罪咎《ざいきゅう》の転移者 ~私の罪と世界の咎~

曇天

文字の大きさ
37 / 51

第三十七話

しおりを挟む
「ここが城か...... 門がしまってる。 空からはいるか」

 私たちは町奥にある城へときた。 すると門があいて中から抜き身の黒い剣をもつ、黒い全身鎧の男が歩いてくる。

「......あれがザルギードだ。 そしてその後ろにいるのがフォグ」
 
 小声でセリナが教えてくれる。 みると黒い騎士の後ろにメガネの学者風の青年が付き従っている。

「ザルギードは片腕じゃないのか?」

「いや、そんなことはない。 ちゃんと両腕がある」

(ディラルがいってたのは片腕だったはず、勇者じゃなかったのか? ザルギードの心を読むか...... なんだ、この心の中、凄まじい敵意と憎しみ...... モンスター、魔族にたいしてか...... まるでモンスターの心のなかのようだ)

 心が嵐のようにあれくるっていて、あまり詳しく読むことができない。

(その場で暴れまわってもおかしくないはずなのに、かろうじてほとんどない理性でコントロールしている...... フォグは、かなり焦っているようだ)

「......なにかわかったか?」 

 震えながらアエルが聞いてくる。

「......ええ、どうやら外にいるモンスターを倒しにいくみたい」

 ザルギードは城壁までいくと、厚い鉄の扉をあける。 するとモンスターたちが一気に襲いかかる。

 黒い大剣をもつザルギードはモンスターを一瞬で細切れにして視界から消えた。 

(速い! 【遠隔透視】《リモートビューイング》)

 ザルギードは城の外にでると、群がるモンスターたちを紙切れのように、たやすく切り裂いていく。

(すごいな人間の動きじゃない。 心を読んでも避けられるかどうか...... 確かにこれなら魔族たちや軍を倒すのも可能だ)

 数百というモンスターを切り裂くと、ザルギードは何もなかったのように城内へと帰還し、城へと戻っていく。

「私たちもついていこう」

 遠くからザルギードにつき城へと潜り込んだ。

 城にはいるとザルギードは玉座に座り、眠ったように動きが止まった。

(苦痛から逃れるために、眠ったのか...... ここまでしてなぜ古代の遺物に執着している? 心を読みづらいからわからないな)

 そばにいるフォグがザルギードを見ている。

(やはり、かなり弱ってきてるな...... はやく進めたいが)

 そうフォグは考えていた。

(進める...... もう少し近づくか、距離があると心を読みづらい)

「フォグさま!」

 近づこうとしたその時、兵士があわただしく入ってくる。

「どうしました?」

「ついに見つかりました! アオラル遺跡内で宝玉を発見!」

「本当ですか! わかりました! すぐ参ります」

 フォグについて私たちも向かう。 フォグは城からでると馬車にのり離れていった。

「アオラル遺跡は、あの壁の近くだ」

 セリナが西壁の方を指差す。

「よし、そこにいこう」

【浮遊】《レビテーション》で馬車をおう。


「あっ、あそこに馬車が入っていったぞリン」

 アエルが指差す方に石造りの建造物が見えてきた。

「ああ、あれがアオラル遺跡だ」

 セリナがそういった。

「降りよう」

 私たちは地上に降り遺跡へと近づく。 そこには大勢の人たちが集まり、荷台にのせたなにかを運んでいる。 それは人より巨大な青い球体だった。

「あれが...... 宝玉か」

「あそこにフォグがいる」

 アエルがそういった方をみると、群衆の中にフォグがいた。

(よし、近づくか)

 フォグに近づき心を読む。

(これが【操魔珠】か、魔族のコントロールを可能にするはず...... 解析にはかなりかかる。 はやくすすめないと)

 そうフォグは考えている。

(魔族のコントロール...... どういうこと......)

「どうだ? 何かわかったか......」

 アエルがそういう。

「いいや...... 今すぐ何かあるわけではなさそう」

(魔族との戦いを止められるなら、あれは壊すのはやめておくか...... 解析とやらが進むまでおいておこう。 まずはザルギードを調べるか)

【瞬間移動】《テレポート》で城へと戻った。

「セリナ、ザルギードはもともとこうだったの?」

「いいや、私がまだ騎士見習いだったときは、この地に駐留していた騎士団長の一人でとても優しく明るい方だった。 それが勇者に選ばれてから、おかしくなられ、魔族との戦争で今のようになられた」

「勇者にはどうやって選ばれたんだ?」

 アエルが聞いた。

「聖教会には勇者と認められたものが抜くことが許された剣【聖剣】があるだろ?」

「......知ってはいるけど私たちは宗教には疎くて...... 聖教会のこと、詳しく話してくれない」

 そうごまかしてセリナに聞く。

「まあ、モンスターが多すぎて信仰がないものも多くなっているからな...... 唯一神をまつる国なみの力をもつ勢力だ。 北のヘルベニア山脈に本部がある。 そこに聖剣があり勇者を選定するという」

(勇者は選ばれるのか。 後で調べよう...... それよりまずザルギードのことだ。 心が読みづらい、何か他に調べられないかな)

「セリナ、ザルギードの部屋はどこにあるの?」

「三階の奥だとおもう。 変わっていなければだが」

 私たちは三階にあがり部屋にはいる。

 中はがらんとしている。 ほこりこそないがベッドがシーツなどもなく空いていて、しばらく使われた形跡はない。

「衛兵がいないからおかしいとは思ったが...... かなり使われてない」

「おそらく掃除だけしているのだろうな」

 アエルがそういった。 

「そもそも、兵士の数も限られている。 ザルギードに護衛はいらないから、ほとんどはモンスターの迎撃と人々の発掘の監視ぐらいしかいない......」

 セリナが悲しそうにいった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

王女様は聖女様?おてんば姫の大冒険~ペットのドラゴンが迷子なので冒険者になって探しに行きます!~

しましまにゃんこ
ファンタジー
アリシア王国の第3王女ティアラ姫には誰にも言えない秘密があった。 それは自分が全属性の魔力を持ち、最強のチート能力を持っていた「建国の賢者アリシア」の生まれ変わりであること! 8才の誕生日を境に前世の記憶を取り戻したものの、500年後に転生したことを知って慌てる。なぜなら死の直前、パートナーのドラゴンに必ず生まれ変わって会いにいくと約束したから。 どこにいてもきっとわかる!と豪語したものの、肝心のドラゴンの気配を感じることができない。全属性の魔力は受け継いだものの、かつての力に比べて圧倒的に弱くなっていたのだ! 「500年……長い。いや、でも、ドラゴンだし。きっと生きてる、よね?待ってて。約束通りきっと会いにいくから!」  かつての力を取り戻しつつ、チートな魔法で大活躍!愛する家族と優しい婚約者候補、可愛い獣人たちに囲まれた穏やかで平和な日々。 しかし、かつての母国が各国に向けて宣戦布告したことにより、少しずつ世界の平和が脅かされていく。 「今度こそ、私が世界を救って見せる!」 失われたドラゴンと世界の破滅を防ぐため、ティアラ姫の冒険の旅が今、始まる!   剣と魔法が織りなすファンタジーの世界で、アリシア王国第3王女として生まれ変わったかつての賢者が巻き起こす、愛と成長と冒険の物語です。 イケメン王子たちとの甘い恋の行方もお見逃しなく。 小説家になろう、カクヨムさま他サイトでも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

処理中です...