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第二十二話『冒険者ゼロで依頼殺到』──元副団長を口説け!
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「これが本当のこの国の姿か......」
そこには荒れ果てた町がある。 アラクネを倒して樹海がなくなるともとの国が現れた。
「ああ、もとは美しい国だったよ」
そうナザリオが懐かしげにいった。
廃墟となった町を歩くと、崩れた城がみえた。
「ここは城か。 お宝はあるかな!」
「不謹慎ですわ!」
「ふむ、死者への冒涜じゃ」
「まあ、いいじゃないか」
ナザリオは笑った。
「とくに何かあるわけじゃないですね」
「王宮ならなんかありそうなもんだけどな」
「まあ、もともと豊かな国じゃなかった。 国王は貧しいものに施しをおこなうために金目のものを売り払ったからね」
「ナザリオ、そなたこの貴族につらなるものか?」
そうディムリアがいうと、ナザリオは目をつむる。
「ほんとかよ!」
「まぁな...... いまはただのスラムの顔役だ」
「確かに貴族や王族は魔法を使えるものが多いですわ」
「貴族さまなんですね」
「せっかく貴族なら、楽して生きられたのにもったいないな」
「そうか? 私はいまの生活も気に入っている。 堅苦しい貴族よりはな。 ただ故郷があまりにも悲しい姿なんでな。 あんたらに頼んだって訳だ」
そういってナザリオは懐かしげに壁をさわっている。
「あんたたちには恩ができた。 冒険者ギルドとやらの登録者と依頼人だったね。 こちらからあたってみるよ」
「ああ、頼むぞ」
「ふほほっ」
「ずいぶん、シュンさん嬉しそうですね」
「王国から指定災害モンスター、アラクネの討伐報酬がでたんですわ」
「よし、家具だな!」
「ふざけんな! この城の維持費がかかるんだぞ! かなり借金があるんだ! まだ冒険者ギルドもまだはじまってもないのに!」
「早く始めればよかろう」
「確かにナザリオが集めてくれてなりてが見つかったんだが...... シェリガがいうにはかなり怪しい奴らばっかなんだと、だから登録者にできない」
「ナザリオさんもまとも奴らはなかなか冒険者にはならないかも、って言ってましたね」
「まあ金目あてで危険なことをやろうとするものがまともな訳がないですわ。 あなたのように」
「くっ、冒険者がいないと......」
「でも依頼者は集まりはじめてるですわ」
「そうなんだ。 依頼人が集まってる」
「ということは?」
「我らでこなすしかあるまい。 受けねば信頼はがた落ち、依頼者もいなくなろう」
「......くそっ、やるしかないか」
おれたちは分担して依頼をうけた。
「くはっ...... な、なんとかモンスターを倒した......」
「おっ、これメタルマンティスじゃん! 金属の外皮をもつのによく倒せたな」
メンシァルは喜んでいった。
「......固すぎだ。 腕を何本も増やして殴りまくったぞ。 他は」
「セリエスはいつもどおりモンスターをやまほどかってる。 ミリアもその知識を生かしてアイテムを入手している。 ディムリアはいつもどおり食っちゃねしてるわ」
受け付けもやってくれているシェリガが笑う。
「あのバカ魔王、おれよりだらけてやがる! 明日の依頼に強制的につれていく」
「どうした? ずいぶんやつれてんじゃないか」
そう久々に城にきたナザリオがいう。
「どうしたもこうしたものない...... 毎日のように依頼はあるが、冒険者をみつけられんから自分たちでうけてんだ。 へとへとだ、こんなはずじゃなかった......」
「はははっ、そりゃそうだ。 危ない仕事の金目あてに集まるやつなんて、どうせろくなやつはきやしない。 最初にそういったろ?」
「でも、それじゃ仕事にならん。 国からも依頼がある」
「なら報酬をあげるんだな。 この額でヤバイことをするやつはいない」
「もう取り分を増やせるほど金はない!」
「なら諦めな。 金も払わず危険で大変な仕事をやるやつはいない。 この仕事を畳むんだね」
「いやだ! ここまでやったんだ! 諦められない! わかった金を払うから! だ、誰か信頼できて強いやつ一人でもいいから紹介してくれ」
「信頼できるやつか...... 金絡みじゃなくてじゃ、こんなヤバイ仕事うけてはくれないよ」
「で、でももうこれ以上仕事はうけられん!」
「ならへらしゃいいじゃないか」
「だめだ! もしうまく回るようになるとき、依頼者が少なければ金にならん」
「取らぬ狸のなんたらってね...... あきれた。 ただ信頼できるやつがいなくもない」
「まじか! 紹介してくれ!」
「そいつは隣国ガストリオ公国の元騎士団の副団長だったんだ。 強さはおりがみつきさ」
「副騎士団長! そんな人、なぜ最初に紹介してくれなかった! いじわるか」
「いじわるじゃないさ。 なかなか頑固なやつでね、 あたしだって説得はできなかったんだよ。 ただあんたなら説得できるかもしれない」
「なぜおれが? 自分でいうのはなんだが、おれは生粋のクズだぞ」
「本当に自分でいうもんじゃないね...... そいつは騎士らしく真面目でね。 あんたは正直ではある。 変な画策はしないだろ」
「まあな。 そういうのめんどい」
「はははっ、まあ説得してみな。 それにあんたは自分で思ってるほど悪いやつじゃない。 うまくすれば説得できるかもしれない」
