来る気がなかった俺の異世界冒険記 ~転生させた女神が承認欲求モンスターだった~

曇天

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第十一話

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「ウェ~イ、ウェ~イ!!!」

 ティティはパリピみたいに奇声を発しながら、よたよたとついてくる。

「あれだけ真剣に話すから真面目にとりくむのかとおもったら......」

「なんか気ぃついたら、地面に生えてる紫のキノコをむさぼるようにたべてたわ。 そしたらああなった」

「ラララ、ファラウェ~イ!!!」

「うるせえな。 こんな洞窟のヤバそうなキノコなんか普通食うか?」

「なんか高揚してるみたいやな。 毒かもしれんけど、毒消し食わせてもはきだしよる」

「私は~ 平気れす~ いつもと同じれ~す~」

「まだ意識があるから迷惑だな。 まあこいつが壊れてるのはいつものことだから、このままでもいいか」

「そやな」

 俺たちは気にせずに先に進むことにした。

「ニュ~ウェ~~イ!!!」


「それでダンジョンはただ宝を探すだけなのか?」

「いや、ダンジョンにはボスとなる【ハイモンスター】がおる。 そいつを倒すんが踏破や」

「全部にいるのか?」

「だいたいやな。 ダンジョンは魔力が集まる場所。 そのなかで最も強いものがハイモンスターとなるんや」

「ほぅ、なるほど、それを倒せば踏破か」

「そうや。 そしてダンジョン踏破者は名声がとどろかすことができるし、報奨金も多い。  せやから皆名を挙げるために探索するんや。 まあお宝目当てもおるけどな」

「よし、さっさとハイモンスターを倒して名声をあげるか。 俺が帰るにはあいつの信仰心を高めないと......」

「ウェイウェイウェ~~イ」

 ティティが酔っ払ったように踊っている。

「あれの信仰心を増やすんか......」

「ふむ...... 無理だな」

 俺たちは自分たちでやることに決めた。


「それでここのハイモンスターはなんなんや?」

「受付嬢の話では大きなトカゲらしい」

「ラージリザードか...... まあ鉄なみの皮膚やけど、ウチならまっぷたつや。 楽勝やな!」

 リヴァがずんずんと歩いていく。

「おい、ティティいくぞ!」

「ふぁ~い」

 俺たちは洞窟内のモンスターを倒しながら、奥へと進む。 所々にあった宝箱の中身は空だった。

「宝箱はからっぽだな......」

「ああ、先のやつにとられたんやろ。 ここはそこまで強いモンスターもおらんからな」

(それなのにハイモンスターは倒されてないのか...... それにしても)

「ぱっぱらりー」

 踊るティティの姿が視界に入りあわれに思う。

 奥に進むと石像がたくさんあった。

「それにしても石像が多い。 しかもめちゃくちゃリアルだな」

「おい! レージなにかいるぞ!」

 薄暗い奥からのそのそと、でかいなにかが這ってくる。

「わたひがいきまーふ!」

 そうティティがヨタヨタと勝手にむかっていった。

「おい! やめろ!」

 でかいトカゲが現れると口からなにか吐き出した。 ティティがもろにかぶった。

「うえっぷ」

「おいみろやレージ!!」

 ティティの体が石になっていく。

「なんだ!? 石!」

「最悪や! あれは【バジリスク】や! 石化させてくる!」

「うそだろ!! どうやって倒すんだ!」

「無理や! ちかづいたら石にされる! 遠距離から攻撃するしかない! せやけどウチらには魔法も弓もない!」

(くそっ! ティティが石になった、どうする!?)

「ここは......」

「ああ...... にげるで!!」

 リヴァは逃げ出した。

「おい! ティティはどうする?」

「もうええんちゃう! どうせウチらが石にされたら終わりや! 尊い犠牲や!」

 そういってリヴァは走り去った。 バジリスクがこちらに迫る。

(くそっ! 俺も正直、置いておきたいが、生き返るにはあいつが必要だ。 剣を投げても正確にはあてられん。 いや......)

「やってみるか...... ヴァリアブル【投げる】!」

 俺は剣を投げた。 それは直進してバジリスクの頭にささる。

「ギィオオオオ!!」

 バジリスクはのたうっている。

「当たったが倒しきれなかった! 浅いのか! どうする!」

 視界にティティの石像がみえる。

「ヴァリアブル【走る、持ち上げる】 ぐっ!!」

 重いティティの石像を持ち上げ、バジリスクに刺さった剣めがけて振り下ろす。
 
「女神クラッシュ!!」

 ドシュ!!

 剣は深くバジリスクに刺さり、しばらく痙攣すると動かなくなった。

「ふぅ、なんとか倒したか...... やべっ! 頭の石がちょっと欠けた」


「......まさか、あのダンジョンを踏破するなんて」

 ギルドにかえると受付嬢は驚いている。 俺たちは報償金をもらった。

「おい! またあいつらだぞ! 至高の女神と最強の精霊刀《ディーヴァブレイド》」

「まさかあのバジリスクを倒すなんて!」

「石にされてた奴らも助けたらしいぞ」

 周囲の驚きの声がきこえる。

「ふふっ、こんなに褒め称えられるなんて、もっとだ、もっとほしい!」

 ティティが勝手なことをいいながら、いやな笑みを浮かべている。

(腹はたつが、今日のところはゆるそう......)

「せやけど、あんな化けもんよう倒したな」

「まあな......」

「そういえば、一瞬、もとに戻った私の頭から噴水のように派手に血が出てたような......」

「いや、それにしてもよく石からもとにもどったな! 」

「ええ女神ですからね。 状態異常は時間がたてば回復しますよ。 でも頭がずきずきするんですよね...... 確か頭から血が......」

「まあいいじゃないか! パーティーしよう! パーティー!」

「そうですね! パーティーふうううーー」

「そうやな! パーティーほおおおおーー」

(さすがに石像で殴ったとはいいづらい。 頭もすこしかけたし、まあ頭なんてあまり使ってないからかまやしないよな)

 とはいえさすがに、罪悪感があったので、パーティーをしてティティのご機嫌をとることにした。
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