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第五十七話
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「お待ちしておりました。 わたしは近衛騎士団長アシュルム。 女王がお待ちです」
そう長身の鎧をきたエルフの女性騎士から、通るよう言われて城へとはいる。
応接室にはいると、エルフの女王ミルティンが机の向こうに座っていた。
「さあ、どうぞ」
そういわれて対面の椅子に座る。
「それで、同盟とのことだね」
「ええ、お互いに利益があると思いますが、なぜ断られたのですか?
ザイクロフト、アルフレドのことが気になるのですか?」
「まあ、それもあるが...... 単純に国民が望まぬからだよ」
「国民が...... ですがエルフはこのままだと衰退して滅ぶのでは......」
「......そうだね。 我らは長命ではあるが、その分繁殖能力が低い。 まあ当然だがね。 だがそれは神が定めたこと...... みなそう思っているのだよ」
「そうですか...... ならば仕方ないですね」
「ずいぶんあっさり引き下がるんだな」
そう表情もかえずにミルティンはいう。
「まあ、無理に同盟しても国民感情があわないと、うまくはいかないでしょう。 それに生き方はそれぞれですからね。 我々としては黒衣の化者《ダークレイス》に利用されたり、大国に滅ばされたりしない限りはかまいませんよ」
「......ただ一応種族の長としては、このまま無為に種族が滅ぶのをのんびりとみているわけにもいくまい」
表情もかえずにミルティンがいう。
「我々になにかしてほしいことでもあるのですか?」
「実は神樹に何かあるようで精霊が反応する。 知らべてはもらえぬか」
(精霊ちゃん......)
『確かに何かざわつきますね』
「ちょっとまって! 別に同盟でもないんだから、調べることはないわよ!」
「そうよ! 自分達で調べなさいよ!」
二人がそういうと、ミルティンは苦笑する。
「そうしたいのはやまやまだが、エルフたちは神樹に登ることを拒否しているのだ」
「それは信仰心ですか?」
「ああ、たたりがあるとな......」
「わかりました。 我々が調べてきます」
「マサト!!」
二人が声をあげた。
「なんでわざわざ調べてあげるのよ!」
「そうよ! あんなお高くとまってる連中、ほっときゃいいじゃない!」
二人が納得いかないようで、ずっとブーブー不満をいっている。
「だがエルフとも信頼をえておいた方がいいだろ? それに何か気になる」
「気になる?」
「神樹がどうしてそうなったのか。 もしかしたら黒衣の化者《ダークレイス》の仕業かもしれないし...... これ神さまが作ったんだろ?」
「確か、美神エンテューラだっけ? そういう神さまがエルフを作ってそれを守るために神樹をつくったって話しは聞いたことがあるわ、ね」
リーシェはそうポケットからいった。
(エンテューラ...... おれ以外の神の話、ちゃんと調べてこなかったな。 精霊ちゃん、わかる範囲で教えて)
『はい、一応この世界には四柱の神がいるとされます。 美神エンテューラ、死神ディライダ、天神ハークレア、愛神アルトです』
(アルト...... それってリドミラ法王国のアルト教団と関係あるの?)
『アルト教団が主張する最高神がアルトです』
(ほー それで実在するの)
『わかりません...... 本当に存在したかは定かではなく。もしかしたら信仰するものたちの想像の産物である可能性もあります』
(なるほど...... とはいえ可能性はあるのか。 まあおれも神だからな)
おれたちは城の裏手から神樹へと登っていく。
「エルフたちはたたりがあるっていってたけど...... おもいっきり階段があるな」
そう上に向かう階段を登りながらいう。
「そうね。 でもかなりの間、誰も登ってないみたい。 苔がびっしりくっついてるわ」
デュセはそう周囲をみている。
「なんなのかしら、このざわつく感じ......」
リーシェが不安そうにそういうと、後ろから声が聞こえてきた。
「まってくださいッス! 姐さんとアニキ!!」
「あれは......」
空を飛んできたのは、ハーピー族のキキとササだった。
「ん? どうしたの?」
「お三人がこちらにくるときいて、ついてきたッス」
「そうッス、近くにいるのに連絡ないのはひどいッスよ!」
そうササは不満を口にした。
「そういえば偵察は?」
「空は異常はなにもないッスね。 ときたま飛行モンスターがいますが、弱いものばかり。 退屈なもんッス」
「うちら、もっとやりがいある仕事がほしいッス」
「まあ、なにか考えるから、まってて」
「いやッス」
「ついていくッス」
二人はそういうと勝手についてきた。
そう長身の鎧をきたエルフの女性騎士から、通るよう言われて城へとはいる。
応接室にはいると、エルフの女王ミルティンが机の向こうに座っていた。
「さあ、どうぞ」
そういわれて対面の椅子に座る。
「それで、同盟とのことだね」
「ええ、お互いに利益があると思いますが、なぜ断られたのですか?
