55 / 60
第五十五話
しおりを挟む
とりあえずアイとヤマトとで話をする。
「廃鬼人《ディスコードオーガ》が天空船を手にいれたのね......」
アイが不安げにそういう。
「追いかけるしかないな......」
「なあ、このままやつらに仮世の王を倒させた方がいいんじゃないか」
ヤマトが提案してきた。
「ダメだ。 あいつらの狙いはこの世界の永続、仮世の王を倒したからすぐクリアになるとは限らない。 先に倒してなにかをするつもりらしい」
「倒せば、運営に連絡がいくんじゃないのか」
「最初はそう思ってた。 でもシナリオを進めても、連絡が取れない。 アイのいうとおりこのゲーム世界の時間が現実と違うなら、仮世の王を倒しても運営と連絡がつかないかもしれない。 それをあいつらもしってるはず、なのに天樹を目指している」
「なにかしってるってことか?」
テラリスがいうと、リンキュルがうなづく。
「多分、遺跡か文献か、どこかで仮世の王の情報を手にいれたんだろう」
「ならやはりいくしかないな」
みんなはうなづき、おれたちは天樹へと向かう。
「ここが城で行ける最高地点か」
天樹の根のそこは地上が見えないくらいの高度だった。 おれ、アイ、ヤマト、テラリス、リンキュル、エレナ、ラクセス団長で先へと進む。
「息はできるし、寒くもない......」
「城は大丈夫かな。 プレイヤーに襲われないか」
「ヤマト、その心配はない。 団員たちとクワイアに任せている。 それにあれをみろ」
ラクセス団長が指差す方をみると、遠く別の根に小さな飛行船がある。 奥の根の方にも一隻みえた。
「二組、【聖騎士団】《ホーリーナイツ》と廃鬼人《ディスコードオーガ》か」
「先にいかれたな。 だが船の大きさから数は少ない。 聖騎士団側のプレイヤーと挟めば何とか倒せるか」
テラリスがそういった。
「リンキュル、仮世の王にあえばいいのか」
「......ああ、そうだ。 仮世の王は願いを阻止するという話があるが、あえば願いを叶えられるはず」
「願いを叶えるとはどういうこと?」
「......わからない。 ただ、プレイヤーがその場所に行けばわかるはずだ」
アイの問いかけにそう沈んだようにリンキュルは答えた。
(リンキュルは何か知っているのか...... だが今、きいても無理そうだな)
おれたちは根をすすむ。
「くっ! かなり強いな!」
根には協力なモンスターが無数にいた。
「ええ、レベル60オーバー、私たちが何とか50ってところだからね」
「それでも、このメンバーなら何とかすすめるな」
ヤマトがアイにそういった。
「ああ、装備もかなり強いからだ」
「少し上がったら休憩しよう」
テラリスとラクセス団長がいい、しばらくすすみ、広い場所にテントを張る。
「ここから更にプレイヤーとも戦うのか」
テラリスは不安げにいう。
「まあ、向こうの数はせいぜい5人程度だ。 選りすぐりの精鋭といったところだろう」
ヤマトがいうと、リンキュルはうなづく。
「やはり、城で待機しているものたち、戦えるもの全員も参加した方がよくないか。 いまなら呼びにかえれる。 数でなら圧倒できる」
「だめよ。 そんなことをしてら死ぬ人が続出するわ。 ここのモンスターでさえ何人も死ぬことになる」
アイが反対した。
「どうせ...... いや、そうだな」
リンキュルが小さくつぶやく。
「まあ、おれたちと聖騎士団《ホーリーナイツ》とでなら、廃鬼人《ディスコードオーガ》は倒せる...... おれは外をみてくるよ」
(戦力なら十分なはず...... でも)
空がかげるのをみながら、おれは不安に襲われていた。
「どうしたのサナ......」
アイが近づいてきた。
「いや、なんで?」
「不安そうな顔をしているから......」
「......ああ、まあ正直不安はあるよ」
おれは正直に話した。 隠してもばれると思ったからだ。
「まさか、ゲームでここまで大変なことになるなんて。 所詮暇潰しだったのに」
「......そうだね。 サナはそれでこのゲームを......」
「まあ、そうだね。 特にやることもなかった。 本当に平々凡々の生活。 ある意味今が一番充実してるとさえおもうよ」
「そう。 なら帰りたくなくなってきたんじゃないの」
「どうだろ? アイは」
「私も、少し帰りたくないかも......」
意外な告白におれは驚いた。
「どうして?」
「私ね...... 実は家で療養してるの」
「療養...... その話聞いてもいいの?」
「ええ...... きいてほしい」
アイはゆっくり語りだした。
「私、中学の学校帰り交通事故に遭ってね。 体が不自由になったんだ。 それでこのゲームを始めたの。 どうしても昔みたいに動きたくて......」
「それでこのゲームに......」
「それにMT《マインドトランスファー》技術で少しよくならないかなって...... 現実に帰ったらまた同じ動かない景色にもどるけどね」
そう悲しそうに笑った。
(そうか、それでMT《マインドトランスファー》技術に詳しかったのか)
「それじゃ...... 帰るのを阻止したい?」
「............」
アイに問いかけるとしばらく黙ってから口を開いた。
「......確かにここは自由に動き回れる...... ただ誰かの自由を奪ってまで自分が自由になろうとは思わないよ。 不自由のつらさは私が一番よくしってるからね」
そう少し沈黙したあと、微笑んで答えた。
「......そうか」
「うん」
くれゆく日をみながらおれたちはそう話した。
