大魔王に託されたぼくの異世界革命

曇天

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第三話

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「ここがモンスターがいる森か」
 
 依頼にあったモンスター討伐を討伐に森へときていた。

「シンゴ、私をもとの姿に戻していただけませんか」

「ああ、子猫のままだと危険か」

 ギンチヨを元の狼に戻した。

(つかれるな...... 魔法のせいか。 いや急にこんなことになったからな)

「では参りましょう」 

 森を歩いていると、遠く前の茂みから大きな影が転がりでた。 それは大きな岩石のようなイノシシだった。

「ストーンボアーです。 魔法も使います。 あの後ろの木に隠れていてください」

 ギンチヨが走る。 ストーンボアーは口からなにかをはきだす。 それは高速で木に当たるとえぐるような穴を空けた。

「なんだ!? 石! 石を打ち出したのか! これが魔法か!」 

 ギンチヨは俊敏な動きで石を避けながら近づくと、一瞬でボアーの首をかみきった。

 ボアーは地面を揺らして倒れる。

「すごいな! あんなモンスターを一撃だなんて!」

「シンゴ、このモンスターに革命《レボリューション》は使えませんか?」

「えっ? 革命《レボリューション》?」

「触れてみて使ってください」

 言われたまま倒れているボアーに触れ集中する。 目を閉じると暗闇のなかに光を感じる。

「ボアーの体のなかになにかを感じる」

「それが魔力です。 それをひとつにできますか?」

 それを手のひらに集めると、指先ほどのちいさな結晶ができる。

「これ...... できたのか?」

「ええ、魔力の結晶ですね。 やはり魔王の魔法...... それは保有しておいてください」 

 そういわれポケットにいれた。

「モンスターって生物なんだよね。 魔力がある普通の生物とは違うのか?」

 倒れたボアーをみる。 とても大きく普通のイノシシとはことなる形だ。

「魔力とは望みを叶える力なのです」

「望みを叶える......」 
  
「ええ、生物は食べることや生き抜くのが本能でしょう。 モンスターはゆえにその望みを叶え、狂暴になりまた強くなるのです」  

「なるほど、それを叶えているってことか。 ということは魔法は人の願望をかなえてるってこと?」

「はい、そうです。 魔法は魔力により願望を具現化する方法です」

「それならぼくも他の魔法を使えるってことか」

「使えますが、あなたのもつ革命《レボリューション》の方が有用です」

「どういうこと?」 

「生き物はひとつのことを考えるわけではないので、一番大きな願いを叶えますから大半は無駄になります。 でも魔力そのものをかえられるなら......」

「無駄がないのか。 それじゃこの革命《レボリューション》具体的にどうできるか調べないとな」

「ええ、私も詳しくはわかりません。 大魔王が作り出した最後の魔法ですのでとてつもない力をもつことはわかりますが......」

「よし、さっそく試そう」

 森を歩くと、モンスターが次々とあらわれギンチヨがモンスターを倒していく。 倒したモンスターから魔力を集め結晶をいくつもつくった。

「ギンチヨめちゃくちゃ強いな。 よし、とりあえず結晶化はできた。 そして形を変えられるんだからこれを......」

 結晶をいくつか握り革命《レボリューション》で結晶を固め剣にしてみた。

「できた!」

「魔力でつくった結晶剣ですか。 モンスターには効果がありそうですね」

「そうなの?」

「モンスターが固く強いのは肉体をまもるために、魔力を無意識にまとっているからです。 魔力でできた剣なら、それらをきりさけるはずです」

「よし! 試してみよう」

 ウサギのモンスターが現れるとギンチヨに囮りになってもらい、すきをみてきりつけた。

「ギャワッ!!」

 ウサギは紙切れのように簡単にきれた。

「すごい! 簡単にきれた!」

「ええ、かなりの切れ味ですね。 かなり固いものなのですが、魔力の防御障壁を簡単には切り裂きました」

「うん、うっ...... でも疲れた」

「ええ、魔法は精神をけずりますから。 目的のモンスターはたくさん倒していますので、町に帰りましょう。 ではからだを戻してください」

「えっ...... 戻すの」

 何とか最後の力を振り絞ってギンチヨをネコにかえた。


「この数のモンスターを一人で......」

 そう受付嬢は言葉をうしなう。 

 ヘロヘロで町にかえったぼくは冒険者ギルドにきていた。

「あ、では報酬をお持ちください。 10000ゴールドです」

 目の前に大きな袋がおかれた。 

「そんなに...... 確か500じゃなかった?」  

「いえ、倒したモンスターには他の依頼のモンスターもいますので、それをあわせての額となります」

「そうなのか。 わかりました、ありがとう」

 ぼくは報酬を受け取り、更に依頼をうけギルドをあとにした。

「かなりお金がはいった。 当面生活には困らないですみそうだ。 ただつかれた......」

「では宿にむかいましょう。 魔力を使いましたので休息で回復を......

 そのまま宿へとむかい休んだ。


 次の日。

「それでは装備を整えましょう」

「装備?」

「ええ、この世界の武具は魔力でまもられています。 身に付けることで生存率が上がります」

「そうか、RPGみたいだな」

 ぼくは武具をかいにむかい、そこでギンチヨにいわれた短剣や軽い鎧を手に入れた。

「これでいいのか?」
 
「ええ、シンゴは魔力の剣がありますが、できるだけしられない方がいいでしょう。 特に魔人には......」

「魔人......」

「ええ、魔力により変異した種族です。 この世界は人間と魔人とで領土を分けていますが、大魔王なきあと統率されていた魔人が動く可能性があります。 もとより大魔王の意見に反するものも多くいましたから」

「そういや、大魔王もそんなこと言ってたな」

「ええ、魔人の方が魔力もつよく、その戦闘力も高いため、多くの領土をもちます。 ゆえに大魔王は争いを禁じていました」

「それって戦争になるってこと?」

「今すぐにはならないでしょう。 しかし魔人の数は少なく一枚岩ではありません。 これから大魔王の座を巡り争いが起こるとおもいます」

「そうか、それも大魔王は危惧してたのか。 でもぼくはもとの世界に戻りたいんだ」

「ご自身の意思を尊重してください。 あなたは自分のためにいきればよいのです」

 そういわれて心に引っ掛かるが、その考えを振り払い依頼に向かった。


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