52 / 52
五十二話 最終話「運命に抗う者、可能性の果てへ」
しおりを挟む
「ミミックさん......」
閃光が収まると、そこは球体状にえぐりとられたように、ぽっかりと大きな穴になっていた。
(この魔力!!)
魔力を探知すると、そこには透明な球体が露出している。
「魔核石か...... まさか!」
「そうだ...... 私だ」
頭のなかに声が聞こえる。 それはラファライアの声だった。
「お前は魔核石になっていたのか」
「......ああ、だがもう魔力がない。 リステンドの魔法に、全て奪われてしまった。 あれは魔力を奪い取る魔法だったのだろうな」
「管理者はどこにいる」
「あれだ......」
地面が動くと、その奥に黒い球体がある。
「あれが」
「あれは理そのもの、どうするつもりだ」
「会話ができるのか」
『こちらに......』
その時、静かな声が頭に響いた。
「話してなんとかなる存在ではないぞ」
「やるだけやる」
「もう私にはとめる術もない...... 好きにするがいい......」
そういうとラファライアの魔核石はただの石になった。
「おまえが管理者か」
『そうですね。 あなたたちがそう呼ぶものです』
とても静かで優しげな声が頭に響く。 それは心をつかむような声だった。
(悪意などは感じない......)
「この世界が終わるのは本当か」
『ええ、この世界は終わらせます』
「終わらせるというのはお前が決めるのか」
『はい、私はすべての世界を司るのもの。 ゆえに管理者と呼ばれます』
「なぜ、この世界は終わらなければならない」
『私はすべての世界の推定された今後を見ることができます。 あなたも見てみますか?』
その時、頭に膨大な映像が流れてきた。 それはこの世界がどのような分岐を辿るのかという映像だった。
「これは......」
それは亜人種族たちがこの世界を支配する、または人間たちが支配する未来。 そして亜人種族、人間共々支配下におかれ、さまざまな残虐な行為が行われている。
「これが未来に起こるのか......」
他の未来も、また他の未来も、分岐を辿り未来はどれも救いがない道ばかりだった。
『お分かりいただけたでしょうか。 この世界の未来は全て滅びへとつながる。 憎悪と怒りにみちた救いなき道...... ゆえにモンスターを産み出し憎しみの方向性を他に向けてもまた同じ...... いずれ人や亜人種族が他のものを強いたげる未来しかない』
その声からは静かで優しげだが感情は感じない。
『いずれ終わる世界は継続の意味がない』
「だから終わらせるのか」
『はい、人、亜人種族同士が争うよりはいいでしょう』
(この管理者はただ自らの役割を行動しているだけ。 プログラムのようなものか)
「七賢者はそれでお前に協力をしたのか?」
『はい、彼らは知識と記憶を次の世界に紡ぐために、私に協力しました。 魔力には記憶と知識が刻まれます』
(それで、七賢者は永遠といっていたのか......)
「では、ぼくはなんなんだ? 神や魔王のダンジョンとはなんなんだ?」
『先ほどいったように魔王のダンジョンは私が作り上げた。 人や亜人種族の対立を避けるためにつくった仮の敵対者。 神のダンジョンはこの世界の防衛本能といったところでしょう』
「......この世界の防衛本能」
『世界にも無意識はあります。 世界が滅びを感じて神のダンジョン、またはあなたを作ったのだと思います』
(そうか、滅びの危機を感じたこの世界がぼくをつくったのか)
「この世界を終わらせるのはやめてくれ」
『なぜです? あなたもご覧になったはず。 この世界は亜人種族と人間の争いで滅ぶのは決まっています。 あなたがたがいう運命です』
「まだ決まっていない...... そうだろう」
『膨大な分岐の末、全てが滅びへとつながっています。 この世界の存続は無意味です。 それを覆らせる方法があるというのですか?』
「管理者、お前はぼくがこの世界につくられたのではないか、といったな」
『はい、その可能性があります』
「それは、お前にも予期せぬことだったはず」
『ええ、世界が本能で起こしたこと』
「つまり可能性はある。 ぼくがこの世界に来たことは別の分岐があるってことだ」
『確かにあなたの行動は予想外でした。 ですが、その未来さえ滅びに向かっています。 やはり無駄です』
「いいや、無駄じゃない。 ぼくがこの世界にいること、これからこの世界に関与し続ければその可能性は無限に広がっていく」
『可能性だけはあります。 ただそれは終わりのない生。 理の外のこと、永劫の苦しみの始まりです』
「それでいい...... ぼくはこの世界を守りたい」
ぼくは絶望的な分岐をみてきた。 だがそのなかにはジェスカ、リガイア、ディガル、ユグナ、他のものたちがなんとか、争いを阻止しようと命を懸ける姿を見つけた。
(ぼくが出会ったものたちは諦めず運命に抗う姿をみた。 ぼくも諦めない!)
