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居場所
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「どうしてですか? このまま引き渡せばこの町は無事のはず......」
怪訝な顔をして、詞葉が聞くと、
「いいえ、貴女を引き渡しても理由をつけてここに攻めてくるでしょう。
ここの制度が他の町に影響を与えるのをよしとしないでしょうから.....」
「制度......気にはなっていたが、さっきの物売りの娘が言っていた。
正規の値段じゃなければ商売できないという......」
蒼真が言うと、詞葉様は
「それがどうかしたの?」
「かつては厳しい規制がありましたが、恒枝様が王の代理となって玄蓬殿がその補佐についてから、
この玲では商業の規制を撤廃する法ができました。
ですから、これに反するのは重罪となります」
蒼真が詞葉に説明すると、
「それで......でも何故、そのお蔭でこの国は豊かにはなったんですよね」
「......ええ、確かに、国としては豊かにはなりましたが、仕事も無限にあるわけではない。
限られたものを皆で奪い合えばどうなるかは、詞葉様は見てこられませんでしたか」
冴瑛に言われ詞葉は、最初町であった子供達のことが脳裏を掠め言った。
「一部の持つ者と、多数の持たざる者を生み出す......」
「それは、わかっているが......だが、それが正当な競争というものでしょう」
蒼真が仕方ないという風に答えると、
「そうですね、では蒼真様は平等や公平がこの世にあると考えますか」
「それはあればいいが、何をもって公平や平等とするかも分からない、夢想というものでしょう」
「ええ、わたくしもそう思います、ならばわたくしが蒼真様の地位に就くにはどう競争すれば良いのでしょう」
「それは、仕官し勲功を重ねて昇進し......」
「いいえ、競争とは勝つか負けるかなのだから、
貴女を殺して地位を奪えば良いのです」
「なっ! 無茶な、そんなこと法や倫理があるでしょう!」
憤る蒼真に、少し意地悪そうに見返しながら
「ですが、法や倫理とは、いわば公平さや平等を基にするものではないのでしょうか、ですが、それはないのですよね」
それは......と口ごもる蒼真の横から詞葉が、
「つまり、正当な公平さや平等さを基にしなければ成り立たない正当な競争もまたないと......」
「はい、公平や平等、正当な競争も所詮理想にすぎません。
あるのは無秩序な競争だけ、ですが競争も公平も平等も社会には必要でしょう。
過ぎた不平等感や貧富の格差は、民族、国家、経済、宗教、思想を理由にして暴力を用いる者を増やし、
混乱をまねいてしまう。
それゆえ、父、清瑛はこの町を作ったのです」
冴瑛は一呼吸置いて話しを続けた。
「父は常々、社会には居場所が必要だと言っていました。
自分が認められる場所、自分を認められる場所でしょうか、
そしてその一つが仕事を作ることによる経済的、社会的に安定させること。」
「だから、この町では商売の条件として、元値、売値、売上、雇用数、雇用賃金、納税額を提出させ、
その後そ町の住民にその情報を開示、各々の判断で取引を行わせます。
事実確認は町の人間の投票で選ばれた代表が行うのです。」
そう冴瑛がいうと、
「情報開示で人を何人、いくらで雇ってるか町の人が考えられるなら雇用を増やせるのかも知れない」
「社会や自分に益があるかないかを、
法や強制ではなく売り手や買い手に自己判断させる仕組みか」
詞葉と蒼真が納得した顔見て、冴瑛は、
「玄蓬様は、大商人や貴族など富裕層を優遇して短期にお金を集める政策を取っています。
それゆえ、この町のやり方を阻止したいのでしょう」
「それでこの町を排除したいのか......
