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第四十三話
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「あいつをはめるつもりだったの」
そうネメイオがこちらをうかがいながらいった。
「まあな。 あいつのことだどうせ脱税してると思ってた。 ご丁寧に持ち金全部持ってきてくれたからな。 お前がやつの私兵も眠らせてくれたことだし、時間はあった...... ティンクルに役人に告発してもらってたんだ。 まあすぐ動くってことは国も疑ってたんだろ」
「なるほどね......」
ネメイオが深くうなづく。
「お前だってやつの悪事の証拠を握ってんじゃないのか」
「まあね。 捕まったときのための交渉材料としてもってたわ」
「なんで予告状などだす?」
ディンが不思議そうにきく。
「役人なんかを警備にこさせないためよ。 役人なんかを呼ぶと顔を知られかねないしね。 町中もおちおち歩けないもの」
「まあ悪党は役人に知られたら困るもんをもってるからな。 呼ばないか」
「でもどうして一緒に私をつきださなかったの?」
ネメイオがそう不思議そうにこちらを見る。
「俺たちは犯罪者を捕まえるのが仕事じゃない。 それにお前には毒キノコのとき助けてもらったからな」
「だな恩は返さねばならん。 でもお主なぜアイテムを狙っておる?」
ディンがネメイオに聞いた。
「......奪われたものだからよ」
「そういや、返してもらうっていってたっけ?」
「元々、私の家にあったものなの。 それが悪人たちの元に渡って更に悪用されてる......」
「それで盗んでいたと......」
セレネは考え込んでいる。
「それで、私はどうなるの?」
「別にどうもしない。 悪党がどうなろうが俺たちには関係ないからな。 ああ、でてくならディン」
「わかった」
ディンはドレインリングをネメイオにわたした。
「これは!? どうしてアズレイに渡したんじゃなかったの!」
「これだ。 この鏡で複製した。 やつがもってるのは偽物だ」
ディンは双身の魔鏡をみせた。
「そう。 でもこれはあげるわ。 あなたたちは悪用はしなさそうだもの」
「あんがと、ついでにアズレイの悪事の証拠ももらえるか。 確実にあいつを終わらせたい」
「ええ」
それからアズレイはさまざまな悪事が露見し、裁判ののち重罪が確定、長期の投獄がきまった。 俺がネメイオからもらった証拠が決め手となったらしい。 俺たちは別の不動産屋に管理や保険を委託した。
「うまい! うまい! ティンクルだいぶおむすびがうまくなったな!」
(た、助かった! 鈍器じゃない!!)
「えへへ、ねえさまに教えてもらってるんです」
ティンクルはそういって照れた。
「ほんと、こんなに美味しいなんて、世界を回ってたけど、こんな食べ物知らなかったわ」
そうメガネを曇らせてネメイオがいう。
「いや、ネメイオお前いつまでいるつもりだよ」
「いいじゃない。 ここが気に入ったわ入居する」
「まあ、いいんじゃないか」
「そうですね。 構わないのでは」
ディンとセレネがそうこともなくそういった。
(まあ、いいか、空き部屋あるしな)
「そこであなたたちに頼みがあるの」
神妙な面持ちでネメイオが話し出した。
「すげえな」
「うう、上を向きすぎて首がいたい」
俺とディンとネメイオは巨大な都市にいた。 人々か多く行き交い店や建物も大きい。
「世界最大の国、アズリア帝国よ。 ここは首都」
「本当にここにあるのかよ」
「ええ、いままでは一人だったから来るのは躊躇してたの」
「だが、戦争は防がねばならん」
そうディンは真剣な顔でいった。
(あまり乗り気じゃないが......)
それは三日前のこと。
「なに? 手伝ってほしい?」
「ええ、あなたたちとなら、きっとできる」
「盗みか...... 気がすすまんの」
「私はいかな理由があっても悪事には荷担できません。 さあティンクルちゃんあっちにいきましょう」
そういってセレネはティンクルをつれて部屋をでていった。
「俺も正義マンではないけど、盗みはしたくないな」
「返してもらうだけよ。 奴らはアイテムを使って悪用を繰り返しているの。 しかもそれは戦争にも使われている...... 今も隣国へと進行中よ」
ネメイオはそういうと語気を強めた。
「あなたたちは私に恩があるんでしょう。 命は安くなかったはず」
そうネメイオは懇願するようにこちらをみる。
「......戦争なら止めねばならんな」
「はぁ、しょうがないな。 キノコが高くついたぜ。 それでそのアイテムどこにあるんだ?」
「アズリア帝国よ」
一度微笑んだネメイオは、すぐ厳しい顔に戻りそういった。
そして俺たちはアズリアの首都まできていた。
「それで帝国のどこにあるんだ?」
「宮殿よ」
そう指差す方にはでかい宮殿がみえる。
「はぁ!? 宮殿!! 絶対無理だろ!!」
「余のインビジブルなら隠れられる...... 更に余のグレードAのアイテムもあそこにあるな」
「だけど、捕まったら100%死刑だぞ」
「そうね。 でもあの杖は取り返さないと」
ネメイオが真剣な顔でそういう。
「なんなんだその杖ってそんなヤバイもんなのか」
「死者の操杖《ネクロマンシースタッフ》、死んだものを操る杖よ。 それで死んだもの、動物やモンスター、人間なんかを前衛に立たせて、他国を攻めてるの」
「......恐ろしいことするな。 でもそんな大切なものなら、かなり警備が厳しいんじゃないのか、いくら姿を消したとしても盗めるか?」
「あなたたちが協力してくれるなら策はあるわ」
