ブラックバイトウィザード

曇天

文字の大きさ
34 / 36

第三十四話 過去

しおりを挟む
「ど、どういうことですか!?」

 オレは動揺した。
 あのスーツの男がヒミコさんだと聞かされたからだ。

「ふむ、どう説明しようかね。
 かつて僕たちは一つだった。
 だが分かれた、いや分けたんだ」

「分けた......」 

「君も知っているだろう、
 僕が右目に記憶と魂を分けたのを」

「ええ、じゃあ」

「そうさ、元々一つだった僕は、
 その身体と魂を二つに分けた。
 その片割れが彼なのさ」 

「なんでそんなことを」
 
「さあ、その頃の記憶が曖昧でね。
 戯れなのか、それとも何か意味があったのか......」

 そういうと、思い出そうとするように、
 ヒミコさんは目をつぶりお茶を飲む。

「でその片割れが現れたのと、
 今回の事件と何の関係が......
 まさかその片割れがヒミコさんを殺した犯人!?」  

「いいや、彼が殺したんではないよ」

「なぜそう断言できるんですか」  

「何故なら彼は一人の人間に戻ろうとしているからさ」

「一人に戻る......」

「ああ、分かれた身体を一つにしようとしている。
 正確には魂だけどね。
 もし彼が僕を殺したならば、
 身体を奪い取るはずなのさ」 

「なるほど、
 でもヒミコさんは元に戻りたくはないんですか?」

「ふむ、なぜだかわからないが、
 彼とは一緒になりたくはないんだ」

「それじゃ犯人は......」

「多分君だタイガくん」  

 ヒミコさんが事も無げにいう。

「ええオレ!?
 どういうことすか!!」  

「ふむ、いった通りさ、
 僕は彼とは一緒になりたくはない。
 たから、君に身体をバラバラに散らせた」  

「オレが......
 身体を他の魔法使いに送ったのって」

「僕だ。
 奪わせないように、
 守らせたんだろうね」
 
「じゃあ!
 ちっこいヒミコさんはなんで、
 探してたんですか!?」

「多分記憶がなかったんだね。
 右目だけにそれほどの魂と記憶を持たせられないから、
 覚えてなかったんだろう」

「なんてことだ......
 全く意味がなかったなんて......」

「いや、そうでもない。
 君がいる」

「どういうことですか?」

「男の僕は、君のことを完全には知らない。
 右目と左足のことも、取り込み損ねた」

「じゃあ! 
 もとの時間に戻ってなんとかなるんすか!!」

「それは無理だね。
 僕が君を元の時間に戻せたとしても、
 僕自身が行けないし、
 まあ、いったとしても勝てるとも思えない」

「いや、どうするんすか!
 帰ってもオレじゃ、
 なんにもできないっすよ」 
 
「僕の身体を誰が持っていたか、
 教えてくれないかい?」

 そういわれてヒミコさんの身体を持っていた魔法使いの話をした。
 
「ふむ、なるほど、
 かなり癖のある者に渡したようだ......」

「何か意味があるんですか」

「多分......
 少し君の記憶を見せてほしいんだが、
 いいかな」

「いいすけど、記憶?」

「最後の頭、この魔法が記憶《メモリー》なんだ。
 相手の記憶をみることができる」

 そういうと、おもむろに立ち上がり、
 ヒミコさんはオレの頭を持ち引き寄せた。
 
「めちゃめちゃ、えいちかっぷが目の前にイイイ!!」

 オレか興奮していると、
 しばらくしてヒミコさんは呟く。

「なるほど......
 そういうことか......」

「どういうことすか?」

「身体を渡した面子には、
 適当に渡したわけじゃないのさ」

「ん? 
 こうなることを予見してたってことすか?」

「君がここにいるだろう。
 それで、僕は計画をたてたのだろうね」

「あっ! 
 過去にオレが飛んで、ヒミコさんに伝えたから!」

「そういうことだ。
 君とあったのは偶然じゃない。
 そして向こうの僕がそう動くように考えた。
 右目を残したのもそうだ」

「そういえば右目の魔法は知らない......」

「右目の魔法はあとで教えるよ。
 それより......」

 そういうと、ヒミコさんは声をかける。

「きなさい」

「はい、マスター」

 現れたのはラクリマだった。

「な、何でここにラクリマが」

「元々、レイデアが売ったものを僕が買ったんだ。
 彼女にデミウルゴスを封じたのは僕だったろう」

「そういえば......
 女性に仕えてたっていってた...... 
 ヒミコさんだったのか」

 オレは頭が混乱してきて、
 ソファーにうなだれて座った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

花鳥見聞録

木野もくば
ファンタジー
花の妖精のルイは、メジロのモクの背中に乗って旅をしています。ルイは記憶喪失でした。自分が花の妖精だったことしか思い出せません。失くした記憶を探すため、さまざまな世界を冒険します。 記憶を取り戻して真実を知った時、ルイとモクの選ぶ道は?

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

レオナルド先生創世記

ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

処理中です...