不完全なる世界にて、契約魔王と怠惰の徒は歩む

曇天

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第二十四話『第二の器官《アイズ》発動! 監視と陰謀の森へ』──戦う理由は、女王の真意。

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(くそっ、妙なことになった)

 おれたちは隣の国、ガストリオにはいった。 町並はそこそこ整っているが、それほど裕福そうではなく人々の表情もくらい。 それに人相の悪い武器をもつものたちが肩で風を切り闊歩《かっぽ》している。

「なんか暗いな」

「ああ、経済状態があまりな...... 税金も上がっているので、生活もあまり良くないのだ」

「それに、なんか良くないものたちがいるようですわ」

「最近、増えてきたんだ。 よその国のものらしい傭兵だ......」

「それで、どうやるつもりじゃルードリヒ」

「まずは女王さまの真意を確かめたい。 本当にどう思われているのかを、だから城にむかう」

「でも、騎士団やめたのですわ。 お城にはいれるのですわ?」

「一応、戦いによる身体の不調ということにしてある。 未練があったのかもな」

「それならなおったことにすればはいれるのか」

「ああ、一応貴族だ。 入ることは可能だが...... 女王に取り次いでもらうのは難しい」 

「それならばよき方法がある」

 ディムリアは広角をあげ親指をたてた。

(......こいつの笑顔、なんだいやな予感しかしない)


「......この国の指定災害モンスターを倒したいともうすのか? ルードリヒ」

 そういうのは温厚そうな老人ーー大臣クレンベルだった。 そのとなりにいる怪しげな仮面を被っているのが、モンスターをつくっているという【グアレナ】だとルードリヒが小声で教えてくれた。

「はい、騎士団をやめましたが、体調を戻し始めたので彼らとともに指定災害モンスターを討伐に参りたいと思いますのでご許可をお願いします」

「ふむ、しかし病み上がりで大丈夫なのか?」

「はい、彼らは指定災害モンスター、バジリスク、デザートワーム、アラクネを討伐したメンバーです。 彼らと共にならば戦えましょう」

「なに!? 確かに少年たちが倒したとは聞き及んでいるが、君たちだったのか」

「そうじゃ! 我らが倒した」

「そうですわ!」

(最悪だ! 女王にあう方法ってこういことかよ! またあんな化け物と戦うのか! セリエスもいないのに! 許可でるな! 許可でるなよ!)

「わかった...... ではキメラを倒してもらいたい」

(ぎゃあおおおおおおお!!!!)

「キメラ...... どのようなモンスターですか」

「ああ、そなたら騎士団が倒したものだ。 最近指定したさまざまな生物の性質をもつモンスターで、キメラと名付けた。」

「あれは! しかし倒したはず......」

「それがまだ現れ出たという。  あれはいずれこの国に害をなす。 倒せば報奨は取らせるゆえ頼む」

「......はっ! 我らならたおしてみせましょう」

「は、はい」

 おれたちはキメラというモンスターと戦うことになった。

「本当に戦うつもりか?」

「そうじゃ、それしか我らが女王と会うチャンスがなかろう?」

「せめてセリエスをよぼうぜ」 

「セリエスには依頼をこなしてもらっているですわ。 私たちの五倍はこなせるですわ」

(くそっ、この三人では危険すぎるな)

「キメラってのがこの国が作ったモンスターか...... なぜわざわざ戦わせる」

「わからない。 ただ倒せば女王にあえる。 そうすればこの事を報告できよう」

「はぁ、やるしかないか......」

 おれたちは女王にあうためキメラ討伐へとむかった。


「ここが大臣のいっていたキメラのいる場所か......」

 そこは木々のしげるおおきな森だった。

「ああ、ここにいるとのことだ...... ここは元々新魔法の実験場だった」

「それがモンスターの実験に使われているのですわ」

「かもしれん。 それならこっちを監視しているやつもいるかもな。 よし密かに試していた力を試すか」

「ほう、第二の器官《セカンドオーガン》のか、どんな力だ」

 ディムリアが興味深げにきいてくる。

「まあ、みていろ。 第二の器官《セカンドオーガン》、第二層《レイヤー》目《アイズ》」

 おれは歩きながら目をつぶる。

「目をつぶって歩くと転ぶですわ」

「いいや」

 景色が見えてきた。 眼下におれたちが歩く姿がみえた。

「どういうことだ目をつぶっているのに木にも枝にもぶつからんの...... なるほど目を増やしたのじゃな」

「ああ、だがたんに目を増やした訳じゃない。 離れた頭上に固定してる」

「遠距離に!? そんなことできたんですわ!?」 

「しらなかったのかミリア? 色々試しているうちできるようになった。 とはいえ、めちゃくちゃつかれるから、遠くに設置には二つだけしかつくれないがな」

「しりませんですわ......」

 ミリアは言葉を失っている。

「つまり今までより広範囲に体の部位をおけるのか」

「そうだ。 これで周囲の様子をさぐる」

 目を開け自分の頭上においたふたつの目を使い左右を確認する。

「ああ、やっぱりいやがるな...... ここから左の木の上に数人隠れてやがる」

「なぜ......」

 いぶかしげにルードリヒがいう。

「......多分戦わせて戦闘のデータをとるためだろうな」

「ということは、やはり作ったモンスターを利用しようとしておるか」

「確かに...... 税金が増やされ、傭兵たちが集められていた。 モンスターに対する対策といい国民を説得していたが、不満も多い」

「まさか戦争につかうですわ?」

「......わからない」 

 ルードリヒがそうつぶやく。

「モンスター対策にモンスターをぶつけるという可能性もなくはないがな」

「なれば人間と戦わせる必要はあるまい......」

「やはり、戦争目的か。 目標は......」

 おれがいうとルードリヒは目をふせた。

「戦うならば、おまえたちの国だろうな。 隣国ゆえ最近まで幾度も戦争はあった」 

(まあ、おれたちはただすんでるだけだけどな。 とはいえせっかく建てたギルドができなくなる...... やるしかなくなったな)

「......どうやらきたぞ」

 その時、おれの頭上からみると、遠くから獣のようなものが視界に入った。
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