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第四十四話
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「これでは、トロールの説得は無理てすね」
トロールの集落から帰るとき、そうネオンがつぶやく。
「ああ、さすがにもう仲間にはなってはもらえないな。 せめてトロールを連れ去ったそいつらを捕まえられればいいけど......」
「そこなんですがマサトさま。 一つ手がないこともないなのですが」
バーンがそういった。
「本当にバーンさんは大丈夫でしょうか」
不安そうにネオンがつぶやく。
「止めたけど本人がどうしてもといっているからな。 何とかなにか起こるまえに捕らえられればいいが」
そう昨日のことを思い出す。
「えっ? バーンが囮になる?」
「ええ、私はシェイプシフトを使えます。 トロールになり奴らをおびき寄せます。 彼らがトロールを実験に使うために必要なら、必ずまたあらわれるはず」
「確かに、何度か奴らが現れたといっていたが...... でも危険すぎる! ダメだよ!」
「そうです! 殺されてしまいますよ」
おれとネオンは反対する。
「大丈夫です。 私は進化しオークジェネラルとなりました。 そのこともありとても再生力もあがっているのです。 だからばれることもありません」
「でも、絶対に安全とはいえない」
「もし、黒衣の化者《ダークレイス》のものたちがこの件に関わっているなら、厄介なこと。 我らの命運を握るかもしれない。 ぜひにこの役目私にお願いします」
そう頭をさげる。 そういわれておれは止めることができなかった。
(バーンは自らの失態で、仲間を失ったことをいまだに引きずってるみたいだな)
トロールに化けたバーンが山道を歩いてるのを、おれたちは遠くからみる。 するとハーンの周りに武器をもった人間たちが囲んだ。
「なんだ貴様ら」
バーンがいうと、人間たちの一人が剣をぬいた。
「......一緒にきてもらうぞ」
バーンと人間たちが戦う。
「あれは......」
「普通の人間ではありませんね。 かなりの手練れです。 それに訓練を受けているような動きです」
バーンもトロールのようにこん棒を振り回すが、人間たちの魔法や剣を相手に倒れた。
「マサトさま! や、やはり助けましょう! この場で彼らを捕えれば!」
「いや、バーンからは手をださないでくれと懇願された。 奴らのアジトまでたえるんだ」
おれも唇をかむ。 血のあじがする。
人間たちは倒れたバーンを魔法で運ぶと、荷馬車にかくし馬車に乗り込んだ。
「大丈夫でしょうか...... かなり斬られたし」
ネオンは心配そうにいう。
「あの程度なら大丈夫だ。 それより追うよ」
おれたちは馬車を借りて人間たちを追う。
(みんなの魔力がおれに流れるから、場所も特定できる。 だがどこまでいくんだ......)
その荷馬車は国を越えた。
「国を越えた...... この先はアルフレド王国です」
「まさか、アルフレド王国にアジトが......」
数日かけて、アルフレド王国へとはいり、荷馬車は大きな町ルドエルミにはいった。
「ここからは降りていこう」
荷馬車が止まったのを感じて、おれたちは馬車をおり、この町の店舗によった。
「マサトさまですね。 私はこのアルフレド王国の店舗を任されている。 サンティエともうします」
そう人当たりの良さそうな中年の女性が答えた。
「サンティエさん。 あの大きな建物はなんですか?」
「ああ、あれは国立の病院です」
「病院......」
「......ただ、ここだけの話、ただの病院じゃないともいわれています」
そうそばで小声でつぶやいた。
「普通の病院ではないと?」
「あそこに薬草や毒草を納入していますが、とても治療で使わないものまで求められていますからね。 なにをしてるんだか...... 軍の研究者がいたなんて噂もありますよ」
(やはり、あそこで何かしているのか)
おれたちは夜の闇に乗じて病院へとむかった。
「やはり警備がきびしいな。 普通の病院ではなさそうだ」
おれたちはネオンの作った光魔法から精霊をつくり、姿を消して警備のすきをみてもぐりこんだ。
「ええ、この病院からなにか嫌な魔力を感じます」
そうネオンは顔をしかめた。
おれはバーンの魔力を手繰り、地下へと向かう。
かなり深くまである階段を降りると、さっきまでの建物の感じと違い、洞窟のような薄暗い場所にいくつかの部屋がある。
「マサトさま......」
ネオンにいわれて、暗がりをみると左右の部屋は鉄格子があり、中にはぐったりしたようすのトロールがいた。
(さらわれたトロールか...... 死んではない。 よかった。 だが助けるのは後だ)
奥の大きな部屋にバーンの魔力を感じる。
のぞくと、バーンは手術台にのせられていて、そのそばには白衣の人間たちがいた。
部屋に実験器具のようなものが運ばれてくるのに乗じて、中へとはいる。
「これは......」
「マサトさま、奥を......」
そういわれて奥をみると暗がりに、いくつもの大きなガラスのような透明な容器に入っている異形のモンスターがいる。
「あれはなんだ!?」
「わかりません...... ただとても嫌な感じがします」
