大魔王に託されたぼくの異世界革命

曇天

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第四十九話

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「ヒュブリムを知ってるのか」 
 
 ぼくたちはザウジアナへと向かっていた。
 
「ええ、遥か昔からいる魔人です。 ザガルディスの前の大魔王に仕え虎視眈々とサシエラ侵略の機会を狙っていました」 

「ええ、猜疑心が強いやつらしいわ。 本人は姿を現さず、配下の魔人とジャイアントを使い国を大きくしたの」

 ギンチヨとハリファがそういう。

「ザガルディスの前の大魔王...... その話しはあまりきいたことがないな」

「【グレゼベリエ】というもので、我欲と弱肉強食の世界を望んだ、【強欲の大魔王】と評されるものです」

「その時代は地獄のようだったとお母様もいっていたわ。 だから誰も口にしたくはないのよ」

「私もつたえきいたことがありますね。 亜人種族の管理をしたと......」

 バルスーンも二人についでそういった。

(グレゼベリエ、支配するために亜人の制限を作った大魔王か......)

「ヒュプリムはジャイアントを支配するのか。 ジャイアントはかなり強いのか」

「ええ、巨人だからね。 シンプルに耐久力、腕力、魔力もとても強いわ」

「亜人の中でも最強の力をもつといわれます」

「なるほど厄介だな」

「あそこがザウジアナの国境の砦です」

 その岩山に砦がみえてきた。


「砦がある。 ここを越えないと国へとはいれない。 周囲は高い山登っていけるか」

「いけなくはないでしょうが、おそらくはジャイアントがいるでしょうね」

「真正面をぶち破って倒せばいいんじゃないの」

 そうハリファがいう。

「バルスーンなにかあるか」

「無視するな!」

「無茶いうな。 攻めたことを口実にサシエラに攻めいててくるかもしれないんだぞ。 そうなれば人間と魔人、亜人をまき込んだ戦争になりかねない」 

「......それは面倒ね」

「そうですね。 おそらく地形的にこの近くには川があるはず、そこを潜って行けば国へとはいれるかとおもいますが」

「なるほど、ギンチヨみつけられるか」

「はっ」

 ギンチヨがその場を離れてすぐ川をみつけてきた。

「私がみてきましょう」

 バルスーンが川を潜りしばらくたつと、戻ってくる。

「大丈夫です。 人目につかない場所までつながっています」

 ぼくたちはバルスーンに背負われて川を潜り国の中まではいった。

「では、偵察にいってまいります」

 ギンチヨは猫の姿となりはしっていった。

(ギンチヨははサフィーローテとしての力を少し取り戻したといっていた。 それならぼくたちだけでヒュブリムをうつのは可能だろうが...... しかし不用意に手をだすと戦火がひろがりかねないな)

 
「なるほど、ジャイアントたちの扱いはかなりひどいと......」

「はい、満足に食や衣服も与えられず、しいたげられているようす」

 ギンチヨは偵察してきた情報を話した。

「それなのに従っているのですか? ジャイアントの力ならば反抗も可能でしょう」

 バルスーンは首をかしげる。

「ヴァンパイアのような操作の魔法なのかも知れませんね」

 そうギンチヨがいう。

「ありえるな...... それなら前のように魔法の宝石を壊せばジャイアントたちに自由を与えられるか」

「でもそんなもの、どこにあるのよ」

「猜疑心が強いものなら、自分でもつか、近くにおくはずだ。 やつがどこにいるか調べられるか」

「やってみましょう」

 ギンチヨが足早に向かった。


 ギンチヨがヒュブリムの城があることを調べてきた。 ぼくたちは城へと移動した。 目の前に巨大な石がつまれてできた城がある。 そこには巨大な人がこん棒をもち何人もたっている。

「城か...... あれがジャイアント、でかいな。 なんメートルあるんだ」

「ですが、この城はジャイアントたちに守らせるためか。 通常より大きく、充分隠れられる場所はありそうですね」
 
「バルスーンがいうようにでかいから簡単に侵入できそうだ」

「ハリファさま、私もそう思ったのですが、城の至るところから魔力を感じます。 どうやら魔法で罠をはっているようですね」

「なるほど、それだけ警戒しているのか。 ギンチヨ、闇の魔法で城内を暗くできないのか。 いまのギンチヨなら闇の中を移動できるだろう」

「可能ですが、使えばこちらの存在を知られることになります」

「シンゴが見つかれば人間たちとの戦争になるかもしれないわよ」

「......なんとか、ジャイアントの操作をとければいいが、その魔法道具をみつけないとたとえヒュブリムを倒せても、そのあとどうなるかわからないな」

「それはやはりヒュブリムがもっているのでは?」

 バルスーンがそういう。

「近くにはあるだろうが、そんな重要なものを持っていたら奪われことも警戒しているはず、部屋に隠しているのか...... とにかく城にはいって調べる時間が必要だな。 しかし戦いながら調べるのは難しい」

「それならひとつ考えがあるわ」

 そうハリファが提案した。

「......いやそんなことをしたら、ステイシアさんに知られたらどう説明するんだ」

「そんなことをいっていたら、なにもできないわよ」

「......しかたない。 だが失敗はできないな。 ギンチヨたのむ」

「はい」

 ギンチヨの魔法で城を暗闇で閉ざした。
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