『......ですが、この世界の終わりは運命です』
「ああ、ぼくは、ぼくたちはその運命に抗い続ける」
『わかりました。 あなたたちが諦めるその時まで猶予を与えます』
そういうと黒い球体はその姿を消した。
「......そうだ。 ぼくはこの世界にいき続ける。 そして滅びを回避する」
ぼくはダンジョンから外にでようとする。
「そうだね。 私も手伝うよ」
「えっ!? ミミックさん!」
ぼくの体の中から声がする。
「どうやら、リスポーンしたようだね。 私もこの世界に望まれているようだ...... いや、私が望んだのか...... そして魔力の記憶により、再びこの世界に形をなしたようだね」
「よかった...... いや、ミミックさん。 このままだと永遠に生きることになりますよ」
「そうだね。 もしそれが苦痛になったなら、それはその時考えよう。 私たちは可能性があるのだろう。 そうでなけば管理者の決定に抗う意味はないだろう?」
「ですね...... 確かに全ての可能性はここにある」
「それで、またみんなの元にかえるかい?」
「いいえ、皆自立しようとしている...... ぼくが力を貸すのはあくまでも外から、この世界の終わることを阻止します」
「そうだね。 それがいい」
ーーぼくはダンジョンを各地につくり、そのまま生きていく。 この世界の可能性を信じてーー
閃光が収まると、そこは球体状にえぐりとられたように、ぽっかりと大きな穴になっていた。
(この魔力!!)
魔力を探知すると、そこには透明な球体が露出している。
「魔核石か...... まさか!」
「そうだ...... 私だ」
頭のなかに声が聞こえる。 それはラファライアの声だった。
「お前は魔核石になっていたのか」
「......ああ、だがもう魔力がない。 リステンドの魔法に、全て奪われてしまった。 あれは魔力を奪い取る魔法だったのだろうな」
「管理者はどこにいる」
「あれだ......」
地面が動くと、その奥に黒い球体がある。
「あれが」
「あれは理そのもの、どうするつもりだ」
「会話ができるのか」
『こちらに......』
その時、静かな声が頭に響いた。
「話してなんとかなる存在ではないぞ」
「やるだけやる」
「もう私にはとめる術もない...... 好きにするがいい......」
そういうとラファライアの魔核石はただの石になった。
「おまえが管理者か」
『そうですね。 あなたたちがそう呼ぶものです』
とても静かで優しげな声が頭に響く。 それは心をつかむような声だった。
(悪意などは感じない......)
「この世界が終わるのは本当か」
『ええ、この世界は終わらせます』
「終わらせるというのはお前が決めるのか」
『はい、私はすべての世界を司るのもの。 ゆえに管理者と呼ばれます』
「なぜ、この世界は終わらなければならない」
『私はすべての世界の推定された今後を見ることができます。 あなたも見てみますか?』
その時、頭に膨大な映像が流れてきた。 それはこの世界がどのような分岐を辿るのかという映像だった。
「これは......」
それは亜人種族たちがこの世界を支配する、または人間たちが支配する未来。 そして亜人種族、人間共々支配下におかれ、さまざまな残虐な行為が行われている。
「これが未来に起こるのか......」
他の未来も、また他の未来も、分岐を辿り未来はどれも救いがない道ばかりだった。
『お分かりいただけたでしょうか。 この世界の未来は全て滅びへとつながる。 憎悪と怒りにみちた救いなき道...... ゆえにモンスターを産み出し憎しみの方向性を他に向けてもまた同じ...... いずれ人や亜人種族が他のものを強いたげる未来しかない』
その声からは静かで優しげだが感情は感じない。
『いずれ終わる世界は継続の意味がない』
「だから終わらせるのか」
『はい、人、亜人種族同士が争うよりはいいでしょう』
(この管理者はただ自らの役割を行動しているだけ。 プログラムのようなものか)
「七賢者はそれでお前に協力をしたのか?」
『はい、彼らは知識と記憶を次の世界に紡ぐために、私に協力しました。 魔力には記憶と知識が刻まれます』
(それで、七賢者は永遠といっていたのか......)
