネも来ればよかったのに」
「一通り部屋をみてみたいそうだ。 それにモンスターがまた襲撃してこないともかぎらん。 いてもらった方が安心だろう」
ディンがそういう。
「いや、時の貝殻があるから大丈夫だろ?」
「そうはいかん。 ほとんどの余のアイテムは遥か昔魔法によって生成されたものだ。 使うには何百年もこの貝殻に魔力が集まらんと無理だし、それにあと一、二回で壊れる」
「ま、まじか! ヤバい! 早く用事を済ませて帰ろう!」
「まずネメイオにいって保険に入り直すしかあるまい」
「だな! 先に行くか!」
俺たちはネメイオのアズレイ不動産にむかった。
「いらっしゃいませ」
「あっ、サキミさま! ねえさま!」
そこにはネメイオとティンクルがいた。
「やはりここかティンクル。 どうした?」
「ええ、不動産のことをすこし...... それより時の貝殻は?」
「うむ、アパートはもとに戻った」
「あの建物なおったんですか!?」
ネメイオがおどろいている。
「なんとかな。 それでモンスター保険に入りたいんだ」
「あっ、そうですね。 でも少しお高くなりますよ」
「ええ!? だってあれベルクセアがやったことだぞ!」
「それは聞いておりますが、ベルクセアがその事実を認めてないんです」
ネメイオがメガネの位置を直す。
「つまり、アラクネを使って襲わせてないと」
「はい、アラクネは突然現れ、自分たちはそれを止めていただけだと言ってるそうなんです......」
ティンクルはそう困惑した顔でいう。
「ふざけおって! 人の家をぶっ壊しておいて何たる言いぐさ!!」
ディンは地団駄を踏んだ。
「なるほど、証拠もないからな。 いくらでもいいわけができる」
「ええ、国も確信があるのですが確証がない。 ゆえに相手も強気にでてきているのです。 早く返還せよ、とベルクセアも催促している始末」
「我らが証拠であろう!」
「いえ、あなた方は微妙なんですが、一応この国の住民にあたります」
「いや両国に金はらってんぞ」
俺がいうとネメイオが首をふる。
「向こうが否定しています。 それでこの国に籍があるです。 それでは中立とはいえませんから」
「それでこの国はどう動くのだ」
「証拠のない以上、捕虜は返さねばなりません」
「しょうがないな。 返さないと、他の国にも喧伝《けんでん》して相手に有利になる。 戦争の口実にさえされかねないしな」
「そうです。 ですので、この件はおしまいということです」
「ぎぃぃぃい!!」
ディンが歯を噛んで怒っている。
「まあ、まあ、ねえさま落ち着いて」
「しかたない。 まあ保険に入るから契約してくれ」
俺たちは新たな契約して不動産屋をでた。
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