異世界アパートを取り戻す! ~魔王と俺の大冒険~

曇天

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第四十九話

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「ここが、ジャルスタークか」

 巨大な都市がそこにあった。 俺とネメイオ、ディンはジャルスタークへときていた。 その都市バーナクールはアズリアの首都と同等かそれ以上の大きさを誇る。 なにやら人々が沿道に集まり、ものものしい雰囲気がしている。
 
「ん? なんだ」

 重武装した騎士やら、正装の杖をもった集団やら、が隊列を組んでいる。

「また、戦争か......」

「次はどこだ?」

「アズリアだとさ」

「おいおい! 大戦争だろ! 早くにげないと」

 住人はそうざわざわと話していた。

「やばいな...... これは死者の操杖《ネクロマンシースタッフ》がないことを知られたのか」

「双身の魔鏡の効果はせいぜい一日だからな」

「ええ、それがばれて出陣するみたいね。ただ整列してたいきしてるところをみると、確信まではいってないみたいね。 戦争が始まる前に早く王冠を盗みましょう!」

 ネメイオがそうあせる。

「よし、あの丘にいくぞ」

 人のいない丘へといく。 そこから城が見えている。 

「では完全隠蔽《パーフェクトインビンシブル》を使う。 かなりの魔力を使うから、余に魔力を」 

「わかった」

 ドレインリングで魔力を与える。

「よし、いくぞ」

 ーー我らのその身を、光ある現世から、光なき隔世へと、転じろーー

「完全隠蔽《パーフェクトインビンシブル》」

「本当に見えないのか?」

「魔法をかけたもの以外にはその姿、音、魔力、全てが認知できなくなる。 ただこちらも解くまで魔力が感知できんし、魔法つかえん。 使えばすぐさま解除される」

「すごいわね......」  

「じゃあいこう」
 
 俺たちはそのまま城へと走った。


「なるほど、相手にさわっても、さわられたことすら認識してないみたいだな」

 城の兵士にふれてみるが、なにも気にしてないようだった。

「恐ろしい魔法ね。 あの魔族の人がつくったのよね」

 ネメイオがそう信じられないという風にいった。

(ティンクルとセレネ以外には魔王とは伝えてないからな)

「そうだディン。 お前はあいつの世話をしてたんだよな」

「まあ、そうだ。 もちろん仲がよかったのもあるが、ライゼはその魔法を己のためだけに後先考えずつくるからな。 だからよくみておかないと危険だった。 しかし余もやることがあったからな」

(魔族と人間との戦いか、封印はその間のためか......)

「確かに...... あんな魔法をいくつもつくられては危険ね」
 
 ネメイオがそううなづく。

「しかし、この広い宮殿どこを探す」

「まあ隠しているはずね。 警備の厚い中央か、地下ってとこかしら、手分けして探すしか......」

「ディンこの魔法本当に大丈夫なんだろうな」

「多分な...... アパートで試したろ」

 少し不安げにディンがいった。

「私は地下を探すわ」

「余は王や大きな部屋だな」

「じゃあ俺は中央だな。 終わったらここで待ち合わせよう」
 
 別れて調べ始める。

 
「しかし、この警備見つかったら終わりか...... 多分死者の操杖《ネクロマンシースタッフ》が盗まれたことをしって、警備を強化してるのかもな」
 
 通路にひしめくようにいる兵士たちを抜けて、中央の部屋へといそぐ。

「まだ諜報員からの連絡はないのか......」

 そう開け放たれた大きな部屋から声が聞こえてきた。

 見ると、玉座に座る王さまらしきものが、ひざまずく偉い感じの騎士に話していた。

「はっ、今だ確定せぬ情報ですのでいましばらくの猶予を......」

「王よ。 間違いなく死者の操杖《ネクロマンシースタッフ》はアズリアより失われおります......」

そう王のそばにいる仮面のグラディスがいた。

「あいつ!? グラディスかまたなにかたくらんでんのかよ!」

「こうグラディスも申しておる」

「しかし...... もしこれがアズリア側の罠なれば、我が方は多大な被害を被り滅びにひんするやもしれません」

 騎士がそう王に進言している。 どうやらグラディスを疑っているようだ。

「だがグラディスは瞬天の王冠《ムービングクラウン》を我が国にもたらした賢者、そのグラディスがいうのだぞ」

「もうしばしのお時間を...... その事がわかり次第、全軍を王都に送り込み国を滅ぼしてごらんにいれます」

 騎士はやんわりとその場をおさめた。

(やっぱ深くか変わってんな...... 早く王冠を手に入れないと......)

「マーザルスさま!!」

 そのとき俺の横を抜けて一人の兵士がやってきた。

「何事だ」

「地下、魔導室にて何者かが、王冠に近づいたとのこと!」

(ネメイオか!)

「なに! よし兵士を向かわせろ!」

「私もいきましょう......」

 マーザルスと呼ばれた騎士とグラディスも部屋を出て地下へとむかう。 俺はその後ろについて地下へとついていった。
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