不完全なる世界にて、契約魔王と怠惰の徒は歩む

曇天

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第二話『異世界初依頼、相手はスモール(?)ヘッドスネーク』──非力でも勝てる方法あります。

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「ここが町か、まあ西洋みたいだな。 異世界だけど言語がわかって助かる」

「ここは大陸南にあるタルシオンという王国ですわ」

 森をでて少ししたら町があった。 そこそこ活気もあり人も多い。 どうやら文字や言葉は理解できるらしい。

「ほらこっちですわ」

「どうでもいいけど、ミリアは人前にでてもいいのかよ」

「この世界には人間とは異なる種族、亜人種たちがいるのですわ。 わたしはその中の妖精ですわ。 妖精は魔力を感じる力が強いので神様から頼まれたですわ」

(たしかにみんな気にしてもいないな。 よくみると猫の顔やとかげみたいな人もいる)

 石畳の通りには色とりどりの屋台が並び、獣の耳をもつ少年たちが客引きしていた。 全てが人間じゃないのが日常らしい。

 飛んでいるミリアについていくと、大きな建物がみえてきた。

「ここ?」

「ええ、ここですわ。 はやく入るのですわ」

 うながされるままに入ると、周囲には武具をもつ屈強な男女がたむろしていた。

「......人生で一番かかわりたくない人種だ」

「なにしてるのですわ。 はやくするですわ」

 カウンターがありそこに座る。

「今日はなんのようだ」

 大柄でスキンヘッドの店主がそういった。

「ええと......」

「なにか必要なものはあるですわ?」

「そうだな。 今はスモールヘッドスネークの皮があればいい」

(皮をもってくる......)

 そういわれ店をでる。

「おい、まさかモンスターとたたかわせるつもりか。 おれはいやだぞ」

「あなたが普通のことでお金稼げるとおもってるんですわ? あれはモンスター屋ですわ。 モンスターの部位を売買するですわ」

「モンスター屋!? いや戦いの方がむりだろ! 普通に食われるわ!」

「そのための第二の器官《セカンドオーガン》ですわ。 戦わなければ飢え死にするのですわ。 さっきのようにやればいいのですわ」

「あんなのたまたま倒せただけなのに......」

「さあ、張り切って命をかけるですわ!」

 うきうきしたようにミリアは飛んでいく。

「くそ...... なんでおれがこんな目に......」

 おれは神様をうらんだ。


「本当にこの腕つかえんのかよ。 とりあえず棒をつかうか、できるだけ大きいやつを......」

 みえない腕に落ちている太い木を握らせてみるが動かせない。 

「あれ動かないぞ」

「その腕はあなたと同じ筋力しかないですわ。 だからあなたがもてないものはもてないのですわ」

「さすがにこの程度の木ならおれでも...... ぐあっ! ......持ち上げられるけどふるのは無理だ」

「......とんでもなく非力ですわ」

 あきれたようにミリアがいった。

「うっさいな。 おれは頭脳労働タイプなの。 肉体労働は不得意なの」

「そんなこと言ってる暇はないですわ。 モンスター討伐は失敗イコール死ですわ。 デッドオアアライブの人生が始まるですわ」

「嬉しそうにいうな。 こっちは本当に命がかかってんだぞ」

「それに第二の器官《セカンドオーガン》は腕だけじゃないですわ。 複数の器官が使えるですわ」

「腕しかないけど......」

「それはイメージが乏しいからですわ。 他の器官も増やせるですわ。 ただ使いすぎると危険ですわ。 聞いてるですわ?」

「......体の器官をつくれるのか」

 使い方を考える。

「この器官はみえないだけ?」

「そうですわ。 そしてあなたと同じ能力ですわ。 あとは存在するのはあなたが意識したときだけですわ」

「なるほど意識してるときだけ存在するのか...... ふむ」

 そのときシュルシュルと地面をする音がした。

「なんだ...... この音」

 茂みから巨大な蛇が現れた。 それはコブラのようでアナコンダ並みの巨大さだった。

「これがスモールヘッドスネークですわ! 倒すですわ!!)

「どこがスモールなんだよ! でかすぎるわ!!」

「ファイアポール!」

 ミリアが炎を出し蛇を牽制した。

「頭がスモールなんですわ! はやく! 倒してくださいですわ!」

 その蛇は蛇行しながらこちらに向かってくる。

「いや、どうやって!?」

「みえない腕でぶん殴るとかですわ!」

「おれは非力なんだぞ! 殴ってこんなでかいのたおせるか!」

「だったら木の棒でなぐるとかするですわ!」

「勝手なことを! 持ちあげるので精一杯なんだよ! きたーー!!」

(し、しかたない試してみるか!)

 蛇がすぐそばまで近づき、鎌首をもたげる。 

「シャーー!!」

 おれは近づかれないように木の棒で威嚇する。

「えい! えい!! よしいまだ!!」

 三つ目の腕で頭上に持ち上げていた木の棒を手を離しておとした。

「ギャッ!!」

 蛇が木の棒の下敷きになりうごかなくなった。
 
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