「?」
なんだかわらないがそういってナザリオは、元騎士副団長ーールードリヒの場所を告げるとかえっていった。
そこには荒れ果てた町がある。 アラクネを倒して樹海がなくなるともとの国が現れた。
「ああ、もとは美しい国だったよ」
そうナザリオが懐かしげにいった。
廃墟となった町を歩くと、崩れた城がみえた。
「ここは城か。 お宝はあるかな!」
「不謹慎ですわ!」
「ふむ、死者への冒涜じゃ」
「まあ、いいじゃないか」
ナザリオは笑った。
「とくに何かあるわけじゃないですね」
「王宮ならなんかありそうなもんだけどな」
「まあ、もともと豊かな国じゃなかった。 国王は貧しいものに施しをおこなうために金目のものを売り払ったからね」
「ナザリオ、そなたこの貴族につらなるものか?」
そうディムリアがいうと、ナザリオは目をつむる。
「ほんとかよ!」
「まぁな...... いまはただのスラムの顔役だ」
「確かに貴族や王族は魔法を使えるものが多いですわ」
「貴族さまなんですね」
「せっかく貴族なら、楽して生きられたのにもったいないな」
「そうか? 私はいまの生活も気に入っている。 堅苦しい貴族よりはな。 ただ故郷があまりにも悲しい姿なんでな。 あんたらに頼んだって訳だ」
そういってナザリオは懐かしげに壁をさわっている。
「あんたたちには恩ができた。 冒険者ギルドとやらの登録者と依頼人だったね。 こちらからあたってみるよ」
「ああ、頼むぞ」
「ふほほっ」
「ずいぶん、シュンさん嬉しそうですね」
「王国から指定災害モンスター、アラクネの討伐報酬がでたんですわ」
「よし、家具だな!」
「ふざけんな! この城の維持費がかかるんだぞ! かなり借金があるんだ! まだ冒険者ギルドもまだはじまってもないのに!」
「早く始めればよかろう」
「確かにナザリオが集めてくれてなりてが見つかったんだが...... シェリガがいうにはかなり怪しい奴らばっかなんだと、だから登録者にできない」
「ナザリオさんもまとも奴らはなかなか冒険者にはならないかも、って言ってましたね」
「まあ金目あてで危険なことをやろうとするものがまともな訳がないですわ。 あなたのように」
「くっ、冒険者がいないと......」
「でも依頼者は集まりはじめてるですわ」
「そうなんだ。 依頼人が集まってる」
「ということは?」
「我らでこなすしかあるまい。 受けねば信頼はがた落ち、依頼者もいなくなろう」
「......くそっ、やるしかないか」
おれたちは分担して依頼をうけた。
「くはっ...... な、なんとかモンスターを倒した......」
「おっ、これメタルマンティスじゃん! 金属の外皮をもつのによく倒せたな」
メンシァルは喜んでいった。
「......固すぎだ。 腕を何本も増やして殴りまくったぞ。 他は」
「セリエスはいつもどおりモンスターをやまほどかってる。 ミリアもその知識を生かしてアイテムを入手している。 ディムリアはいつもどおり食っちゃねしてるわ」
受け付けもやってくれているシェリガが笑う。
「あのバカ魔王、おれよりだらけてやがる! 明日の依頼に強制的につれていく」
「どうした? ずいぶんやつれてんじゃないか」
そう久々に城にきたナザリオがいう。
「どうしたもこうしたものない...... 毎日のように依頼はあるが、冒険者をみつけられんから自分たちでうけてんだ。 へとへとだ、こんなはずじゃなかった......」
「はははっ、そりゃそうだ。 危ない仕事の金目あてに集まるやつなんて、どうせろくなやつはきやしない。 最初にそういったろ?」
「でも、それじゃ仕事にならん。 国からも依頼がある」
「なら報酬をあげるんだな。 この額でヤバイことをするやつはいない」
「もう取り分を増やせるほど金はない!」
「なら諦めな。 金も払わず危険で大変な仕事をやるやつはいない。 この仕事を畳むんだね」
「いやだ! ここまでやったんだ! 諦められない! わかった金を払うから! だ、誰か信頼できて強いやつ一人でもいいから紹介してくれ」
「信頼できるやつか...... 金絡みじゃなくてじゃ、こんなヤバイ仕事うけてはくれないよ」
「で、でももうこれ以上仕事はうけられん!」
「ならへらしゃいいじゃないか」
「だめだ! もしうまく回るようになるとき、依頼者が少なければ金にならん」
「取らぬ狸のなんたらってね...... あきれた。 ただ信頼できるやつがいなくもない」
「まじか! 紹介してくれ!」
「そいつは隣国ガストリオ公国の元騎士団の副団長だったんだ。 強さはおりがみつきさ」
「副騎士団長! そんな人、なぜ最初に紹介してくれなかった! いじわるか」
「いじわるじゃないさ。 なかなか頑固なやつでね、 あたしだって説得はできなかったんだよ。 ただあんたなら説得できるかもしれない」
「なぜおれが? 自分でいうのはなんだが、おれは生粋のクズだぞ」
「本当に自分でいうもんじゃないね...... そいつは騎士らしく真面目でね。 あんたは正直ではある。 変な画策はしないだろ」
「まあな。 そういうのめんどい」
「はははっ、まあ説得してみな。 それにあんたは自分で思ってるほど悪いやつじゃない。 うまくすれば説得できるかもしれない」
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