神に召喚された“願望”、僕は異世界を修正する

曇天

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第二十九話『願望の燃え跡、混乱の町から』

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「大丈夫だった?」

「ええ、なんとか......」

 リドミラがそういった。 ぼくらは心配になり会いに来ていた。 子供たちは隠れていたようで無事だったが町さらに荒廃していた。

「それにしても突然だな」

「ええ、何人かが急に走ってきて叫んで暴れたんです。 それに呼応するようにみんなが暴徒となって......」

「それは知ってる人なの?」

「......いいえ、この町ではみかけたことのない人たちでした」

(それなら民衆を扇動したのかもしれないな。 しかしなんのために...... まさか白い町を焼くため!?)

 とりあえず、ぼくたちはリドミラたちを国外にだし、カイルに手紙を送った。


「それにしても奴らはなにをしたいのだ?」

「多分魔力がたまったからだと思いますが......」

「それで自分達でつくった町を破壊させたの? 意味がわからないわ」

「うん、痕跡を消すためか」

(もう目的がすんだからか)

「......ディルさま、魔力って人ももってるんですよね」

 ぼくはこっそりとディルさまに聞いた。

「ああ、魔力とは願望を具現化する力...... 万人がもっているが当然大きな願望を叶えるには巨大な魔力が必要だ。 それが足りぬゆえ、わらわから失われているのだと思う」
 
(......願望の力か。 それが大量に消費されている。 まだわからないことだらけだな)  

「おそらく二体目のアンノーンがうまれていますね」

「ギルフェドの話ならそうみたいだな」

「あんなのが二体か。 でも私たちでなんとか対処できるんじゃない」

「ぼくたちが戦ったのとは雲泥の力だと思うよ。 あれは知能なんてなかった。それであの強さ、それが知能をもっている。 しかも二体とも限らない」

「そうだな。 数が多ければとてつもない脅威だろうな」

「でもアンノーンをつくってなにするつもり? 軍隊でも使って世界を支配とか?」

「正直、ここまでの労力をかけてそんなことするとは思えないな。 それならこのままこの国を支配した方がいい」

「ふむ、他になにか理由がある...... か」

(それにしても最近、ディルさまと会話できるようになったな)

 なんのけなしにディルさまのステータスをみる。

「あっ! ディルさまの知力が3になってる!?」

「くくくっ、気づいたか。 食い物により力をすこし戻したのだ! このままいけばもとへと戻るのもないはなしではない!」

(いや、増えたけどひとつだけだしな、カレンは......)

「増えてない...... でも、筋力と体力は増えてる!」

「ん? 最近運動してるからね。 強くなってるって実感はあるわ」

(成長? してるのか。 ぼくはなんにも変わらないな)

「でも、これからどうするの? ギルフェドもみつけられるとは思えないわ」

「ああそうだな。 装置をみつけてもこの国に不用意に他の国が手出しできん。 それに民衆と戦いになる」

「だからこそ、この国だったのかも...... なんとかして商人ギルドの悪事を白日のもとにださないと、なにかいやな予感がする」


「かってにガキどもを送りつけやがって」

 そう子供たちになつかれながら、不満げなカイルがいう。

「そういわないでよ。 しかたないんだ。 これからメルディ姫に頼むからすこしの間あずかってよ」

「スラムは子供には危険だ。 早くしろよ。 それで」

「ああ、商人ギルドの悪事を暴きたい。 彼らをはやく止めないと大変なことになる」

「それはこっちもわかってるが、奴らはなかなか尻尾をださんぞ」

「そこを貴様がなんとかするのだ」

「そうよ。 そのためのあんたでしょ」

「お前らおれを何度と思ってやがる!」

「便利屋」

「ちょろいやつ?」

 ワナワナとカイルが震えている。

「二人とも! 本当のこといっちゃダメだよ!」

「おまえがな!」

「まあ、まあ、それでカイル。 なんとか、商人ギルドの悪事の証拠をみつけられないかな」

「かなり強い証拠を力のあるものの前で突きつけないと、しらを切りとおすだろうな」
 
「トールの能力でなんとかならないの?」 

 カレンがそういった。

「ぼくの能力か......」 

「さすがに証拠を作り出すのは難しかろうな」

(いや可能性はある...... ただ、かなりの負荷がかかるはずだ。 いやだけどもう使うしかないか)
 
「ビグルムが悪事をおこなっていた場所に心当たりはあるの?」 

「それは自分の屋敷だろうな。 やつはとても狡猾で慎重な男だ。 そんなやつが証拠など残してはいないぞ」

「......ああ、だけど場所さえわかれば...... あとは」

 ぼくたちはビグルムを捕らえるべく、計画を練った。
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