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第二十話
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「だいじょうぶ? なんかつかれてるけど?」
メリムがそう心配そうにいった。
「......ああ毎晩ミネラルと戦ってるから、でもかなり魔力をとどめれるようになった。 今夜は魔力を高めてヒールを呼び出そう」
「なら、セメンドリアに向かいましょう」
「レフィーネもきてくれるのか」
「ああ、氷雪剣を奴らから取り返したいからな」
そうおれの頭を撫でながらレフィーネはいう。
その日のよる。
「魔力を高めて......」
暗い空間にはいっていく。
「待ってましたよ」
そう微笑むヒールがいた。
「やっとあえた!」
「ええ、私も自分の魔力を認識できました。 これでトーマくんに回復を使わせることができます」
「これで王妃も助けられる」
「おそらく...... ミネラルとの戦いでかなり強くなりましたね」
そうヒールはにっこりと笑った。
「ああ、ミネラルの【鉱魔力】をかなり使えるよ」
「じゃあ、私の【治魔力】も習得しましょうね。 これからは夜だけではなく、昼にも鍛練しましょう」
そう微笑んだ。
「えっ...... ええ!?」
それからヒールとも戦う日々が始まる。
「おお!!」
周囲から歓声があげる。
「うっ...... ここは」
セメンドリア王妃、セアメリスは目を覚ました。
おれはヒールの【治魔力】を習得し、セメンドリアへと向かい、王妃の治療を行っていた。
「セアメリス......」
そう言葉少なに、ガルバイン王はセアメリス王妃を抱き締める。 王は民からの嘆願によって牢からだされていた。
「ほんとうになんと感謝してよいか......」
次の日、城に招かれたおれにガルバイン王は深く頭を下げる。
「よかったわね。 王さまもとても穏やかな顔だった」
メリムは安心したようにそういう。 おれたちは礼を言われて城から帰っていた。
「ああ、さてこれからどうするか? レフィーネはどうする?」
「とられた剣を取り戻すため、あのセファイラとか言う奴らを探したいのたが、どこにいけばいいか......」
そうレフィーネは困っていた。
「だな。 とりあえず神剣のある場所にくるはずだけど......」
「でも、神剣は世界に点在してて、狙われているどれかを見つけるのは困難よ」
おれたちは途方にくれる。
「トーマさん」
向こうからハイレルさんがやってきた。
「どうされたんです?」
「ああ、実は......」
おれたちは事情を話した。
「なるほど神剣ですか......」
「ハイレルさん、有名な神剣がある場所を知りませんか?」
「そうですね...... 確か東にあるグリムデン王国に、八極剣《はっきょくけんの一振りがあるときいたことがあります」
「八極剣って?」
「神剣の中でもとりわけ強力な古い剣だよ」
「命導剣ヴァルヴァリウス、時洸剣セレンディア、空刧剣マルデレイガ、創造剣ジェレミラル、夢葬剣ユーハライゼ、冥皓剣クエンセント、封楔剣アルフトゥーベ、死蝕剣ガイルクーダの八本だ」
レフィーネが教えてくれた。
「でもグリムデンってあの......」
メリムが眉をひそめた。
「ええ、暴君アルバハムのおさめる国です。 私も取引はしていますが、国は荒れ果て崩壊の一途をたどっていますね」
ハイレルさんはそういった。
「でも手がかりがないからな。 とりあえずそこにいこうか」
「そうね」
「うむ、そこにセファイラがあらわれるやもしれん」
おれたちはそのグリムデンへとむかうことにした。
グリムデンまで馬車でむかっていた。 高い山が多くあり歩きでいけば一ヶ月はかかるといわれたが、一週間程度でついた。
「ガルバイン王が馬車を用意してくれたから、助かった」
「ええ、でも旅費が限られてるから、少し働かないと」