ザイクロフト、アルフレドのことが気になるのですか?」
「まあ、それもあるが...... 単純に国民が望まぬからだよ」
「国民が...... ですがエルフはこのままだと衰退して滅ぶのでは......」
「......そうだね。 我らは長命ではあるが、その分繁殖能力が低い。 まあ当然だがね。 だがそれは神が定めたこと...... みなそう思っているのだよ」
「そうですか...... ならば仕方ないですね」
「ずいぶんあっさり引き下がるんだな」
そう表情もかえずにミルティンはいう。
「まあ、無理に同盟しても国民感情があわないと、うまくはいかないでしょう。 それに生き方はそれぞれですからね。 我々としては黒衣の化者《ダークレイス》に利用されたり、大国に滅ばされたりしない限りはかまいませんよ」
「......ただ一応種族の長としては、このまま無為に種族が滅ぶのをのんびりとみているわけにもいくまい」
表情もかえずにミルティンがいう。
「我々になにかしてほしいことでもあるのですか?」
「実は神樹に何かあるようで精霊が反応する。 知らべてはもらえぬか」
(精霊ちゃん......)
『確かに何かざわつきますね』
「ちょっとまって! 別に同盟でもないんだから、調べることはないわよ!」
「そうよ! 自分達で調べなさいよ!」
二人がそういうと、ミルティンは苦笑する。
「そうしたいのはやまやまだが、エルフたちは神樹に登ることを拒否しているのだ」
「それは信仰心ですか?」
「ああ、たたりがあるとな......」
「わかりました。 我々が調べてきます」
「マサト!!」
二人が声をあげた。
「なんでわざわざ調べてあげるのよ!」
「そうよ! あんなお高くとまってる連中、ほっときゃいいじゃない!」
二人が納得いかないようで、ずっとブーブー不満をいっている。
「だがエルフとも信頼をえておいた方がいいだろ? それに何か気になる」
「気になる?」
「神樹がどうしてそうなったのか。 もしかしたら黒衣の化者《ダークレイス》の仕業かもしれないし...... これ神さまが作ったんだろ?」
「確か、美神エンテューラだっけ? そういう神さまがエルフを作ってそれを守るために神樹をつくったって話しは聞いたことがあるわ、ね」
リーシェはそうポケットからいった。
(エンテューラ...... おれ以外の神の話、ちゃんと調べてこなかったな。 精霊ちゃん、わかる範囲で教えて)
『はい、一応この世界には四柱の神がいるとされます。 美神エンテューラ、死神ディライダ、天神ハークレア、愛神アルトです』
(アルト...... それってリドミラ法王国のアルト教団と関係あるの?)
『アルト教団が主張する最高神がアルトです』
(ほー それで実在するの)
『わかりません...... 本当に存在したかは定かではなく。もしかしたら信仰するものたちの想像の産物である可能性もあります』
(なるほど...... とはいえ可能性はあるのか。 まあおれも神だからな)
おれたちは城の裏手から神樹へと登っていく。
「エルフたちはたたりがあるっていってたけど...... おもいっきり階段があるな」
そう上に向かう階段を登りながらいう。
「そうね。 でもかなりの間、誰も登ってないみたい。 苔がびっしりくっついてるわ」
デュセはそう周囲をみている。
「なんなのかしら、このざわつく感じ......」
リーシェが不安そうにそういうと、後ろから声が聞こえてきた。
「まってくださいッス! 姐さんとアニキ!!」
「あれは......」
空を飛んできたのは、ハーピー族のキキとササだった。
「ん? どうしたの?」
「お三人がこちらにくるときいて、ついてきたッス」
「そうッス、近くにいるのに連絡ないのはひどいッスよ!」
そうササは不満を口にした。
「そういえば偵察は?」
「空は異常はなにもないッスね。 ときたま飛行モンスターがいますが、弱いものばかり。 退屈なもんッス」
「うちら、もっとやりがいある仕事がほしいッス」
「まあ、なにか考えるから、まってて」
「いやッス」
「ついていくッス」
二人はそういうと勝手についてきた。
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