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第四十二話
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「さすがににげずにきたな。 しかし一人とはたいした覚悟だ」
そうザルガルドは笑う。 バルフト山脈へぼくはひとりできていた。
「ひとつききたい」
「なんだ?」
「お前の目的はなんだ」
「我は強者との戦いを望む」
「なぜだ?」
「頂点を目指すのは生物の本能だ。 目的などない、この命に意味をもたせるもの。 ゆえに我は強者を倒して我が頂点であることを示す」
「つまり、暇潰しか」
「はははっ、そうだな。 わかりやすくいえばな。 なればそなたにも問おう。 お前の目的はなんだ」
(目的、最初はもとの世界に帰るためだった。 だが今は......)
「家族である国の彼らをまもるため、そしてこの世界を変革させるため......」
「よかろう。 ならば我を倒し、国と仲間をまもって、世界を変えてみせよ」
「ああ」
ぼくたちは対峙する。
「くっ! 革命《レボリューション》、膜《メンブレン》十層!!」
「ぬう!!」
魔力の膜を簡単に破られる。 その衝撃波で飛ばされた。
(......膜では止められないか!)
「革命《レボリューション》、蜘蛛糸《スパイダーネット》、粘体帯《ゲルバンド》黒沼《スワンプ》、澱匣《ボクス》、障星《ウォールスター》!!」
「ぬっ」
ザルカランドを拘束して匣と球体にいれ、黒い魔力の沼へおとした。
「うあっ!!」
そう声あげると容易く糸と匣をふきとばし、ザルカランドは沼から飛び出した。
「革命《レボリューション》粘槍《トルネードランス》!!」
魔力の槍が当たるがその腕で吹き飛ばした。
「そんな小細工では我を止められぬわ」
(くそっ、なんてやつだ! あれで動きを止めることすら叶わないなんて!)
その一瞬で目の前にザルガルドがいた。
(革命《レボリューション》、弾球《スフィア》! がっ!!」
とっさにつかった魔力の球体でその拳を防ぐが、それは破裂し衝撃でふきとぶ。
「ぐっ!」
(腕がおれた...... 防いでもこの威力か)
「しょせんリューガリアやミューティアスと戦える程度か」
失望したようにザルガルドはいった。
(力の差は歴然...... 粘槍《トルネードランス》すら体で弾くなら、魔束砲《カノン》もかなり近づかないと致命傷には至らない)
「もう諦めるか...... 弱きものよ」
「いいや、諦めるわけにはいかない......」
「ならば、どうする? 精神力だけでこの状況をくつがえせはせぬぞ」
(気化させた魔力がたまったか。 手持ちの魔力結晶を全て使う!)
「革命《レボリューション》液魔鎧《リキッドメイル》!!」
気化させた魔力を液化させ、自分の周りに巨大な液体の体をつくった。
「ほう! おもしろい!」
「うおおお!!!」
その腕でなぐる。 衝撃で大地がえぐれた。
「ぬん!!」
その腕をザルガルドははじく。 しかしなんども液化した腕で殴り付ける。 ザルガルドも打撃してくるが液化の鎧でかなり軽減しているようだ。
(液化で威力は軽減しているが、だが鎧に使ってる魔力結晶が消費していく!)
「どうした!? そんなものか!! このままだと死ぬぞ!!」
(だが......)
液体の体が吹き飛ばされていった。
「死んだか......」
「いや」
ぼくはザルガルドの後ろにいた。
「鎧は囮......」
「革命《レボリューション》、魔束砲《カノン》!!」
最後の魔力で近距離から魔束砲《カノン》を放った。
「ぐああああああっ!!!」
ザルガルドは光に消えた。
「は、はぁ、はぁ、何とか......」
ぼくは疲労で意識がもうろうとなり、その場に倒れた。
「ぐっあ......」
土煙のなか、ザルガルドがよろよろと現れた。
(倒しきれなかった...... だが、もうからだが動かない......)
「ここまでやるとは...... ザガルディス以来だ。 だが終わりだな。 最後にいうことはあるか」
「国を......」
「それはできぬ。 国は滅ぼさせてもらう。 全てをかけねば決着とはいえぬ」
「ふふっ、そうか、そうだよな」
「何がおかしい?」
「もうすぐくる......」
「くる......」
空の向こうからなにか黒いものが近づく。
「あれは......」
それは無数の魔人だった。
「なんだ、魔人が...... なぜここに」
「こ、ここで戦っていることを流布したからだ......」
「そなた、最初から」
「ああ、あなたには勝てない。 ここでぼくたちが戦っていることを魔人が知れば、生き残りをかならず仕留めにくる」
「......死ぬつもりだったか」
「国、仲間をまもるためだ。 ぼくが死んでも仲間なら国をまもりきれる......」
「やってくれたな......」
ザルガルドは空にとび魔人たちと戦い始めた。 弱っていながら魔人たちを返り討ちにしている。
(あの体でまだあんなに戦えるのか...... だがいずれヴァナークやサフィーローテもくるはず...... そうすれば少なくともザルガルドは倒せる。 あとは人間やみんなに任せるしかない......)