「では、ぼくはなんなんだ? 神や魔王のダンジョンとはなんなんだ?」
『先ほどいったように魔王のダンジョンは私が作り上げた。 人や亜人種族の対立を避けるためにつくった仮の敵対者。 神のダンジョンはこの世界の防衛本能といったところでしょう』
「......この世界の防衛本能」
『世界にも無意識はあります。 世界が滅びを感じて神のダンジョン、またはあなたを作ったのだと思います』
(そうか、滅びの危機を感じたこの世界がぼくをつくったのか)
「この世界を終わらせるのはやめてくれ」
『なぜです? あなたもご覧になったはず。 この世界は亜人種族と人間の争いで滅ぶのは決まっています。 あなたがたがいう運命です』
「まだ決まっていない...... そうだろう」
『膨大な分岐の末、全てが滅びへとつながっています。 この世界の存続は無意味です。 それを覆らせる方法があるというのですか?』
「管理者、お前はぼくがこの世界につくられたのではないか、といったな」
『はい、その可能性があります』
「それは、お前にも予期せぬことだったはず」
『ええ、世界が本能で起こしたこと』
「つまり可能性はある。 ぼくがこの世界に来たことは別の分岐があるってことだ」
『確かにあなたの行動は予想外でした。 ですが、その未来さえ滅びに向かっています。 やはり無駄です』
「いいや、無駄じゃない。 ぼくがこの世界にいること、これからこの世界に関与し続ければその可能性は無限に広がっていく」
『可能性だけはあります。 ただそれは終わりのない生。 理の外のこと、永劫の苦しみの始まりです』
「それでいい...... ぼくはこの世界を守りたい」
ぼくは絶望的な分岐をみてきた。 だがそのなかにはジェスカ、リガイア、ディガル、ユグナ、他のものたちがなんとか、争いを阻止しようと命を懸ける姿を見つけた。
(ぼくが出会ったものたちは諦めず運命に抗う姿をみた。 ぼくも諦めない!)
『......ですが、この世界の終わりは運命です』
「ああ、ぼくは、ぼくたちはその運命に抗い続ける」
『わかりました。 あなたたちが諦めるその時まで猶予を与えます』
そういうと黒い球体はその姿を消した。
「......そうだ。 ぼくはこの世界にいき続ける。 そして滅びを回避する」
ぼくはダンジョンから外にでようとする。
「そうだね。 私も手伝うよ」
「えっ!? ミミックさん!」
ぼくの体の中から声がする。
「どうやら、リスポーンしたようだね。 私もこの世界に望まれているようだ...... いや、私が望んだのか...... そして魔力の記憶により、再びこの世界に形をなしたようだね」
「よかった...... いや、ミミックさん。 このままだと永遠に生きることになりますよ」
「そうだね。 もしそれが苦痛になったなら、それはその時考えよう。 私たちは可能性があるのだろう。 そうでなけば管理者の決定に抗う意味はないだろう?」
「ですね...... 確かに全ての可能性はここにある」
「それで、またみんなの元にかえるかい?」
「いいえ、皆自立しようとしている...... ぼくが力を貸すのはあくまでも外から、この世界の終わることを阻止します」
「そうだね。 それがいい」
ーーぼくはダンジョンを各地につくり、そのまま生きていく。 この世界の可能性を信じてーー
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる