36 / 58
第三十六話『封じられしものと滅びた王国』──リアベールの記憶が導く先は、災厄の地。
しおりを挟む
王都にやってきたおれたちはラーク卿に事情をはなした。
「......七つに別れた魔王が復活している可能性がある。 ふむ、そこで見つかったセリエスどののその剣の紋章は確かにリアベールの家の...... それにシュンどの、あなたがいうのだから本当でしょうな」
「一体は、いや二体は私たちが倒しましたが......」
「我は倒されてないぞ」
ディムリアはだされた菓子を両手でくいながら否定した。
「お前は黙ってろ。 一体はリアベール家のものが倒しています」
「それで三体、残りは四体ですか...... それでどの程度の強さでしたか」
「一体はポンコツで無視しても構いませんが」
「誰がポンコツじゃ!」
「二体目は恐ろしく強く。 このディムリアの最大魔法でも、すぐ再生し、セリエスの剣でも傷をあたえる程度、倒されていたもう一体もリアベール家のものとほぼ互角だったかとおもいます」
「それほどの強さか...... 厄介だな。 王にはそう伝えますが、シュンどのはどうされるおつもりですか」
「もちろん、人々の安全の為に倒したいのですが......」
(いや、仕事に関係ないならほっときたいけど...... 冒険者ギルドを運営すると必ずあたるはずだから、国になんとかしてもらわないとな)
「いかんせん、情報がすくなく。 今回は図書館でリアベール関係の本を調べようかと......」
「それでわざわざ王都まで......」
感激したようにラーク卿は声のトーンをあげた。
「わかりました! 王にはそのように伝えます! 我々もなにかがわかり次第、情報をお渡ししますので!」
「はい、こちらも調べた情報をお伝えします」
そういってラーク卿の屋敷をでた。
「貴様もやっとやる気になったか」
「さすがシュンさん! ぼくは感激しています!」
「なにいってる。 ああでもいわないと協力してくんないだろ。 おれが気になってんのは、冒険者ギルドにあの魔王が関わったとき、存続が危ぶまれるからだ。 なんとか国をかつぎだして対応してもらう」
「やはりそなたはそなただな......」
「いえ、ディムリアさん! 照れ隠しですよ! ぼくにはわかってます!」
セリエスがキラキラとした目でこちらをみている。
(いや、わかってないよ。 なんとか国にしてもらうために、情報をえないとな)
「ここが図書館か......」
目の前に巨大な建物があり、膨大な書物が棚にある。
「この中からどうやって探すのじゃ。 我はいやじゃぞ!」
「司書の人にきいてみましょう」
おれたちはカウンターに向かい、司書の女性にリアベールと魔王に関する書籍のことをきいた。
「リアベールのことを書いている本はすくないですね。 何せいままで暗黒騎士としてタブー視されていましたから...... 魔王の本についてもそれほどの数はありません。 謎が多いんです」
そういわれて建物の一角へと連れていってもらう。 そこには古い書物が棚に並べられている。
「ここにあるのが、全てですね」
「わかりました」
司書に礼をいってしらべはじめた。
「うーん、なんか漠然とした話だけだったな」
おれたちはなにも収穫がなく、城に戻っていた。
「ええ、怖い魔王がいたとか、古代人の神たとか、人を支配しようとしたとか、そんなおとぎ話ばかりです」
「つまらん。 なあいいことを思い付いた! 菓子を食べに行こう!」
すぐ飽きたらしいディムリアが本をかぶりいった。
「......どこがいいことだ。 お前しこたまラーク卿のところで食ってただろうが。 ディムリアなんか覚えてることないのか」
「覚えてること......」
「例えばなぜ人間を支配しようとしたとかだ」
「ふむ、よくはわからん。 ただひたすらなにかをしなければならんという使命感だったな。 とはいえよくは覚えておらん......」
(しなければならない...... 命令でもされていたのか? そもそも魔力の宝石が核なのは何でなんだ?)
