13 / 59
第十三話
しおりを挟む
「よかった必要なものを全部かえた!」
アスンハルトさんからえた報酬で必要なものを購入できた。
「ええ、皆にわたる分の道具も手に入りましたし、苗や種、肥料なんかも手に入りましたね。 これで田畑を作れるでしょう」
しかし島に戻るとブラスとシャスタ、ゴブリンたちとドラゴニュートがたちが待っていた。 その顔をみてただごとじゃないことがみてとれた。
「どうした?」
「シンゴさまが不在のとき、島をあけ渡して隷属しろとマーマンがやってきたのです......」
「マーマン?」
「半魚人です」
ギンチヨがいった。
「でも何でこの島のことしってたんだ」
「どうやらこの島を前から目を付けていたようです......」
そう不安そうな顔をシャスタはする。
「他に誰かいるの」
「ええ魔人がいました。 名前を【ガベルグ】というものです。 どうやらマーマンたちを支配しているようでした」
「ガベルグ......」
「明朝またきて、その時に降伏の意思なき場合、我々を皆殺しにするとのこと」
そうブラスはうつむいた。
「魔人か...... まさかいきなり見つかるとはな」
「話し合いに応じるものたちではないでしょう。 もう戦うしかないでしょうね」
「しかしギンチヨさま。 我らは武器をあまり持っておりません。 クワ、カマ、ハンマー、ナタ、斧だけでは到底武装するマーマンは倒せますまい」
「我らは槍はありますが、ゴブリンたちと協力してもマーマンが精一杯...... 魔人はさすがにどうにもなりません」
シャスタがそう槍をにぎる。
「それはぼくがやろう。 ギンチヨはシャスタとブラスをまもってくれ」
「......しかし!」
「ぼくには策がある。 警戒されると失敗する」
「わかりました...... あなたの意思を尊重します」
「ありがとう。 じゃあ、今から明日の戦いに備えて対策をとる」
「そうですな! 我らにはここしかいく場所がない」
「我らも!」
皆が拳を天にあげ歓声をあげる。
次の日、こちらが浜辺で待っていると、船にのり堂々と大柄な魔人があらわれた。 その後ろには海から上がってきたマーマンたちが剣や槍をもちかまえている。
「お前がこいつらの主か。 まさか人間とはな」
(こいつがガベルグ、警戒もしてないなめてるのか。 だけどその方が好都合。 後ろにはマーマンがおよそ200、こちらは戦えるものが50...... こいつを倒せるかにかかっているな)
「降伏しろ、拒否ならば皆殺しだ」
そうガベルグは腕を組みそう威圧する。
「まずは話し合いをしないか」
「話し合い...... 不要だ」
「そちらも戦えばマーマンに被害がでるだろ」
「こいつらはただの駒だ。 何びき死のうがかまわん。 またどこかからつれてくればよい。 それで返答は」
「......ノーだ。 どうせ同じ様に亜人たちを駒のようにするんだろう」
「いいだろう...... 死にたいということだな」
うれしそうにガベルグはニヤリと笑った。
(こいつは戦いや殺しを楽しみたいだけだ。 どんな答えをしても、多分攻撃してくる)
「お前たち! ゴブリンとドラゴニュートどもを殺せ!」
「ギェェ!!」
そうガベルグがそういうと、マーマンは奇声をはっし砂浜を一斉にはしってくる。
「ドラゴニュートを前衛にして町へむかえろ!」
ドラゴニュートが前にたち、少しずつ町の方へさがり始める。 後方からゴブリンたちが投石を始める。
「ふん、下らぬ策など無意味だ。 きさまを殺して俺が加われば終わりだからな」
そういってガベルグが間合いをつめ腕を振り下ろす。
ドゴォォンッ!!!
(はやっ......)
