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第五十四話
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「それにしても、あなたがあの謎の国の王だったなんてね」
そうフィアナ王女はいう。 ぼくは会談おわりに王女の部屋に招かれた。 そばにはアスンハルトさんがいる。
「すみませんアスンハルトさん、フィアナ王女隠していて」
「かまわないわ。 この関係性がなければ警戒されるものね。 王として当然だわ」
「それにしても人間、魔人など多くの国々と同盟とは...... 大丈夫なのか。 裏切りを生むのではないか」
そうアスンハルトさんは眉をひそめる。
「ええ、しかし理由はどうあれ我々は手を結び戦うしかない。 でなければいずれ魔人も亜人も人間もヴァナークに滅ぼされるかもしれない」
「本当にそうだろうか。 人間も亜人も魔人も信頼があるわけではない。 下手に協力を結べば、その技術や魔法など共有してしまう。 それは危険ではないか。 やはりここはシンゴの名前で王に取り下げを求めては......」
アスンハルトさんはそう厳しい顔で力説した。
「アスンハルトさんは反対なのですね」
「ああ、正直、他の国は信用できない。 人間の国だろうと、神聖公国ですらああだっただろう」
「............」
ぼくの剣がアスンハルトの顔を切り裂く。
「ぐっ...... シンゴ、なにを」
「下手なうそはよせアスンハルト。 あなたは何者だ」
そういうとアスンハルトは顔をおおった手をおろした。
そこには骸骨がある。
「やはり、人じゃないのか」
「......いつから気づいていた」
「この城に魔人の手の者がいるのはしっていた。 そしてフィアナ王女がさらわれたとき、あったことはないはずのハリファが魔人であることをバルティンはしっていた。 あのときハリファをみたのはあなただけだ」
「なるほど、ザガルディスが力を授けただけのことはあるな......」
「一体ヴァナークはなにをしようとしている!」
「くくくっ...... それを本人にきくか」
「なっ!」
そのとき、窓ガラスがわれゾンクールが現れると、王女をとらえる。
「ヴァナークさま......」
「ああ」
アスンハルトーーヴァナークはそのまま浮いた。
「革命《レボリューション》捻槍《トルネードランス》」
それをゾンクールが腕を振るうと弾かれた。 ゾンクールの腕はむき出しの骨になっている。
「まさか弾かれた! こいつも死者か!!」
「一度ひくぞ」
「はっ......」
「させるか革命《レボリューション》!」
「死霊よ。 サモンレイス」
その場に無数の半透明の人影があらわれた。 それはゆらゆらとぼくから魔力を奪う。
「なんだこいつは!? くっ、魔力を吸うのか!」
魔食剣《マジックイーター》で切りつける。 とけるようにその白い影が消えていく。 その間に二人はそのまま窓から逃げる。
「シンゴさま!」
王たちも異変をききつけて部屋にはいってきた。 アスンハルトはフィアナ王女をつれさっていった。
「フィアナ......」
王は唖然としている。
「まさかアスンハルトがヴァナークだとは......」
「すみません。 そばにいながら......」
「いや、まさか五大魔王が自ら動いているなんて誰も思わなかった。 我々もな。 しかし..... フィアナをさらうとは、理由は」
「ええ、魔法のことでしょう」
「ふむあのことか...... だがいまだ使えぬはず」
「王!」
あわただしく兵士が王の間にやってきた。
「なんだ」
「各国が攻められており援軍の要請があります!」
「なに!? 各国!! 敵はモンスター、魔人か!!」
「はい、それが...... アンデッドとのこと。 領土内の墓地などから出現している模様」
「アンデッド...... やはり、戦争を起こそうとしたのは、尖兵となる死者を増やすつもりだったのか」
「そうか。 ヴァナークはアンデッドを使い各国を攻めている。 しかも自分たちの領土内から、しかし援軍といってもどこから手をつけるべきか......」
サシエラ王は苦悶の表情だ。
「ぼくたちが各地に赴きます。 その算段を!」
「......わかった。 各国には我らが話を通す」
ぼくはハイドラ、ザイルディードに話を伝え、援軍を組織して向かわせた。
「すみません、ルテイシアさん、ラルギス王」
ぼくは二人にあやまる。 ルテイシアさんとラルギス王に事情をはなす。
「かまわぬ。 まさかヴァナークが死者を操るとはな。 国などいらぬはずだ。 死者などどこにでもいる」
「我らも人間たちをまもるため兵を向かわせる。 どうせ人間がすめば我らにも兵を向けてくるのはきまっている」
「ええ、ぼくたちも分散して各地に向かわせました」
「それどどうするつもりだ? アンデッドは殺せぬ。 打ち砕いてもすぐにもとに戻るぞ」
「ぼくたちはワグナの武器があります。 あの宝珠をもちいた武器ならばアンデッドにダメージを与えられるでしょう。 そうバルティカンにもつたえています。 ドワーフ王は各国に武器を融通するといっていました」
「そうか、それでも相手は不死ゆえいつまでもはもたぬ」
「ああ、やはりヴァナークを討たねばならないな。 シンゴなにか策はあるか」
「ええ、これだけ大規模な魔法にはなにか膨大な魔力を使う必要があります。 そんな場所は限られている」