「廃鬼人《ディスコードオーガ》が天空船を手にいれたのね......」
アイが不安げにそういう。
「追いかけるしかないな......」
「なあ、このままやつらに仮世の王を倒させた方がいいんじゃないか」
ヤマトが提案してきた。
「ダメだ。 あいつらの狙いはこの世界の永続、仮世の王を倒したからすぐクリアになるとは限らない。 先に倒してなにかをするつもりらしい」
「倒せば、運営に連絡がいくんじゃないのか」
「最初はそう思ってた。 でもシナリオを進めても、連絡が取れない。 アイのいうとおりこのゲーム世界の時間が現実と違うなら、仮世の王を倒しても運営と連絡がつかないかもしれない。 それをあいつらもしってるはず、なのに天樹を目指している」
「なにかしってるってことか?」
テラリスがいうと、リンキュルがうなづく。
「多分、遺跡か文献か、どこかで仮世の王の情報を手にいれたんだろう」
「ならやはりいくしかないな」
みんなはうなづき、おれたちは天樹へと向かう。
「ここが城で行ける最高地点か」
天樹の根のそこは地上が見えないくらいの高度だった。 おれ、アイ、ヤマト、テラリス、リンキュル、エレナ、ラクセス団長で先へと進む。
「息はできるし、寒くもない......」
「城は大丈夫かな。 プレイヤーに襲われないか」
「ヤマト、その心配はない。 団員たちとクワイアに任せている。 それにあれをみろ」
ラクセス団長が指差す方をみると、遠く別の根に小さな飛行船がある。 奥の根の方にも一隻みえた。
「二組、【聖騎士団】《ホーリーナイツ》と廃鬼人《ディスコードオーガ》か」
「先にいかれたな。 だが船の大きさから数は少ない。 聖騎士団側のプレイヤーと挟めば何とか倒せるか」
テラリスがそういった。
「リンキュル、仮世の王にあえばいいのか」
「......ああ、そうだ。 仮世の王は願いを阻止するという話があるが、あえば願いを叶えられるはず」
「願いを叶えるとはどういうこと?」
「......わからない。 ただ、プレイヤーがその場所に行けばわかるはずだ」
アイの問いかけにそう沈んだようにリンキュルは答えた。
(リンキュルは何か知っているのか...... だが今、きいても無理そうだな)
おれたちは根をすすむ。
「くっ! かなり強いな!」
根には協力なモンスターが無数にいた。
「ええ、レベル60オーバー、私たちが何とか50ってところだからね」
「それでも、このメンバーなら何とかすすめるな」
ヤマトがアイにそういった。
「ああ、装備もかなり強いからだ」
「少し上がったら休憩しよう」
テラリスとラクセス団長がいい、しばらくすすみ、広い場所にテントを張る。
「ここから更にプレイヤーとも戦うのか」
テラリスは不安げにいう。
「まあ、向こうの数はせいぜい5人程度だ。 選りすぐりの精鋭といったところだろう」
ヤマトがいうと、リンキュルはうなづく。
「やはり、城で待機しているものたち、戦えるもの全員も参加した方がよくないか。 いまなら呼びにかえれる。 数でなら圧倒できる」
「だめよ。 そんなことをしてら死ぬ人が続出するわ。 ここのモンスターでさえ何人も死ぬことになる」
アイが反対した。
「どうせ...... いや、そうだな」
リンキュルが小さくつぶやく。
「まあ、おれたちと聖騎士団《ホーリーナイツ》とでなら、廃鬼人《ディスコードオーガ》は倒せる...... おれは外をみてくるよ」
(戦力なら十分なはず...... でも)
空がかげるのをみながら、おれは不安に襲われていた。
「どうしたのサナ......」
アイが近づいてきた。
「いや、なんで?」
「不安そうな顔をしているから......」
「......ああ、まあ正直不安はあるよ」
おれは正直に話した。 隠してもばれると思ったからだ。
「まさか、ゲームでここまで大変なことになるなんて。 所詮暇潰しだったのに」
「......そうだね。 サナはそれでこのゲームを......」
「まあ、そうだね。 特にやることもなかった。 本当に平々凡々の生活。 ある意味今が一番充実してるとさえおもうよ」
「そう。 なら帰りたくなくなってきたんじゃないの」
「どうだろ? アイは」
「私も、少し帰りたくないかも......」
意外な告白におれは驚いた。
「どうして?」
「私ね...... 実は家で療養してるの」
「療養...... その話聞いてもいいの?」
「ええ...... きいてほしい」
アイはゆっくり語りだした。
「私、中学の学校帰り交通事故に遭ってね。 体が不自由になったんだ。 それでこのゲームを始めたの。 どうしても昔みたいに動きたくて......」
「それでこのゲームに......」
「それにMT《マインドトランスファー》技術で少しよくならないかなって...... 現実に帰ったらまた同じ動かない景色にもどるけどね」
そう悲しそうに笑った。
(そうか、それでMT《マインドトランスファー》技術に詳しかったのか)
「それじゃ...... 帰るのを阻止したい?」
「............」
アイに問いかけるとしばらく黙ってから口を開いた。
「......確かにここは自由に動き回れる...... ただ誰かの自由を奪ってまで自分が自由になろうとは思わないよ。 不自由のつらさは私が一番よくしってるからね」
そう少し沈黙したあと、微笑んで答えた。
「......そうか」
「うん」
くれゆく日をみながらおれたちはそう話した。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる