オルタナティブバース

曇天

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第二十七話

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「ヒャハハハハ」

 少年の楽しそうな声が響く。

(姿を消した。 エミリと同じようなスキル!! もうやるしかない......)

「うっ!」

 その瞬間、テラリスが腕を斬られ倒れた。

「テラリス!」

「大丈夫! 死んでない! サナは相手を探して!」

「ただのNPC《ノンプレイヤーキャラクター》だろ? 何感情移入してんの? ただのプログラムだよ」

「ふざけんな!!!」

 ザシュッ

 ヤマトが剣を振るうと声がやんだ。

「痛いな...... 殺すぞ。 デスサイズ」

 そう低い声がすると、大きな鎌がヤマトを横に切り裂いた。 

「ヤマト!!!」

「ヒャハハハハ! 死んだ! リアルで死んだ!!」

「フローズンビー! フレイムバタフライ! ファイアランス!!」

 虫たちの氷や炎、アイの炎の槍が声の方向に飛んではぜた。

「そんな低レベル魔法やザコモンスターの攻撃、効くわけないだろ......」

「うおおおおお!!」

 おれはドレインソードを湛剛の鞘《チャージスキャバード》から抜き、そのはぜた部分を切り裂いた。

「ぎゃああああ!!」

 宙を腕がとび、のたうち回る少年の姿が現れた。

「いたい!! いたい!! いたい!」

 おれたちはすぐテラリスに駆け寄る。

「大丈夫、生きているわ...... でもヤマトが......」

「ここだ......」

 よたよたとヤマトは歩いてくる。

「なんで斬られたはず!」

「俺のEX《エクストラ》スキルは分身を作る【双身】《ダブルボディ》。 とはいえ、このダメージで消えちまって、体にダメージがやってきた......」

 そう座り込む。

「すぐに回復しよう!」

「お前たち......」

 振りかえると少年は肩を押さえながら、恍惚に満ちた目を向けている。

「ふ、ふふっ...... か、必ず殺してあげるよ。 俺はエイジ、覚えておきなよ......」

 そういうと姿を消した。

「転送石...... ね」

「厄介なやつに目をつけられた。 ここで倒しておくべきだったんだけど......」

 おれがいうと、アイは首をふる。

「......無理よ。 本当に人が死ぬかもっていうとき簡単には決められないもの。 むしろさっきよく斬れたわ。 無理だと思ってたから」

「ヤマトが斬られてかっとなったんだ。 殺さずにすんでホッとしているよ」

 おれたちはすぐに体船に戻ると、近くの町を探した。

「助かったよ」
 
 テラリスはベッドから起き上がる。 おれたちは近くの港町の宿屋へとやってきていた。

「しかし、あんな化け物がいるなんて......」

 テラリスが肩を落とした。

「ああ、レベル50...... 多分、一期、二期のテストプレイヤーなんだろう。 でもPK《プレイヤーキル》にはリスクもあるだろ?」

 おれが聞くと、アイはうなづいて答えた。

「ええ、NPC《ノンプレイヤーキャラクター》やプレイヤーのPKは名声を減らすし、賞金がかかるよ。 しかも倒されるとアイテムを奪われる。 ほら」

 ヤマトがエイジが落としていった剣を振り回している。

「こいつ、【アサシンエッジ】つって、MP使用で刃が見えないようにできるんだってよ」

 そういって剣を消して見せた。

「あとはNPC《ノンプレイヤーキャラクター》からも取引や会話してもらえないから、デメリットが多い」

「それならなんでそんなことやるんだ」

「相手のアイテムを奪えるし、何より快感なんでしょうね。 相手より強いっていうことを誇示できる」

「ただそれだけのためか......」
 
「そう、ただそれだけのために、巨額の課金をしたりチートしてでもゲームに勝とうとする人たちはいるからね......」

「確かに現実はそうだからな」

 ヤマトはうなづいている。

 そう考えると、なにかむなしさを感じた。


 おれたちは宿をでてあるいていた。

「奴らは古代の秘宝を探していた」

「多分シナリオを見つけられないから、プレイヤー狙いなんだろうね」

「どうする? 西の大陸に多分奴らがいる...... 見つかったら今度は本気で殺しに来るぞ。 あの強さはトッププレイヤーだろうけど、ギルドなら複数のあいつレベルのやつがいるかもな」

 ヤマトがそういうとみんなうなづく。 

「......戦闘技術はそう簡単にえられない。 なら強力な武具の入手、強化、ステータス分、威力や速さがあがるから、単純にレベルアップして鍛えるしかないか」

「あとは仲間ね」

「仲間なら、前衛はいるから、補助か回復、魔法を使えるタイプだな」

「魔法を使う者か...... 一人知っているが......」 
 
 テラリスはいいよどんだ。

「誰?」

「ルーテシアに天才魔法使いが移り住んできたときいた。 しかし他者を信じず隠遁ぐらししている。 変わり者だ」

「さきにその人に会いに行こう。 教えてくれ」

「ああ、わかった」

 そのとき、『レアシナリオ【天才現る】推奨レベル30』と表示がでた。

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