「ふむ、グリムデンにはいったらハントしようか。 おっ、町が見えてきた」
町にはいる。 地面もボコボコで補修などされてはいない。 家々もそこら中、つたない修理のあとがある。 人々は粗末な服を着ていて、ものごいもおおい。
「......ずいぶんひどいな」
「度重なるモンスターの襲撃と、圧政でこうなったらしいわ」
「山岳地帯で、昔は特殊な木がとれて林業で栄えたらしいが今は産業もない。 それで経済が疲弊している上に王の散財で国が傾きつつある」
メルムとレフィーネが教えてくれた。
「なるほど、モンスターが現れたら木なんて切れないだろうし...... でもそれならハントの仕事があるかも」
「でもこの南ってどこの国でもないよね。 なんか森みたいのがあったけど、こんなに貧しいならみんなそこにはいかないの」
「ああ、確かにこの南は大森林があり、かなり広大な土地があるが、強いモンスターが現れるからな。 どこの国も手がだせんらしい」
「へぇ、手付かずの森か......」
町を歩くと酒場があった。
中には大勢の男たちが酒をのみ、酔いつぶれている。
「なんだい? 子供にお酒は売れないよ」
酒場の女将がカウンターに肘を乗っけて、ふてくされたようにいった。
「いや、ハントの仕事がほしいんだけど」
「ハント...... あんたたちが、まだ子供じゃないか」
「私たちは何度かモンスターを倒しとこともあります」
「後払いでもいい、仕事をくれないか」
そう二人もいうが、女将さんは腕をふる。
「いいや、それでも仕事はないよ。 ここにいる奴らをみてみなよ。 お金なんて持ってる奴らはいないのさ」
「モンスターたちはどうやって倒してるの?」
「ほったらかしさ。 だからどんどんモンスターが増えてね。 山向こうなんてモンスターしかいないんだ」
(仕事がないならどうしようもないな......)
「それじゃ内戦になるんじゃ」
メリムがいうと、女将は顔を近づけ小さな声でいう。
「もうなったほうがましだよ。 こんな国じゃ、モンスターか隣国に攻めてきて欲しいくらいさ」
女将はそういって、大きなあくびをした。
メリムがそう心配そうにいった。
「......ああ毎晩ミネラルと戦ってるから、でもかなり魔力をとどめれるようになった。 今夜は魔力を高めてヒールを呼び出そう」
「なら、セメンドリアに向かいましょう」
「レフィーネもきてくれるのか」
「ああ、氷雪剣を奴らから取り返したいからな」
そうおれの頭を撫でながらレフィーネはいう。
その日のよる。
「魔力を高めて......」
暗い空間にはいっていく。
「待ってましたよ」
そう微笑むヒールがいた。
「やっとあえた!」
「ええ、私も自分の魔力を認識できました。 これでトーマくんに回復を使わせることができます」
「これで王妃も助けられる」
「おそらく...... ミネラルとの戦いでかなり強くなりましたね」
そうヒールはにっこりと笑った。
「ああ、ミネラルの【鉱魔力】をかなり使えるよ」
「じゃあ、私の【治魔力】も習得しましょうね。 これからは夜だけではなく、昼にも鍛練しましょう」
そう微笑んだ。
「えっ...... ええ!?」
それからヒールとも戦う日々が始まる。
「おお!!」
周囲から歓声があげる。
「うっ...... ここは」
セメンドリア王妃、セアメリスは目を覚ました。
おれはヒールの【治魔力】を習得し、セメンドリアへと向かい、王妃の治療を行っていた。
「セアメリス......」
そう言葉少なに、ガルバイン王はセアメリス王妃を抱き締める。 王は民からの嘆願によって牢からだされていた。
「ほんとうになんと感謝してよいか......」
次の日、城に招かれたおれにガルバイン王は深く頭を下げる。
「よかったわね。 王さまもとても穏やかな顔だった」
メリムは安心したようにそういう。 おれたちは礼を言われて城から帰っていた。