冴瑛さんはこの町を守るため中央と戦うということですか」
詞葉が冴瑛に問いかけると、冴瑛は目をつぶりながら、
「......それだけではありません。
最初、兵や物資を集めているといいましたが、それはこの町への進攻にしては数が多すぎるのです」
「それって......」
「ええ、恐らく他国との戦争の為、わたくしはそれを止めたいのです」
「戦争だと!? 玄蓬殿は一体何を考えているのだ!」
驚く蒼真に落ち着くよう言った詞葉が
「冴瑛さんには止める策があるのですね」
「策は立てられるでしょう、ですがそれには貴女方の力が必要です」
冴瑛はそう詞葉を見つめて言った。
「わかりました。
戦争を止める為、覚悟を決めます」
「私も命を懸け戦う、何でもいってくれ」
詞葉と蒼真がまっすぐ目を見て、冴瑛に言った。
「わかりました。
もし、玄蓬様が戦争をしたくても王の裁可がないと戦争は出来ません。
少しばかりの猶予はあるでしょう。
まず、お二方の深精を教えてくださいませんか、それを使って戦略をたてましょう」
詞葉と蒼真は自分の深精について知ってることを全て伝えた。
「なるほど、蒼真様は碧燕《へきえん》、霧猊《むげい》、音蛙《おんけい》ですね、そして詞葉様は洸魚《こうぎょ》随分珍しい深精の種族と契約されましたね。
これならなんとかなりそうです。
詞葉様には、深清の使い方、あと蒼真さまの深精には他の能力もありますので後でお伝えします」
冴瑛がそう言うと、詞葉は、
「深精の事、随分詳しいのですね」
「ええ、父は昔から、深精について調べていて、各国を巡り深精に関する書物、文献、契約した人々の話を集めていました。
わたくしも、それで興味を持ち調べるようになったのですよ」
実はと、詞葉は深精界で感じた暗闇からの声と別の声のことも聞いてみたが、
「それは聞いたことがありませんが......かなり力を持つ深清かもしれませんね。
もしかして詞葉様、恒枝様の事、深精に魅入られたと思ってらっしゃるのですか」
「......ええ、もしかしたらと......」
そう沈んだ声を出す詞葉を蒼真が心配そうに見つめていた。
それから、冴瑛は明日行う策を二人に伝えている内に日が落ちてきたので、
夕げを取って明日の為に休息を取ることにした。
その夜
眠れず庭に出て朧月を見ていた詞葉に、
「眠れないのですか、詞葉様」
と蒼真が声をかけた、
「ええ......蒼真さんも」
「はい......実は貴女にお伝えしなければいけないことがあったのです」
そう言いながら、蒼真は一つの宝石のようなものを差し出した。
「これは......この世界に来るときに」
「はい、これは転界珠《てんかいじゅ》といい、下界とこの世界を移動できる、希少な宝珠です。
詞葉様、これを使えば下界に帰る事ができます。
貴女に嫌疑をかけることに成功した今なら、死んだことにすることも可能でしょう。
わざわざ下界まで追っ手を放たないかもしれない、ですから......」
少しの沈黙の後、
「......それは使いません、まだ帰れないんです」
「ここからは、死ぬかもしれませんよ」
「......それでもこのまま、戦争を起こさせるわけにはいかないから」
「それは、王の為、それとも国の混乱を避けるため下界へ降りた恒樹さまの想いを汲んで......」
「それもあります、でも、これはわたしの意思、自分が犯した事から逃げずに向き合いたい。
そして、このわたしが出来ることがあるなら、やるべきことがあるなら帰るわけにはいかない」
覚悟をしたような強い目をしてそう言う詞葉を見て、
蒼真は胸に手を当てかしずくと
「巻き込んでしまい申し訳ございません」
「貴女は命じられただけですし、蒼真さんがいなければわたしは殺されていたかもしれない。
感謝していますから、頭を上げてください」
「いいえ、私が命を受けたのは事実ですが、勝手ながら恒樹様の子供の貴女ならば、この国の王になってくれるのでは、と期待して連れてきたのです。
ですが、それは私の逃げ......