「シュンさん! これ」
そうセリエスが本をもちこちらに見せた。
「......なに、なに、これはリアベールの本か。 リアベールはかつてバスブット王国にいた、これがどうかしたのか?」
「ええ、思い出したんです! リアベール家は暗黒騎士という汚名を着せられるまえ、バスブット王国の騎士でした。 その国は滅びましたが、その場所にリアベールが封じたものがあると祖父から聞いたことがあります」
「封じたもの? なにかわかるか」
「いえ、ただ再びそれが必要になるときがくる、そういっていました」
「ふむ、なんじゃろう?」
「わからんがいまは情報がない。 そこまでいってみるか」
「ただ、そのバスブット王国のある場所は...... 指定災害モンスターがいるのです」
「まじか! うーん、どうしようか」
「やめて城で食っちゃねしようぞ」
「もうお前は隠しもしないな...... ただ、そうだな。 さすがに指定災害モンスターはあの魔王と同じぐらい面倒だ」
「バスブット王国の指定災害モンスターはかなり有名なモンスターよ。 倒すと知名度が増すかもしれないわ」
そうシェリガがいう。
「知名度...... 確かに冒険者が足りてない。 取りあえずラーク卿に話をしてくるか」
おれたちは再びラーク卿の屋敷へと赴いた。
「......七つに別れた魔王が復活している可能性がある。 ふむ、そこで見つかったセリエスどののその剣の紋章は確かにリアベールの家の...... それにシュンどの、あなたがいうのだから本当でしょうな」
「一体は、いや二体は私たちが倒しましたが......」
「我は倒されてないぞ」
ディムリアはだされた菓子を両手でくいながら否定した。
「お前は黙ってろ。 一体はリアベール家のものが倒しています」
「それで三体、残りは四体ですか...... それでどの程度の強さでしたか」
「一体はポンコツで無視しても構いませんが」
「誰がポンコツじゃ!」
「二体目は恐ろしく強く。 このディムリアの最大魔法でも、すぐ再生し、セリエスの剣でも傷をあたえる程度、倒されていたもう一体もリアベール家のものとほぼ互角だったかとおもいます」
「それほどの強さか...... 厄介だな。 王にはそう伝えますが、シュンどのはどうされるおつもりですか」
「もちろん、人々の安全の為に倒したいのですが......」
(いや、仕事に関係ないならほっときたいけど...... 冒険者ギルドを運営すると必ずあたるはずだから、国になんとかしてもらわないとな)
「いかんせん、情報がすくなく。 今回は図書館でリアベール関係の本を調べようかと......」
「それでわざわざ王都まで......」
感激したようにラーク卿は声のトーンをあげた。
「わかりました! 王にはそのように伝えます! 我々もなにかがわかり次第、情報をお渡ししますので!」
「はい、こちらも調べた情報をお伝えします」
そういってラーク卿の屋敷をでた。
「貴様もやっとやる気になったか」
「さすがシュンさん! ぼくは感激しています!」
「なにいってる。 ああでもいわないと協力してくんないだろ。 おれが気になってんのは、冒険者ギルドにあの魔王が関わったとき、存続が危ぶまれるからだ。 なんとか国をかつぎだして対応してもらう」
「やはりそなたはそなただな......」
「いえ、ディムリアさん! 照れ隠しですよ! ぼくにはわかってます!」
セリエスがキラキラとした目でこちらをみている。
(いや、わかってないよ。 なんとか国にしてもらうために、情報をえないとな)
「ここが図書館か......」
目の前に巨大な建物があり、膨大な書物が棚にある。
「この中からどうやって探すのじゃ。 我はいやじゃぞ!」
「司書の人にきいてみましょう」
おれたちはカウンターに向かい、司書の女性にリアベールと魔王に関する書籍のことをきいた。
「リアベールのことを書いている本はすくないですね。 何せいままで暗黒騎士としてタブー視されていましたから...... 魔王の本についてもそれほどの数はありません。 謎が多いんです」
そういわれて建物の一角へと連れていってもらう。 そこには古い書物が棚に並べられている。
「ここにあるのが、全てですね」
「わかりました」
司書に礼をいってしらべはじめた。
「うーん、なんか漠然とした話だけだったな」
おれたちはなにも収穫がなく、城に戻っていた。
「ええ、怖い魔王がいたとか、古代人の神たとか、人を支配しようとしたとか、そんなおとぎ話ばかりです」
「つまらん。 なあいいことを思い付いた! 菓子を食べに行こう!」
すぐ飽きたらしいディムリアが本をかぶりいった。
「......どこがいいことだ。 お前しこたまラーク卿のところで食ってただろうが。 ディムリアなんか覚えてることないのか」
「覚えてること......」
「例えばなぜ人間を支配しようとしたとかだ」
「ふむ、よくはわからん。 ただひたすらなにかをしなければならんという使命感だったな。 とはいえよくは覚えておらん......」
(しなければならない...... 命令でもされていたのか? そもそも魔力の宝石が核なのは何でなんだ?)
「シュンさん! これ」
そうセリエスが本をもちこちらに見せた。
「......なに、なに、これはリアベールの本か。 リアベールはかつてバスブット王国にいた、これがどうかしたのか?」
「ええ、思い出したんです! リアベール家は暗黒騎士という汚名を着せられるまえ、バスブット王国の騎士でした。 その国は滅びましたが、その場所にリアベールが封じたものがあると祖父から聞いたことがあります」
「封じたもの? なにかわかるか」
「いえ、ただ再びそれが必要になるときがくる、そういっていました」
「ふむ、なんじゃろう?」
「わからんがいまは情報がない。 そこまでいってみるか」
「ただ、そのバスブット王国のある場所は...... 指定災害モンスターがいるのです」
「まじか! うーん、どうしようか」
「やめて城で食っちゃねしようぞ」
「もうお前は隠しもしないな...... ただ、そうだな。 さすがに指定災害モンスターはあの魔王と同じぐらい面倒だ」
「バスブット王国の指定災害モンスターはかなり有名なモンスターよ。 倒すと知名度が増すかもしれないわ」
そうシェリガがいう。
「知名度...... 確かに冒険者が足りてない。 取りあえずラーク卿に話をしてくるか」
おれたちは再びラーク卿の屋敷へと赴いた。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』
公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル!
書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。
旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください!
===あらすじ===
異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。
しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。
だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに!
神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる!
※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい
※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております
※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる