たまたま神さま、ときたま魔王

曇天

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第三話

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「むふふっ」   

 かなりの稼ぎがあり宿へと向かった。

『まさか、一日で500ゴールドも稼いでしまうとは......』 

「みんな肖像画が欲しかったみたいだし、肖像を写すだけなら、それほどつかれないし、これはいい商売を見つけたな」 

『まあ、人々も喜んでましたからね。 魔力も増えてるのでしょう』
 
「これはすぐもとの世界に帰れちゃうかも」

 嬉しい気分で宿へと向かった。

 次の日。

「よっし! 今日も稼ぐぞ!」

『魔力もふやしてくださいね。 お金を稼ぐのが目的ではないですよ』

「でも、人が喜べば自然に増えるよね」

『まあ、そうですけど』

 精霊ちゃんはしぶしぶそう答える。

 そしてつぎの日も、朝から肖像画を作っていた。

「おい」

 目の前に腰に剣を携えている男がいる。 後ろに貴族らしき男がこちらをにらんでいる。

「肖像画ですか?」

「ちがう。 お前はなぜこんなところで商売してるんだ」

「えっ? でも自由に商売していいって、確認していますけど?」

「そんなことは知らない。 ここで商売をするな!」

 一方的な主張で腹もたったが、今にも剣を抜きそうなので退散した。


「なんだよ!」

『多分後ろにいたあの貴族がやらせたんでしょうね』

「なんで?」

『肖像画は貴族や富豪が手にできるもの。 それが庶民の手にわたると自分たちの優位さを実感できなくなるからでしょう』

「えー そんなことで」 

『これからどうします?』

「うーん、他の町へいったらどうかな」

『また、この商売をしてたら、多分同じような嫌がらせを受けるでしょうね』

「法律とかないの?」

『ちゃんとした所なら役所も動くかもしれませんが、貴族がやることをなかなか止めるのは難しいと思います』

「くぅ! せっかくの商売が! しかたない......  町の外で壊れたアイテムを直して売るか......」

『そうですね。 でもなにももたずに町の外は危険なので、なにか装備を買い揃えていきましょう』

 精霊ちゃんにいわれてとりあえず剣と、軽い鎧、カバン、ロープを手に入れた。

「うう...... せっかくためたお金が、もう100ゴールドに......」

『頑張ってアイテム拾いしましょう』

 精霊ちゃんになぐさめられながら、町の外にでてモンスターがいるという森の方へと向かう。

「でも、モンスターがいるから気を付けないと」

『近くまできたら、私がわかりますから、お伝えしますよ』

「頼むよ......」

 
 おれたちは森へと入る。 人気はなくひっそりとしている。 

「ここに道具がおちてるの?」

『ええ、モンスターとか、盗賊にあったりで、戦いが起これば道具がそのまま放置されているはず...... ほらあそこに』

 前の地面に壊れた剣があった。

「おお! いきなり!」

『さすがに壊れたものを持って帰るほど余裕もないので、捨てていくんですよ』

「なるほど、早速」

【創造】《クリエイト》を使い剣を新品にかえる。

「よし! こっちのがよさそうだ」

 それから、近くを散策し、いくつかの道具を拾い集める。

「結構集まった! 落ちてるもんだな」

『ええ、その瓶』

「えっ? これ? 瓶のなかに青い液体がほんの少しはいってるけど」

『それポーションですね。 使えば傷を治せます』

「そうなの。 じゃあこれも新品になるかな。 うっ......」

 ポーションはきれいな瓶を満たした。

「なんかつかれた......」

『やはり、魔力でつくられたものは力を大きく使うようですね。 ですが、かなり高値で売れるはずです』

「ほんと! なら持って帰ってから直したほうがいいな」

 それをもちかえると新品にして、雑貨屋に売りにいく。

「ほう。 新しいな。 あんた鍛冶屋かなにかかい? こんな新しいものを昨日も新しい剣を売ってたじゃないか」

 雑貨屋のおばさんはいぶかしそうに聞いた。

(やばいな。 盗品とか思われてるかも......)

「いや、モンスターを倒そうと武具を手に入れた者が、やっぱり怖くて安く売ってくれたんですよ」

「ふーん、まあ、若いのにはよくある話だね。 このポーションも売るのかい?」

「ええ、使わないそうです」

(ごまかせたか......)

 なんとか道具を売りお金を手にした。

「1000ゴールドほど手に入れた。 でももうここでは売れないなあ」

『そうですね。 さすがに怪しまれますしね......』

「明日、森に取りに行ったら、もっと大きな町へ売りにいくか」

(そのうち自分の店を作って売ればもうかるかも)

 おれはつぎの日、また森へとやってきた。

「ないなぁ......」

『さすがに近い場所のものはとってしまいましたしね。 もっと奥にいくしかないです』

「こわいが慎重にいくか......」

 森の奥へと慎重にすすんだ。

『マサトさま......』

「ひっ!! なに精霊ちゃん!? まさかモンスター!」

『なにかが近くにいます。 しかし弱ってるようですね』

「弱ってるなら倒せるか。 どこ?」

『その茂みの奥です』

 剣を抜き、ゆっくりと茂みを掻き分ける。 

「いた! あれは小人?」

 そこには緑色の肌のおれの半分ぐらいの大きさの生き物がたおれていた。
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