「ああ、さてこれからどうするか? レフィーネはどうする?」
「とられた剣を取り戻すため、あのセファイラとか言う奴らを探したいのたが、どこにいけばいいか......」
そうレフィーネは困っていた。
「だな。 とりあえず神剣のある場所にくるはずだけど......」
「でも、神剣は世界に点在してて、狙われているどれかを見つけるのは困難よ」
おれたちは途方にくれる。
「トーマさん」
向こうからハイレルさんがやってきた。
「どうされたんです?」
「ああ、実は......」
おれたちは事情を話した。
「なるほど神剣ですか......」
「ハイレルさん、有名な神剣がある場所を知りませんか?」
「そうですね...... 確か東にあるグリムデン王国に、八極剣《はっきょくけんの一振りがあるときいたことがあります」
「八極剣って?」
「神剣の中でもとりわけ強力な古い剣だよ」
「命導剣ヴァルヴァリウス、時洸剣セレンディア、空刧剣マルデレイガ、創造剣ジェレミラル、夢葬剣ユーハライゼ、冥皓剣クエンセント、封楔剣アルフトゥーベ、死蝕剣ガイルクーダの八本だ」
レフィーネが教えてくれた。
「でもグリムデンってあの......」
メリムが眉をひそめた。
「ええ、暴君アルバハムのおさめる国です。 私も取引はしていますが、国は荒れ果て崩壊の一途をたどっていますね」
ハイレルさんはそういった。
「でも手がかりがないからな。 とりあえずそこにいこうか」
「そうね」
「うむ、そこにセファイラがあらわれるやもしれん」
おれたちはそのグリムデンへとむかうことにした。
グリムデンまで馬車でむかっていた。 高い山が多くあり歩きでいけば一ヶ月はかかるといわれたが、一週間程度でついた。
「ガルバイン王が馬車を用意してくれたから、助かった」
「ええ、でも旅費が限られてるから、少し働かないと」
「ふむ、グリムデンにはいったらハントしようか。 おっ、町が見えてきた」
町にはいる。 地面もボコボコで補修などされてはいない。 家々もそこら中、つたない修理のあとがある。 人々は粗末な服を着ていて、ものごいもおおい。
「......ずいぶんひどいな」
「度重なるモンスターの襲撃と、圧政でこうなったらしいわ」
「山岳地帯で、昔は特殊な木がとれて林業で栄えたらしいが今は産業もない。 それで経済が疲弊している上に王の散財で国が傾きつつある」
メルムとレフィーネが教えてくれた。
「なるほど、モンスターが現れたら木なんて切れないだろうし...... でもそれならハントの仕事があるかも」
「でもこの南ってどこの国でもないよね。 なんか森みたいのがあったけど、こんなに貧しいならみんなそこにはいかないの」
「ああ、確かにこの南は大森林があり、かなり広大な土地があるが、強いモンスターが現れるからな。 どこの国も手がだせんらしい」
「へぇ、手付かずの森か......」
町を歩くと酒場があった。
中には大勢の男たちが酒をのみ、酔いつぶれている。
「なんだい? 子供にお酒は売れないよ」
酒場の女将がカウンターに肘を乗っけて、ふてくされたようにいった。
「いや、ハントの仕事がほしいんだけど」
「ハント...... あんたたちが、まだ子供じゃないか」
「私たちは何度かモンスターを倒しとこともあります」
「後払いでもいい、仕事をくれないか」
そう二人もいうが、女将さんは腕をふる。
「いいや、それでも仕事はないよ。 ここにいる奴らをみてみなよ。 お金なんて持ってる奴らはいないのさ」
「モンスターたちはどうやって倒してるの?」
「ほったらかしさ。 だからどんどんモンスターが増えてね。 山向こうなんてモンスターしかいないんだ」
(仕事がないならどうしようもないな......)
「それじゃ内戦になるんじゃ」
メリムがいうと、女将は顔を近づけ小さな声でいう。
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