異世界アパートを取り戻す! ~魔王と俺の大冒険~

曇天

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第四十二話

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「これはどういうことです!?」

「見てのとおりだセレネ。 下の部屋に繋がっていた。 そしてこの部屋にいたのは......」

 皆の目がネメイオにそそがれる。

「な、なんですか!? 誰かがここにおいたのかもしれません!」

 ネメイオはそう否定する。

「そりゃないだろ。 こんな小細工、他に誰ができるんだ。 俺たち以外なら管理を任せていたお前だけだろ」

「うちの社の者なら可能でしょう?」

「ああ、だろうな。 でもお前は怪盗のことを知っていた。 世界をめぐっていたセレネでさえ知らないことをな」

「たまたま知っていただけです。 ギルドのものも知っていたはず、それは証拠にならないでしょう」

「いいえ、なります」

 その時ティンクルがはいってきた。

「なるとはどういうことだ? ティンクル」

 ディンがきいた。

「ええねえさま。 ギルドに聞いてきました。 怪盗ロイヤルシーフは闇の世界で噂の者、一般に知られたものではありません。 普通の人ネメイオさんが知るはずないのです」

「たまたま...... いえ、もういいわ。 隠しても捕まったらばれちゃうもんね」

 ネメイオはそういうと、微笑んだ。

「やはりネメイオ!! 貴様! わしが仕事をやったというのに! 裏切りおったか!」

「裏切るなんて勘違いしないで、元々その指輪を狙って潜り込んだだけよぶたさん」

「ぶ、ぶたさん......」

「目的は指輪か?」

「ええ、それを返してほしかっただけ。 でもムカつくやつだから、お金もついでにいただこうと欲をかいたのが失敗ね」 

(返してほしい......)

 ネメイオはメガネをはずす。

「なんだ......」

 甘いかおりが部屋を包んだ。

「うっ...... なんだ」

「ふぁ......」

 アズレイとティンクルはその場に倒れる。

「これは......」

 俺たちはひざまづく。

「睡眠魔法よ。 そのメガネは魔法のアイテムなの」

 そういってネメイオはほほえむと、アズレイから指輪を抜いた。

「じゃあね...... 結構あなたたちは面白かったけど、わたしにはやることがあるから」

 立ち上がりネメイオの腕をとらえた。

「なっ!?」

「悪いけど、こいつは返してもらうよ」

 指輪を取り返して、ディンに渡した。

「効かない!? まさか!!」

「うむ、サキミに言われて魔法防御をつかっていたのでな」

「くっ!」

 
「この盗人が!! 貴様など死刑だ!!」

 アズレイが捕縛したネメイオにむかって怒鳴っている。

「ほれ、約束の指輪を守ったぞ」

「ふん」

 アズレイは指輪をひったくる。

「これで契約は終了だな」

「ああ、確かにな...... だが、金は払わんぞ」

「なんだと!!」

「まあ、まてディン」

 そう怒るディンを制する。

「なんでだ?」

「ここを見ろ。 契約書には期日内に財産を守るとかいてある。 お前たちはその間守れなかったろう? だから払う必要などない!」

 そう契約書を俺に突きつけた。

「......確かにな。 そうかいてある。 わかった。 じゃあ帰ってくれ」

「がははははっ、わかればいい! さあ、荷物を運べ」

「は? なんで?」

「ここにもってきたわしの金や家具などだ。 早く運べ」

「おっかしいな。 そんなの契約書にないっすけど、ほら」

 俺は契約書をアズレイの顔面につきつけた。

「き、きさま!! ふん! そんな態度をとればどうなるか、あとで教えてやる! そこにおいておけ! 兵に運ばせる!!」

 アズレイはそう捨て台詞をはいて、ずかずかと部屋をでようとする。

「いやー、あととかあるんすかねー」

「なんだと!?」

「すみません」

 ドアがあいた。 そこには国の役人らしきものが複数いた。

「役人か...... 盗人ならあそこだ! さっさと仕事をしろ! 税金ドロボーども!」

 そう罵倒されて役人たちは怪訝な顔をしている。

「あっ、大丈夫です。 そいつの金はここにありまーす」

「わかりました」

 そういうと役人は部屋に入り、金のはいった袋を確認しはじめる。

「な、なにをしている!? それはわしの金だ!!」

「ええ、わかっていますアズレイさん。 ですが、あなたに脱税の嫌疑がありまして、確認させていただきたいのです」

「なっ!? 脱税!!」

 アズレイの顔がみるみる青ざめる。

「ねえねえ、脱税とかしたら、どうなるんですか?」

 俺は役人にそうきく。

「そうですね。 追徴課税として重税がかかり、かつ悪質な場合は長期の投獄ということになっています」

「まあ、アズレイさんはそんなことしませんよねー」

 アズレイから返事はない。 心ここにあらずといったようすだ。

 役人たちは、袋と聴取のためアズレイを連れていった。

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