「それは...... まさか」
「ギンチヨからききました。 ぼくたちはそこにむかいます」
二人にそう告げてぼくたちは行動を開始した。
そうフィアナ王女はいう。 ぼくは会談おわりに王女の部屋に招かれた。 そばにはアスンハルトさんがいる。
「すみませんアスンハルトさん、フィアナ王女隠していて」
「かまわないわ。 この関係性がなければ警戒されるものね。 王として当然だわ」
「それにしても人間、魔人など多くの国々と同盟とは...... 大丈夫なのか。 裏切りを生むのではないか」
そうアスンハルトさんは眉をひそめる。
「ええ、しかし理由はどうあれ我々は手を結び戦うしかない。 でなければいずれ魔人も亜人も人間もヴァナークに滅ぼされるかもしれない」
「本当にそうだろうか。 人間も亜人も魔人も信頼があるわけではない。 下手に協力を結べば、その技術や魔法など共有してしまう。 それは危険ではないか。 やはりここはシンゴの名前で王に取り下げを求めては......」
アスンハルトさんはそう厳しい顔で力説した。
「アスンハルトさんは反対なのですね」
「ああ、正直、他の国は信用できない。 人間の国だろうと、神聖公国ですらああだっただろう」
「............」
ぼくの剣がアスンハルトの顔を切り裂く。
「ぐっ...... シンゴ、なにを」
「下手なうそはよせアスンハルト。 あなたは何者だ」
そういうとアスンハルトは顔をおおった手をおろした。
そこには骸骨がある。
「やはり、人じゃないのか」
「......いつから気づいていた」
「この城に魔人の手の者がいるのはしっていた。 そしてフィアナ王女がさらわれたとき、あったことはないはずのハリファが魔人であることをバルティンはしっていた。 あのときハリファをみたのはあなただけだ」
「なるほど、ザガルディスが力を授けただけのことはあるな......」
「一体ヴァナークはなにをしようとしている!」
「くくくっ...... それを本人にきくか」
「なっ!」
そのとき、窓ガラスがわれゾンクールが現れると、王女をとらえる。
「ヴァナークさま......」
「ああ」
アスンハルトーーヴァナークはそのまま浮いた。
「革命《レボリューション》捻槍《トルネードランス》」
それをゾンクールが腕を振るうと弾かれた。 ゾンクールの腕はむき出しの骨になっている。
「まさか弾かれた! こいつも死者か!!」
「一度ひくぞ」
「はっ......」
「させるか革命《レボリューション》!」
「死霊よ。 サモンレイス」
その場に無数の半透明の人影があらわれた。 それはゆらゆらとぼくから魔力を奪う。
「なんだこいつは!? くっ、魔力を吸うのか!」
魔食剣《マジックイーター》で切りつける。 とけるようにその白い影が消えていく。 その間に二人はそのまま窓から逃げる。
「シンゴさま!」
王たちも異変をききつけて部屋にはいってきた。 アスンハルトはフィアナ王女をつれさっていった。
「フィアナ......」
王は唖然としている。
「まさかアスンハルトがヴァナークだとは......」
「すみません。 そばにいながら......」
「いや、まさか五大魔王が自ら動いているなんて誰も思わなかった。 我々もな。 しかし..... フィアナをさらうとは、理由は」
「ええ、魔法のことでしょう」
「ふむあのことか...... だがいまだ使えぬはず」
「王!」
あわただしく兵士が王の間にやってきた。
「なんだ」
「各国が攻められており援軍の要請があります!」
「なに!? 各国!! 敵はモンスター、魔人か!!」
「はい、それが...... アンデッドとのこと。 領土内の墓地などから出現している模様」
「アンデッド...... やはり、戦争を起こそうとしたのは、尖兵となる死者を増やすつもりだったのか」
「そうか。 ヴァナークはアンデッドを使い各国を攻めている。 しかも自分たちの領土内から、しかし援軍といってもどこから手をつけるべきか......」
サシエラ王は苦悶の表情だ。
「ぼくたちが各地に赴きます。 その算段を!」
「......わかった。 各国には我らが話を通す」
ぼくはハイドラ、ザイルディードに話を伝え、援軍を組織して向かわせた。
「すみません、ルテイシアさん、ラルギス王」
ぼくは二人にあやまる。 ルテイシアさんとラルギス王に事情をはなす。
「かまわぬ。 まさかヴァナークが死者を操るとはな。 国などいらぬはずだ。 死者などどこにでもいる」
「我らも人間たちをまもるため兵を向かわせる。 どうせ人間がすめば我らにも兵を向けてくるのはきまっている」
「ええ、ぼくたちも分散して各地に向かわせました」
「それどどうするつもりだ? アンデッドは殺せぬ。 打ち砕いてもすぐにもとに戻るぞ」
「ぼくたちはワグナの武器があります。 あの宝珠をもちいた武器ならばアンデッドにダメージを与えられるでしょう。 そうバルティカンにもつたえています。 ドワーフ王は各国に武器を融通するといっていました」
「そうか、それでも相手は不死ゆえいつまでもはもたぬ」
「ああ、やはりヴァナークを討たねばならないな。 シンゴなにか策はあるか」
「ええ、これだけ大規模な魔法にはなにか膨大な魔力を使う必要があります。 そんな場所は限られている」
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