奮戦していたザルガルドがついに空中から落ちているのが見えた。
そうザルガルドは笑う。 バルフト山脈へぼくはひとりできていた。
「ひとつききたい」
「なんだ?」
「お前の目的はなんだ」
「我は強者との戦いを望む」
「なぜだ?」
「頂点を目指すのは生物の本能だ。 目的などない、この命に意味をもたせるもの。 ゆえに我は強者を倒して我が頂点であることを示す」
「つまり、暇潰しか」
「はははっ、そうだな。 わかりやすくいえばな。 なればそなたにも問おう。 お前の目的はなんだ」
(目的、最初はもとの世界に帰るためだった。 だが今は......)
「家族である国の彼らをまもるため、そしてこの世界を変革させるため......」
「よかろう。 ならば我を倒し、国と仲間をまもって、世界を変えてみせよ」
「ああ」
ぼくたちは対峙する。
「くっ! 革命《レボリューション》、膜《メンブレン》十層!!」
「ぬう!!」
魔力の膜を簡単に破られる。 その衝撃波で飛ばされた。
(......膜では止められないか!)
「革命《レボリューション》、蜘蛛糸《スパイダーネット》、粘体帯《ゲルバンド》黒沼《スワンプ》、澱匣《ボクス》、障星《ウォールスター》!!」
「ぬっ」
ザルカランドを拘束して匣と球体にいれ、黒い魔力の沼へおとした。
「うあっ!!」
そう声あげると容易く糸と匣をふきとばし、ザルカランドは沼から飛び出した。
「革命《レボリューション》粘槍《トルネードランス》!!」
魔力の槍が当たるがその腕で吹き飛ばした。
「そんな小細工では我を止められぬわ」
(くそっ、なんてやつだ! あれで動きを止めることすら叶わないなんて!)
その一瞬で目の前にザルガルドがいた。
(革命《レボリューション》、弾球《スフィア》! がっ!!」
とっさにつかった魔力の球体でその拳を防ぐが、それは破裂し衝撃でふきとぶ。
「ぐっ!」
(腕がおれた...... 防いでもこの威力か)
「しょせんリューガリアやミューティアスと戦える程度か」
失望したようにザルガルドはいった。
(力の差は歴然...... 粘槍《トルネードランス》すら体で弾くなら、魔束砲《カノン》もかなり近づかないと致命傷には至らない)
「もう諦めるか...... 弱きものよ」
「いいや、諦めるわけにはいかない......」
「ならば、どうする? 精神力だけでこの状況をくつがえせはせぬぞ」
(気化させた魔力がたまったか。 手持ちの魔力結晶を全て使う!)
「革命《レボリューション》液魔鎧《リキッドメイル》!!」
気化させた魔力を液化させ、自分の周りに巨大な液体の体をつくった。
「ほう! おもしろい!」
「うおおお!!!」
その腕でなぐる。 衝撃で大地がえぐれた。
「ぬん!!」
その腕をザルガルドははじく。 しかしなんども液化した腕で殴り付ける。 ザルガルドも打撃してくるが液化の鎧でかなり軽減しているようだ。
(液化で威力は軽減しているが、だが鎧に使ってる魔力結晶が消費していく!)
「どうした!? そんなものか!! このままだと死ぬぞ!!」
(だが......)
液体の体が吹き飛ばされていった。
「死んだか......」
「いや」
ぼくはザルガルドの後ろにいた。
「鎧は囮......」
「革命《レボリューション》、魔束砲《カノン》!!」
最後の魔力で近距離から魔束砲《カノン》を放った。
「ぐああああああっ!!!」
ザルガルドは光に消えた。
「は、はぁ、はぁ、何とか......」
ぼくは疲労で意識がもうろうとなり、その場に倒れた。
「ぐっあ......」
土煙のなか、ザルガルドがよろよろと現れた。
(倒しきれなかった...... だが、もうからだが動かない......)
「ここまでやるとは...... ザガルディス以来だ。 だが終わりだな。 最後にいうことはあるか」
「国を......」
「それはできぬ。 国は滅ぼさせてもらう。 全てをかけねば決着とはいえぬ」
「ふふっ、そうか、そうだよな」
「何がおかしい?」
「もうすぐくる......」
「くる......」
空の向こうからなにか黒いものが近づく。
「あれは......」
それは無数の魔人だった。
「なんだ、魔人が...... なぜここに」
「こ、ここで戦っていることを流布したからだ......」
「そなた、最初から」
「ああ、あなたには勝てない。 ここでぼくたちが戦っていることを魔人が知れば、生き残りをかならず仕留めにくる」
「......死ぬつもりだったか」
「国、仲間をまもるためだ。 ぼくが死んでも仲間なら国をまもりきれる......」
「やってくれたな......」
ザルガルドは空にとび魔人たちと戦い始めた。 弱っていながら魔人たちを返り討ちにしている。
(あの体でまだあんなに戦えるのか...... だがいずれヴァナークやサフィーローテもくるはず...... そうすれば少なくともザルガルドは倒せる。 あとは人間やみんなに任せるしかない......)
奮戦していたザルガルドがついに空中から落ちているのが見えた。
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