すごい衝撃で砂が上空に舞う。
「ほう、かわしたか...... それとも衝撃で紙のように飛んだのか」
(こいつ、この大きさでこの速さか! 食らったら即死だな)
「大丈夫だ...... やれる!」
「やれる? ふふ、ははははっ! 人間ごときが魔人の俺と戦えると! 俺はこれから魔王を名乗り、魔人たちの王になるのだ。 そのための兵士と領地がここだ」
「そうはいくか......」
しかし何度もうちおろされる巨大なハンマーのような腕をかわし、後方に逃げる。
「ちょこまかと...... 貴様も王なら真っ向からこい」
「ぼくはともかく、眷族に無駄な犠牲を強いるおまえは王の器じゃない」
「眷族...... マーマンどもなど眷族でも何でもない。 ただの使い捨てよ。 さっさと死ね!!」
(よし! このタイミングだ!)
「革命《レボリューション》」
ぼくは魔力でつくった棒を地面につき後方にとんだ。 なにかが割れる音がする。
「なんだ!?」
ガベルグの踏んだ砂浜が沈んでいく。 もがいているが上がってこれない。
「なめるな!! こんな沼、泳げば...... なんだこれはただの沼ではない! 抜け出せない!」
「昨日一晩で魔力をからにして作った魔力沼に魔力で蓋をし、それを割った...... 力ずくで出られるものじゃない」
「なんだと!? 魔力の沼!! 貴様どうやって! この卑怯ものめ!!」
「ああ、悪いがまともに戦うつもりはない。 ぼくには眷族たちを守る義務も責任もある。 生き残ることの方が重要だ」
「キサマァァァッ...... ガボボ......」
ガベルグは魔力の沼に沈んでいった。
「よし、みんなは!」
町へと向かうとマーマンたちは、ぼくが作った浅い沼に溺れ町へとはいれずとどまっていた。
「もうガベルグは死んだ! お前たちの敗けだ!」
そう大声で叫ぶと、マーマンたちは戦意を失い武器を手放した。
こうして戦争はおわった。
アスンハルトさんからえた報酬で必要なものを購入できた。
「ええ、皆にわたる分の道具も手に入りましたし、苗や種、肥料なんかも手に入りましたね。 これで田畑を作れるでしょう」
しかし島に戻るとブラスとシャスタ、ゴブリンたちとドラゴニュートがたちが待っていた。 その顔をみてただごとじゃないことがみてとれた。
「どうした?」
「シンゴさまが不在のとき、島をあけ渡して隷属しろとマーマンがやってきたのです......」
「マーマン?」
「半魚人です」
ギンチヨがいった。
「でも何でこの島のことしってたんだ」
「どうやらこの島を前から目を付けていたようです......」
そう不安そうな顔をシャスタはする。
「他に誰かいるの」
「ええ魔人がいました。 名前を【ガベルグ】というものです。 どうやらマーマンたちを支配しているようでした」
「ガベルグ......」
「明朝またきて、その時に降伏の意思なき場合、我々を皆殺しにするとのこと」
そうブラスはうつむいた。
「魔人か...... まさかいきなり見つかるとはな」
「話し合いに応じるものたちではないでしょう。 もう戦うしかないでしょうね」
「しかしギンチヨさま。 我らは武器をあまり持っておりません。 クワ、カマ、ハンマー、ナタ、斧だけでは到底武装するマーマンは倒せますまい」
「我らは槍はありますが、ゴブリンたちと協力してもマーマンが精一杯...... 魔人はさすがにどうにもなりません」
シャスタがそう槍をにぎる。
「それはぼくがやろう。 ギンチヨはシャスタとブラスをまもってくれ」
「......しかし!」
「ぼくには策がある。 警戒されると失敗する」
「わかりました...... あなたの意思を尊重します」
「ありがとう。 じゃあ、今から明日の戦いに備えて対策をとる」
「そうですな! 我らにはここしかいく場所がない」
「我らも!」
皆が拳を天にあげ歓声をあげる。
次の日、こちらが浜辺で待っていると、船にのり堂々と大柄な魔人があらわれた。 その後ろには海から上がってきたマーマンたちが剣や槍をもちかまえている。
「お前がこいつらの主か。 まさか人間とはな」
(こいつがガベルグ、警戒もしてないなめてるのか。 だけどその方が好都合。 後ろにはマーマンがおよそ200、こちらは戦えるものが50...... こいつを倒せるかにかかっているな)
「降伏しろ、拒否ならば皆殺しだ」
そうガベルグは腕を組みそう威圧する。
「まずは話し合いをしないか」
「話し合い...... 不要だ」