私は貴女に王になっていただきたい、それは王家の血筋だからではなく、貴女自身にその資質を見たからです。」
蒼真は詞葉を真正面から見つめて言った。
「まだ......わたしは王になるかは決められない、でも必ずこの戦争を回避してみせる。
......今はそれでいい?」
そう詞葉が笑顔で言うと、はいと蒼真も口元に笑みを浮かばせた。
それを、柱のそばで聞いていた冴瑛は目を閉じると自分の部屋に向かった。
二人を月明かりが射していた。
怪訝な顔をして、詞葉が聞くと、
「いいえ、貴女を引き渡しても理由をつけてここに攻めてくるでしょう。
ここの制度が他の町に影響を与えるのをよしとしないでしょうから.....」
「制度......気にはなっていたが、さっきの物売りの娘が言っていた。
正規の値段じゃなければ商売できないという......」
蒼真が言うと、詞葉様は
「それがどうかしたの?」
「かつては厳しい規制がありましたが、恒枝様が王の代理となって玄蓬殿がその補佐についてから、
この玲では商業の規制を撤廃する法ができました。
ですから、これに反するのは重罪となります」
蒼真が詞葉に説明すると、
「それで......でも何故、そのお蔭でこの国は豊かにはなったんですよね」
「......ええ、確かに、国としては豊かにはなりましたが、仕事も無限にあるわけではない。
限られたものを皆で奪い合えばどうなるかは、詞葉様は見てこられませんでしたか」
冴瑛に言われ詞葉は、最初町であった子供達のことが脳裏を掠め言った。
「一部の持つ者と、多数の持たざる者を生み出す......」
「それは、わかっているが......だが、それが正当な競争というものでしょう」
蒼真が仕方ないという風に答えると、
「そうですね、では蒼真様は平等や公平がこの世にあると考えますか」
「それはあればいいが、何をもって公平や平等とするかも分からない、夢想というものでしょう」
「ええ、わたくしもそう思います、ならばわたくしが蒼真様の地位に就くにはどう競争すれば良いのでしょう」
「それは、仕官し勲功を重ねて昇進し......」
「いいえ、競争とは勝つか負けるかなのだから、
貴女を殺して地位を奪えば良いのです」
「なっ! 無茶な、そんなこと法や倫理があるでしょう!」
憤る蒼真に、少し意地悪そうに見返しながら
「ですが、法や倫理とは、いわば公平さや平等を基にするものではないのでしょうか、ですが、それはないのですよね」
それは......と口ごもる蒼真の横から詞葉が、
「つまり、正当な公平さや平等さを基にしなければ成り立たない正当な競争もまたないと......」
「はい、公平や平等、正当な競争も所詮理想にすぎません。
あるのは無秩序な競争だけ、ですが競争も公平も平等も社会には必要でしょう。
過ぎた不平等感や貧富の格差は、民族、国家、経済、宗教、思想を理由にして暴力を用いる者を増やし、
混乱をまねいてしまう。
それゆえ、父、清瑛はこの町を作ったのです」
冴瑛は一呼吸置いて話しを続けた。
「父は常々、社会には居場所が必要だと言っていました。
自分が認められる場所、自分を認められる場所でしょうか、
そしてその一つが仕事を作ることによる経済的、社会的に安定させること。」
「だから、この町では商売の条件として、元値、売値、売上、雇用数、雇用賃金、納税額を提出させ、
その後そ町の住民にその情報を開示、各々の判断で取引を行わせます。
事実確認は町の人間の投票で選ばれた代表が行うのです。」
そう冴瑛がいうと、
「情報開示で人を何人、いくらで雇ってるか町の人が考えられるなら雇用を増やせるのかも知れない」
「社会や自分に益があるかないかを、
法や強制ではなく売り手や買い手に自己判断させる仕組みか」
詞葉と蒼真が納得した顔見て、冴瑛は、
「玄蓬様は、大商人や貴族など富裕層を優遇して短期にお金を集める政策を取っています。
それゆえ、この町のやり方を阻止したいのでしょう」
「それでこの町を排除したいのか......