そのとき部屋の扉があいて、貴族風の老人が入ってきた。
トロールの集落から帰るとき、そうネオンがつぶやく。
「ああ、さすがにもう仲間にはなってはもらえないな。 せめてトロールを連れ去ったそいつらを捕まえられればいいけど......」
「そこなんですがマサトさま。 一つ手がないこともないなのですが」
バーンがそういった。
「本当にバーンさんは大丈夫でしょうか」
不安そうにネオンがつぶやく。
「止めたけど本人がどうしてもといっているからな。 何とかなにか起こるまえに捕らえられればいいが」
そう昨日のことを思い出す。
「えっ? バーンが囮になる?」
「ええ、私はシェイプシフトを使えます。 トロールになり奴らをおびき寄せます。 彼らがトロールを実験に使うために必要なら、必ずまたあらわれるはず」
「確かに、何度か奴らが現れたといっていたが...... でも危険すぎる! ダメだよ!」
「そうです! 殺されてしまいますよ」
おれとネオンは反対する。
「大丈夫です。 私は進化しオークジェネラルとなりました。 そのこともありとても再生力もあがっているのです。 だからばれることもありません」
「でも、絶対に安全とはいえない」
「もし、黒衣の化者《ダークレイス》のものたちがこの件に関わっているなら、厄介なこと。 我らの命運を握るかもしれない。 ぜひにこの役目私にお願いします」
そう頭をさげる。 そういわれておれは止めることができなかった。
(バーンは自らの失態で、仲間を失ったことをいまだに引きずってるみたいだな)
トロールに化けたバーンが山道を歩いてるのを、おれたちは遠くからみる。 するとハーンの周りに武器をもった人間たちが囲んだ。
「なんだ貴様ら」
バーンがいうと、人間たちの一人が剣をぬいた。
「......一緒にきてもらうぞ」
バーンと人間たちが戦う。
「あれは......」
「普通の人間ではありませんね。 かなりの手練れです。 それに訓練を受けているような動きです」
バーンもトロールのようにこん棒を振り回すが、人間たちの魔法や剣を相手に倒れた。
「マサトさま! や、やはり助けましょう! この場で彼らを捕えれば!」
「いや、バーンからは手をださないでくれと懇願された。 奴らのアジトまでたえるんだ」
おれも唇をかむ。 血のあじがする。
人間たちは倒れたバーンを魔法で運ぶと、荷馬車にかくし馬車に乗り込んだ。
「大丈夫でしょうか...... かなり斬られたし」
ネオンは心配そうにいう。
「あの程度なら大丈夫だ。 それより追うよ」
おれたちは馬車を借りて人間たちを追う。
(みんなの魔力がおれに流れるから、場所も特定できる。 だがどこまでいくんだ......)
その荷馬車は国を越えた。
「国を越えた...... この先はアルフレド王国です」
「まさか、アルフレド王国にアジトが......」
数日かけて、アルフレド王国へとはいり、荷馬車は大きな町ルドエルミにはいった。
「ここからは降りていこう」
荷馬車が止まったのを感じて、おれたちは馬車をおり、この町の店舗によった。
「マサトさまですね。 私はこのアルフレド王国の店舗を任されている。 サンティエともうします」
そう人当たりの良さそうな中年の女性が答えた。
「サンティエさん。 あの大きな建物はなんですか?」
「ああ、あれは国立の病院です」
「病院......」
「......ただ、ここだけの話、ただの病院じゃないともいわれています」
そうそばで小声でつぶやいた。
「普通の病院ではないと?」
「あそこに薬草や毒草を納入していますが、とても治療で使わないものまで求められていますからね。 なにをしてるんだか...... 軍の研究者がいたなんて噂もありますよ」
(やはり、あそこで何かしているのか)
おれたちは夜の闇に乗じて病院へとむかった。
「やはり警備がきびしいな。 普通の病院ではなさそうだ」
おれたちはネオンの作った光魔法から精霊をつくり、姿を消して警備のすきをみてもぐりこんだ。
「ええ、この病院からなにか嫌な魔力を感じます」
そうネオンは顔をしかめた。
おれはバーンの魔力を手繰り、地下へと向かう。
かなり深くまである階段を降りると、さっきまでの建物の感じと違い、洞窟のような薄暗い場所にいくつかの部屋がある。
「マサトさま......」
ネオンにいわれて、暗がりをみると左右の部屋は鉄格子があり、中にはぐったりしたようすのトロールがいた。
(さらわれたトロールか...... 死んではない。 よかった。 だが助けるのは後だ)
奥の大きな部屋にバーンの魔力を感じる。
のぞくと、バーンは手術台にのせられていて、そのそばには白衣の人間たちがいた。
部屋に実験器具のようなものが運ばれてくるのに乗じて、中へとはいる。
「これは......」
「マサトさま、奥を......」
そういわれて奥をみると暗がりに、いくつもの大きなガラスのような透明な容器に入っている異形のモンスターがいる。
「あれはなんだ!?」
「わかりません...... ただとても嫌な感じがします」
そのとき部屋の扉があいて、貴族風の老人が入ってきた。
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