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第五十四話
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「なんでディンと同じ顔なんだ......」
「余と同じ......」
ディンがつぶやいた。
「くっ! ブラッククラウド」
グラディスが煙幕のように黒い煙を放った。
その煙が晴れるとそこにはもうグラディスの姿がなかった。
「なんとか退けたな。 しかし......」
ゴーレムを見ながらディンはいった。
「ああ、でもあのグラディスの顔はどうみてもディンだったよな......」
「そうねそっくりだった。 双子? それでも千年前なら存在しないか......」
ネメイオが首をかしげた。
「わけがわからんな。 余は生まれたときからひとりぼっちだった...... あのグラディスというもの何者だ?」
ディンも知らないようだ。
「......しかし、これは魔晶だ。 魔力を回復しておこう」
倒れたゴーレムについていた宝石から魔力を回復している。
「まあ、ディンが知らんのだったらしかたない。 それよりあいつがなんでここにきてたかってことだ」
「そうね。 私たちを探してたって訳じゃなさそう」
ネメイオがそういうとディンがうなづき、周囲を見回す。
「そこかしこに掘った穴があるな」
「ディン魔力探知でなにかないか探ってくれ」
「わかった」
ディンは目を閉じ集中している。 そしてうろうろ歩くとある場所で止まる。
「ふむ、ここのかなり下に魔力を感じる......」
「ネメイオ知ってるか?」
「わからないわ。 私の国は古い国で遥か昔からあったらしいけど......」
魔力を追って地面を掘り始めた。
「あった!」
かなり深く魔法で地面を掘ると、小さな宝石箱のような金の縁の黒い箱が土のなかからでてきた。
「それだ。 かなり強い魔力を感じるな」
「開けてみて」
そうネメイオがいう。
「罠とか大丈夫かよ......」
箱を開けると、中からペンダントがでてきた。
「おい、ペンダントだぞ......」
振りかえると二人は遠く柱のかげにいた。
「ふざけるな!! おまえら!!」
「もし罠ならば三人より一人の犠牲がよかろう」
「ええ、それが合理性といものよ」
「だまれ薄情ものども!!」
「......それにしてもペンダントとはな。 みたことはないが魔法アイテムだろう。 ライゼに見せてみるか」
ディンは近づくとそのペンダントをしげしげ見つめている。
「あのグラディスってやつ、これを探してたのは間違いないわね」
「だとするならこれは渡したらだめだな」
そういうと二人はうなづいた。
「サキミどの」
転移でアパートにかえると、真剣な顔でセレネが近づいてきた。
「なにかあったのか......」
「オーガたちがこちらに軍隊が近づいているといってきました。 恐らくベルクセアです。 いまは陣をひいているそうです」
「ベルクセアが攻めてきている? あいつらしょうこりもなく」
「それでテレウスの将軍が話にきています」
そう後ろに屈強な男がたっていた。
「私はテレウスの将軍タイルドともうします。 セレネどのからお聞きしたようにベルクセアの全軍がこちらに向かっていて、ここは戦場となる。 そこでこの建造物をお借りしたいのです」
「砦か......」
「はい、簡易の砦としてここから弓や魔法による攻撃や補助を......」
「断る! ここがボロボロになるだろ!」
「しかし、戦場となればこの建造物も破壊はされます。 なにせ全軍同士の戦い......」
「勝算は......」
セレネがそう問いかけると、目をつぶる。
「勝算は薄い。 元々兵力は向こうが多い。 最近更に軍備を増強したようでした。 我が方とちがい、ベルクセアは経済がうまく行っておらず更なる軍備強化の方向にむかいましたから......」
「失敗を揉み消すために兵をあげたということですか......」
ミーナはそうつぶやく。
「......元々、王族の散財や放漫経営で経済ががたがたでしたから......」
「だから戦争とは短絡的な...... 王とは呼べぬな」
ディンが不快そうにいった。
「兵などいくら減ってもまた徴発すればよいとてみも思っておるのでしょう。 我が王はそのような方ではないので、この国は発展しておりますが、それも憎しみの対象でもあるのでしょうね」
「だが、国が滅んじまったらいくら正しくても関係ないからな」
「それは......」
タイルド将軍はくちごもる。
