大魔王に託されたぼくの異世界革命

曇天

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第四十六話

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「お前がレジェネイか......」

「貴様...... 下等な人間ごときがなぜここに......」

 女性は首に大きな丸い宝石をつけている。

(この声、どこかで......)

 そのとき思い出す。 ウェアウルフが通信していた相手の声だった。

「お前はウェアウルフを操っていたやつか」

「なぜそれを...... 貴様、ウェアウルフを倒して、五大魔王を次々と倒しているシンゴと言う人間か!」

「ああ、そうだ」

「くくくっ、なれば都合がよい。 貴様を殺せば私が大魔王となのれる。 その名前で多くの魔人どもを支配できよう」

「そうさせるか。 革命《レボリューション》、粘槍《トルネードランス》!」

 ためらいなく魔力をはなつ。 それはレジェネイをたやすくつらぬいた。

「やったか...... いや、これは」

 貫いた場所は黒い霧となりまた再生した。

「ふふふっ、なにかやったの?」

「シンゴ! 魔力によりヴァンパイアは不死に近い! まずはあの宝石の破壊を!」

 走ってきたギンチヨは叫んだ。

「なぜ魔法球のことを...... だがさせない。 闇よ!」

 レジェネイが言うと宝石から真っ黒い霧が部屋を包んだ。  

「何も見えない......」

「これは暗闇の魔法...... ぐっ」

 衝撃音のあと、ギンチヨの声が途切れた。

「ギンチヨ! くっ......」 

(まったくみえん。 魔力の膜もこの霧で感知できない)

「ぐあっ!!」

 吹き飛ばされ壁にぶつかる。 革命《レボリューション》で液魔鎧《リキッドメイル》をまとい攻撃するも何も感触がない。

(くっ...... 全く見えないし、何も感じられない。 壁すらわからない。 宝石が魔力を発してるのか。 だがどうやって壊す)

 その間も闇が攻撃をしてくる。

(くっ! 液魔鎧《リキッドメイル》は展開している分、魔力を消耗する。 早く攻撃の糸口をみつけないと......)
 
 ぼくはザルガルドの残した剣をにぎる。 ここにくるまえワグナにみてもらっていた。

「ワグナ、これは?」

「ふーむ、おそらくドラゴンの角だな」

「ドラゴンの角......」

「ああ、魔人もそうだが、強大な魔力は結晶化して角になる...... ん? 魔力結晶が!」

 箱においた魔力結晶がとけていく。

「これは?」

「どうやらその角は魔力を食らうようだな」

「魔力を食らう」

「よし、そいつをつかって剣を作ろう。 魔力を奪う剣だ」

「ああ、頼む」

 こうして剣【魔食剣】《マジックイーター》にしてもらっていた。

(魔力を食らう剣、これならこの魔法を......)

 魔食剣を振り上げる。

「そんな剣当たるものか......」

 そのまま振り下ろすと轟音と共に暗闇がはれた。

「なっ! 魔法が! 切られた! いや吸われている!?」

「革命《レボリューション》! 魔束砲《カノン》!」

「きゃああああ!!!」

 カノンを放つと宝石ごとレジェネイを吹き飛ばした。


「やってくれたわね...... でも魔法球がなくても、私はこれがある......」 

 立ち上がるレジェネイはそういうと腰につけた短刀をぬいた。 短刀からいく本もの黒い触手のようなものが揺らめくとこちらにせまりぼくの体を拘束した。

「それは......」 

「【封印の蝕刀】をつかって貴様の魔法も封印してくれる!」

「闇触手《ダークバインド》」 

 そのとき、黒い闇が伸びてレジェネイの体を拘束した。

「なに!? これは闇の魔法!! まさか」

 ギンチヨがそこに人の形でたつ、その瞳は赤くなっている。

(ギンチヨが魔人に! いやちがう)

「なんであなたがここに! ねえさま!」

「ねえさま...... まさか」

「レジェネイ、久しぶりね。 魔法球に封じられていた私の魔法、返してもらったわ」

「ギンチヨ......」

「すみませんシンゴ。 本当のことを伝えなくて、私はサフィーローテ......」

「はなして! 私たちヴァンパイアは最も偉大な種族! あなたはそれを認めなかった!」

「......そう思いたいのでしょうね。 あなたのお母様は人間だったから」

 悲しみをたたえた目で、サフィーローテはレジェネイをみる。

「くっ! その目...... その目よ! あわれみをこめたその目! 私が人間の血をひくから、あなたはいつもその目で私をみた! いや他のヴァンパイアどもも!」

 そういうとレジェネイは拘束をとき、その体は巨大化しコウモリとなる。

「やめなさい! レジェネイ!」

「私は大魔王になる! この世界の誰も私を蔑めないように! ぐおおおおっ!!」

 コウモリとなったレジェネイは部屋中飛び回り宮殿を破壊しはじめた。

「なんだあれは......」 

「封印の触刀に封じた魔力を開封したようです。 それに精神がおいついていないで暴走しています...... シンゴ、レジェネイを止めます」

「いいのか」 

「もはや...... 彼女は自分が何者かさえわからないはず、苦しませないで安らかにしてあげて......」

「わかった」
  
 サフィーローテは闇をはなつとレジェネイを拘束した。

「......革命《レボリューション》、魔束砲《カノン》」

「グアアアアアッ!!!」

 レジェネイの体を貫き天井を撃ち抜いた光は空にむかった。

 
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