冴瑛さんはこの町を守るため中央と戦うということですか」
詞葉が冴瑛に問いかけると、冴瑛は目をつぶりながら、
「......それだけではありません。
最初、兵や物資を集めているといいましたが、それはこの町への進攻にしては数が多すぎるのです」
「それって......」
「ええ、恐らく他国との戦争の為、わたくしはそれを止めたいのです」
「戦争だと!? 玄蓬殿は一体何を考えているのだ!」
驚く蒼真に落ち着くよう言った詞葉が
「冴瑛さんには止める策があるのですね」
「策は立てられるでしょう、ですがそれには貴女方の力が必要です」
冴瑛はそう詞葉を見つめて言った。
「わかりました。
戦争を止める為、覚悟を決めます」
「私も命を懸け戦う、何でもいってくれ」
詞葉と蒼真がまっすぐ目を見て、冴瑛に言った。
「わかりました。
もし、玄蓬様が戦争をしたくても王の裁可がないと戦争は出来ません。
少しばかりの猶予はあるでしょう。
まず、お二方の深精を教えてくださいませんか、それを使って戦略をたてましょう」
詞葉と蒼真は自分の深精について知ってることを全て伝えた。
「なるほど、蒼真様は碧燕《へきえん》、霧猊《むげい》、音蛙《おんけい》ですね、そして詞葉様は洸魚《こうぎょ》随分珍しい深精の種族と契約されましたね。
これならなんとかなりそうです。
詞葉様には、深清の使い方、あと蒼真さまの深精には他の能力もありますので後でお伝えします」
冴瑛がそう言うと、詞葉は、
「深精の事、随分詳しいのですね」
「ええ、父は昔から、深精について調べていて、各国を巡り深精に関する書物、文献、契約した人々の話を集めていました。
わたくしも、それで興味を持ち調べるようになったのですよ」
実はと、詞葉は深精界で感じた暗闇からの声と別の声のことも聞いてみたが、
「それは聞いたことがありませんが......かなり力を持つ深清かもしれませんね。
もしかして詞葉様、恒枝様の事、深精に魅入られたと思ってらっしゃるのですか」
「......ええ、もしかしたらと......」
そう沈んだ声を出す詞葉を蒼真が心配そうに見つめていた。
それから、冴瑛は明日行う策を二人に伝えている内に日が落ちてきたので、
夕げを取って明日の為に休息を取ることにした。
その夜
眠れず庭に出て朧月を見ていた詞葉に、
「眠れないのですか、詞葉様」
と蒼真が声をかけた、
「ええ......蒼真さんも」
「はい......実は貴女にお伝えしなければいけないことがあったのです」
そう言いながら、蒼真は一つの宝石のようなものを差し出した。
「これは......この世界に来るときに」
「はい、これは転界珠《てんかいじゅ》といい、下界とこの世界を移動できる、希少な宝珠です。
詞葉様、これを使えば下界に帰る事ができます。
貴女に嫌疑をかけることに成功した今なら、死んだことにすることも可能でしょう。
わざわざ下界まで追っ手を放たないかもしれない、ですから......」
少しの沈黙の後、
「......それは使いません、まだ帰れないんです」
「ここからは、死ぬかもしれませんよ」
「......それでもこのまま、戦争を起こさせるわけにはいかないから」
「それは、王の為、それとも国の混乱を避けるため下界へ降りた恒樹さまの想いを汲んで......」
「それもあります、でも、これはわたしの意思、自分が犯した事から逃げずに向き合いたい。
そして、このわたしが出来ることがあるなら、やるべきことがあるなら帰るわけにはいかない」
覚悟をしたような強い目をしてそう言う詞葉を見て、
蒼真は胸に手を当てかしずくと
「巻き込んでしまい申し訳ございません」
「貴女は命じられただけですし、蒼真さんがいなければわたしは殺されていたかもしれない。
感謝していますから、頭を上げてください」
「いいえ、私が命を受けたのは事実ですが、勝手ながら恒樹様の子供の貴女ならば、この国の王になってくれるのでは、と期待して連れてきたのです。
ですが、それは私の逃げ......
私は貴女に王になっていただきたい、それは王家の血筋だからではなく、貴女自身にその資質を見たからです。」
蒼真は詞葉を真正面から見つめて言った。
「まだ......わたしは王になるかは決められない、でも必ずこの戦争を回避してみせる。
......今はそれでいい?」
そう詞葉が笑顔で言うと、はいと蒼真も口元に笑みを浮かばせた。
それを、柱のそばで聞いていた冴瑛は目を閉じると自分の部屋に向かった。
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