「なあ...... そこで相談なんだが」
俺は将軍に話を持ちかけた。
「余と同じ......」
ディンがつぶやいた。
「くっ! ブラッククラウド」
グラディスが煙幕のように黒い煙を放った。
その煙が晴れるとそこにはもうグラディスの姿がなかった。
「なんとか退けたな。 しかし......」
ゴーレムを見ながらディンはいった。
「ああ、でもあのグラディスの顔はどうみてもディンだったよな......」
「そうねそっくりだった。 双子? それでも千年前なら存在しないか......」
ネメイオが首をかしげた。
「わけがわからんな。 余は生まれたときからひとりぼっちだった...... あのグラディスというもの何者だ?」
ディンも知らないようだ。
「......しかし、これは魔晶だ。 魔力を回復しておこう」
倒れたゴーレムについていた宝石から魔力を回復している。
「まあ、ディンが知らんのだったらしかたない。 それよりあいつがなんでここにきてたかってことだ」
「そうね。 私たちを探してたって訳じゃなさそう」
ネメイオがそういうとディンがうなづき、周囲を見回す。
「そこかしこに掘った穴があるな」
「ディン魔力探知でなにかないか探ってくれ」
「わかった」
ディンは目を閉じ集中している。 そしてうろうろ歩くとある場所で止まる。
「ふむ、ここのかなり下に魔力を感じる......」
「ネメイオ知ってるか?」
「わからないわ。 私の国は古い国で遥か昔からあったらしいけど......」
魔力を追って地面を掘り始めた。
「あった!」
かなり深く魔法で地面を掘ると、小さな宝石箱のような金の縁の黒い箱が土のなかからでてきた。
「それだ。 かなり強い魔力を感じるな」
「開けてみて」
そうネメイオがいう。
「罠とか大丈夫かよ......」
箱を開けると、中からペンダントがでてきた。
「おい、ペンダントだぞ......」
振りかえると二人は遠く柱のかげにいた。
「ふざけるな!! おまえら!!」
「もし罠ならば三人より一人の犠牲がよかろう」
「ええ、それが合理性といものよ」
「だまれ薄情ものども!!」
「......それにしてもペンダントとはな。 みたことはないが魔法アイテムだろう。 ライゼに見せてみるか」
ディンは近づくとそのペンダントをしげしげ見つめている。
「あのグラディスってやつ、これを探してたのは間違いないわね」
「だとするならこれは渡したらだめだな」
そういうと二人はうなづいた。
「サキミどの」
転移でアパートにかえると、真剣な顔でセレネが近づいてきた。
「なにかあったのか......」
「オーガたちがこちらに軍隊が近づいているといってきました。 恐らくベルクセアです。 いまは陣をひいているそうです」
「ベルクセアが攻めてきている? あいつらしょうこりもなく」
「それでテレウスの将軍が話にきています」
そう後ろに屈強な男がたっていた。
「私はテレウスの将軍タイルドともうします。 セレネどのからお聞きしたようにベルクセアの全軍がこちらに向かっていて、ここは戦場となる。 そこでこの建造物をお借りしたいのです」
「砦か......」
「はい、簡易の砦としてここから弓や魔法による攻撃や補助を......」
「断る! ここがボロボロになるだろ!」
「しかし、戦場となればこの建造物も破壊はされます。 なにせ全軍同士の戦い......」
「勝算は......」
セレネがそう問いかけると、目をつぶる。
「勝算は薄い。 元々兵力は向こうが多い。 最近更に軍備を増強したようでした。 我が方とちがい、ベルクセアは経済がうまく行っておらず更なる軍備強化の方向にむかいましたから......」
「失敗を揉み消すために兵をあげたということですか......」
ミーナはそうつぶやく。
「......元々、王族の散財や放漫経営で経済ががたがたでしたから......」
「だから戦争とは短絡的な...... 王とは呼べぬな」
ディンが不快そうにいった。
「兵などいくら減ってもまた徴発すればよいとてみも思っておるのでしょう。 我が王はそのような方ではないので、この国は発展しておりますが、それも憎しみの対象でもあるのでしょうね」
「だが、国が滅んじまったらいくら正しくても関係ないからな」
「それは......」
タイルド将軍はくちごもる。
「なあ...... そこで相談なんだが」
俺は将軍に話を持ちかけた。
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