そうネメイオが厳しい顔で宮殿をみていた。
そうネメイオがこちらをうかがいながらいった。
「まあな。 あいつのことだどうせ脱税してると思ってた。 ご丁寧に持ち金全部持ってきてくれたからな。 お前がやつの私兵も眠らせてくれたことだし、時間はあった...... ティンクルに役人に告発してもらってたんだ。 まあすぐ動くってことは国も疑ってたんだろ」
「なるほどね......」
ネメイオが深くうなづく。
「お前だってやつの悪事の証拠を握ってんじゃないのか」
「まあね。 捕まったときのための交渉材料としてもってたわ」
「なんで予告状などだす?」
ディンが不思議そうにきく。
「役人なんかを警備にこさせないためよ。 役人なんかを呼ぶと顔を知られかねないしね。 町中もおちおち歩けないもの」
「まあ悪党は役人に知られたら困るもんをもってるからな。 呼ばないか」
「でもどうして一緒に私をつきださなかったの?」
ネメイオがそう不思議そうにこちらを見る。
「俺たちは犯罪者を捕まえるのが仕事じゃない。 それにお前には毒キノコのとき助けてもらったからな」
「だな恩は返さねばならん。 でもお主なぜアイテムを狙っておる?」
ディンがネメイオに聞いた。
「......奪われたものだからよ」
「そういや、返してもらうっていってたっけ?」
「元々、私の家にあったものなの。 それが悪人たちの元に渡って更に悪用されてる......」
「それで盗んでいたと......」
セレネは考え込んでいる。
「それで、私はどうなるの?」
「別にどうもしない。 悪党がどうなろうが俺たちには関係ないからな。 ああ、でてくならディン」
「わかった」
ディンはドレインリングをネメイオにわたした。
「これは!? どうしてアズレイに渡したんじゃなかったの!」
「これだ。 この鏡で複製した。 やつがもってるのは偽物だ」
ディンは双身の魔鏡をみせた。
「そう。 でもこれはあげるわ。 あなたたちは悪用はしなさそうだもの」
「あんがと、ついでにアズレイの悪事の証拠ももらえるか。 確実にあいつを終わらせたい」
「ええ」
それからアズレイはさまざまな悪事が露見し、裁判ののち重罪が確定、長期の投獄がきまった。 俺がネメイオからもらった証拠が決め手となったらしい。 俺たちは別の不動産屋に管理や保険を委託した。
「うまい! うまい! ティンクルだいぶおむすびがうまくなったな!」
(た、助かった! 鈍器じゃない!!)
「えへへ、ねえさまに教えてもらってるんです」
ティンクルはそういって照れた。
「ほんと、こんなに美味しいなんて、世界を回ってたけど、こんな食べ物知らなかったわ」
そうメガネを曇らせてネメイオがいう。
「いや、ネメイオお前いつまでいるつもりだよ」
「いいじゃない。 ここが気に入ったわ入居する」
「まあ、いいんじゃないか」
「そうですね。 構わないのでは」
ディンとセレネがそうこともなくそういった。
(まあ、いいか、空き部屋あるしな)
「そこであなたたちに頼みがあるの」
神妙な面持ちでネメイオが話し出した。
「すげえな」
「うう、上を向きすぎて首がいたい」
俺とディンとネメイオは巨大な都市にいた。 人々か多く行き交い店や建物も大きい。
「世界最大の国、アズリア帝国よ。 ここは首都」
「本当にここにあるのかよ」
「ええ、いままでは一人だったから来るのは躊躇してたの」
「だが、戦争は防がねばならん」
そうディンは真剣な顔でいった。
(あまり乗り気じゃないが......)
それは三日前のこと。
「なに? 手伝ってほしい?」
「ええ、あなたたちとなら、きっとできる」
「盗みか...... 気がすすまんの」
「私はいかな理由があっても悪事には荷担できません。 さあティンクルちゃんあっちにいきましょう」
そういってセレネはティンクルをつれて部屋をでていった。
「俺も正義マンではないけど、盗みはしたくないな」
「返してもらうだけよ。 奴らはアイテムを使って悪用を繰り返しているの。 しかもそれは戦争にも使われている...... 今も隣国へと進行中よ」
ネメイオはそういうと語気を強めた。
「あなたたちは私に恩があるんでしょう。 命は安くなかったはず」
そうネメイオは懇願するようにこちらをみる。
「......戦争なら止めねばならんな」
「はぁ、しょうがないな。 キノコが高くついたぜ。 それでそのアイテムどこにあるんだ?」
「アズリア帝国よ」
一度微笑んだネメイオは、すぐ厳しい顔に戻りそういった。
そして俺たちはアズリアの首都まできていた。
「それで帝国のどこにあるんだ?」
「宮殿よ」
そう指差す方にはでかい宮殿がみえる。
「はぁ!? 宮殿!! 絶対無理だろ!!」
「余のインビジブルなら隠れられる...... 更に余のグレードAのアイテムもあそこにあるな」
「だけど、捕まったら100%死刑だぞ」
「そうね。 でもあの杖は取り返さないと」
ネメイオが真剣な顔でそういう。
「なんなんだその杖ってそんなヤバイもんなのか」
「死者の操杖《ネクロマンシースタッフ》、死んだものを操る杖よ。 それで死んだもの、動物やモンスター、人間なんかを前衛に立たせて、他国を攻めてるの」
「......恐ろしいことするな。 でもそんな大切なものなら、かなり警備が厳しいんじゃないのか、いくら姿を消したとしても盗めるか?」
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そうネメイオが厳しい顔で宮殿をみていた。
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