「そちらも戦えばマーマンに被害がでるだろ」
「こいつらはただの駒だ。 何びき死のうがかまわん。 またどこかからつれてくればよい。 それで返答は」
「......ノーだ。 どうせ同じ様に亜人たちを駒のようにするんだろう」
「いいだろう...... 死にたいということだな」
うれしそうにガベルグはニヤリと笑った。
(こいつは戦いや殺しを楽しみたいだけだ。 どんな答えをしても、多分攻撃してくる)
「お前たち! ゴブリンとドラゴニュートどもを殺せ!」
「ギェェ!!」
そうガベルグがそういうと、マーマンは奇声をはっし砂浜を一斉にはしってくる。
「ドラゴニュートを前衛にして町へむかえろ!」
ドラゴニュートが前にたち、少しずつ町の方へさがり始める。 後方からゴブリンたちが投石を始める。
「ふん、下らぬ策など無意味だ。 きさまを殺して俺が加われば終わりだからな」
そういってガベルグが間合いをつめ腕を振り下ろす。
ドゴォォンッ!!!
(はやっ......)
すごい衝撃で砂が上空に舞う。
「ほう、かわしたか...... それとも衝撃で紙のように飛んだのか」
(こいつ、この大きさでこの速さか! 食らったら即死だな)
「大丈夫だ...... やれる!」
「やれる? ふふ、ははははっ! 人間ごときが魔人の俺と戦えると! 俺はこれから魔王を名乗り、魔人たちの王になるのだ。 そのための兵士と領地がここだ」
「そうはいくか......」
しかし何度もうちおろされる巨大なハンマーのような腕をかわし、後方に逃げる。
「ちょこまかと...... 貴様も王なら真っ向からこい」
「ぼくはともかく、眷族に無駄な犠牲を強いるおまえは王の器じゃない」
「眷族...... マーマンどもなど眷族でも何でもない。 ただの使い捨てよ。 さっさと死ね!!」
(よし! このタイミングだ!)
「革命《レボリューション》」
ぼくは魔力でつくった棒を地面につき後方にとんだ。 なにかが割れる音がする。
「なんだ!?」
ガベルグの踏んだ砂浜が沈んでいく。 もがいているが上がってこれない。
「なめるな!! こんな沼、泳げば...... なんだこれはただの沼ではない! 抜け出せない!」
「昨日一晩で魔力をからにして作った魔力沼に魔力で蓋をし、それを割った...... 力ずくで出られるものじゃない」
「なんだと!? 魔力の沼!! 貴様どうやって! この卑怯ものめ!!」
「ああ、悪いがまともに戦うつもりはない。 ぼくには眷族たちを守る義務も責任もある。 生き残ることの方が重要だ」
「キサマァァァッ...... ガボボ......」
ガベルグは魔力の沼に沈んでいった。
「よし、みんなは!」
町へと向かうとマーマンたちは、ぼくが作った浅い沼に溺れ町へとはいれずとどまっていた。
「もうガベルグは死んだ! お前たちの敗けだ!」
そう大声で叫ぶと、マーマンたちは戦意を失い武器を手放した。
こうして戦争はおわった。
0
あなたにおすすめの小説
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』
公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル!
書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。
旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください!
===あらすじ===
異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。
しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。
だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに!
神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる!
※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい
※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております
※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる