大魔王に託されたぼくの異世界革命

曇天

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第六話

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　目の前には木の板の上に果物や魚などがおかれている。

　ぼくはゴブリンの住居にいた。　あのあとゴブリンたちは倒れたぼくを介抱してくれた。

「感謝しているようですね」

「みたいだ」

　ゴブリンたちは笑顔で食べるようジェスチャーをしている。

（それほど果実は熟してないし、魚も小さいが、彼らの精一杯のもてなしだろうな）

　そう思い食べた。

「タスカッタ」

「でも魔人はなんでこんなところに、人間を殺せとかいってたけど」

「マジン、ニンゲン、トチホシイ」

「それで人間と戦わせようとしたのか。　でもここのゴブリンじゃどうやっても人間を攻めたとしても国なんて......」

「オレタチ、コロサレル......　マジン、タタカウ」

「人間との戦争は大魔王が禁じていますから、彼らを殺させて攻める口実をつくりたいようですね」

「つまり戦争するための生け贄か......　ひどいことするな」

「ニンゲン、コワイ、マジンモットコワイ......」

　ゴブリンたちの顔がくもる。

「だが、ここにいたらあの魔人はまた来るな。　ぼくもここにいるわけにはいかない、どうしようか？」

「もう討伐もできませんしね。　どこかに移動させるしかないでしょうね」

「どこかに......　か」

（そういえば、ユニコーンタートルの報酬でかなりのお金があったな）

「どこかに移動する気持ちはないかな」

「イドウ......　ウゴク」

　ゴブリンたちは顔を見合わせている。

「ニンゲン、コウゲキ、シテコナイ？」

「なんとか人間がはいらない場所を探すよ」　

「ココ......　キケン、イドウシタイ」

　みなうなづいている。

「そうか、それなら早くさがそう。　ちょっと待っててくれ、すぐさがしてくる」

　ぼくたちはすぐに待ちに戻り土地を探した。

「どこか、人間がいなくて、魔人にも見つからない場所をさがさないと」

「それなら無人の孤島とか、そういう場所ですね」

「なるほど、それなら誰もこないな」

　不動産屋にむかう。

「人のいない孤島ですか？　もちろんありますよ。　ですが......」

　子供だからか怪訝な顔で不動産屋の主人はこちらをみた。

「お金ならある。　冒険者なんだ」

　ギルドからおろした袋一杯の銀貨をみせた。

「これは！　そ、そうでこざいましたか！」

　そう分かりやすく態度を変えた店主に話をした。

「ふむ、魔法の鍛練ですか。　魔法をつかえるならその年で冒険者でもおかしくないですね」

「ああ、広範囲の魔法を鍛練したいんだけど、周囲に迷惑をかけるわけにはいかないし、できるだけ人がこなくて広い場所がほしいんだ」

「なるほど、ですが孤島となると」

「ない？」

「いえ、そういう場所がひとつあるにはあるんですが......」

　そういって店主は口ごもる。

「なに？」

「いやなに、ちょっとわけありで、私どもも手放したいのですが買い手がなかなか......」

「わけありって」

「昔、ちいさな王国があった場所で、その王国は滅んだんですが、モンスターが住み着いていましてね」

「モンスターか、それなら大丈夫だ。　自分でなんとかするよ」

「いや、それが普通のモンスターじゃないんですよ」

「ふつうじゃない？」

「ええ、アンデッドでして」

「アンデッド？」

「死霊や死者に魔力がやどりモンスターとなったものです」

　耳元でギンチヨがささやく。

（死霊......　か、怖いけど、そんな話があるなら、よけいに人は近づいてこないか）

「そこ売ってもらえる」

「ええ、そりゃ、こっちも手放したいですが、あなたに死なれても寝覚めがわるい」

「いや、そこなら魔法を思う存分放てるから都合がいいんだ」

　少し渋る店主から強引にその土地の権利書をかいとった。

「よしゴブリン移動させるか。　あと必要なものは」

「みられては騒ぎになるので、フードのローブとホロのついた荷馬車、数台、そして孤島に向かう船が必要ですね」

「全員を魔力で姿をかえるのは無理か......　わかった。　でも馬車も船もぼくは動かせないけど」　　　
　
「しかたないですね。　私を人の形にしてください」

「ええ！？　てきるかな。　いやでもするしかないな。　他の人に任せてばれでもしたらこの計画が終わるし......」

　ぼくは集中してギンチヨを変化させみる。

「はぁ、むりだ......」

「さすがに人型にするには魔力がたりませんね。　魔力結晶をつかってみてください」

「これ？」　　

　魔力結晶を握りもう一度集中する。　するとギンチヨが大きくなってきた。

「おお！　人型に！　えっ！？」　

　ギンチヨは銀色の髪のぼくとおなじぐらいの少女となった。

「ギンチヨっておんなのこだったの！？」　

「ええ、しりませんでしたか？」　

「しらなかった！　というかこれきて！」　
　
　裸だったので、すぐぼくの服を着せた。

「はっくしょい！　......とりあえず服だな」

　町で服と荷馬車をかうと港で船を買いゴブリンの森にもどる。　　

「みんなこのローブをきたら、必要なものだけもって夜のうちに移動するよ」

　ゴブリンたちをうながし馬車にのせる。　およそ50人はいた。　

「後ろの馬車は大丈夫かな。　操作できないから」

「馬に紐をつけてるのでゆっくりなら大丈夫です」

　夜のうちに港につき、ゴブリンたちを船にのせる。

「明日の朝、水夫がきてくれる。　その前に船の中にゴブリンをかくしておこう」

「そうですね」
　　
　ゴブリンたちに朝に船の底に隠れるようにして、その日は船で眠った。

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