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第三十五話
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「あっ! 起きました! 大丈夫ですか!」
ティティとリヴァが心配そうにみていた。
「どうなった!」
「大丈夫や! お前は勝ったんや!」
「ちゃんと宝玉を手に入れましたよ!」
そういってティティは黄色の玉を見せた。
「そうか...... それでサクラスは」
「それは預けておきます、といって去っていきました」
「まだあきらめてないみたいやがな。 しばいたろか思うたけど、ギルガとかいうやつがめっちゃにらんできたから、許したったわ」
胸を張ってリヴァがいう。
(ビビッただけだろ)
「......まあ、なんとか守り抜いたか」
リリオンが元気なくうつむいている。
「リリオン...... リグソルは」
「かなりのダメージがあったようですが、サクラスについていきました。 流石ですあのリグソルを倒すなんて」
「いやティティの腕輪がなければ俺は死んでたよ」
俺は黒い空間で起こったことを話した。
「......あのリグソルが、私に......」
しばらくリリオンは黙っていたが、おもむろにこちらをむき頭を下げた。
「私も同行させてください! リグソルを止めたいんです!」
俺は困惑してティティとリヴァをみる。
「いいじゃないですか」
「そやな。 リリオン強いし、サクラスと戦うなら必要やで」
「そうだな。 わかった、一緒にいこう」
「はいっ! ありがとうございます!」
こうしてリリオンは俺たちの仲間となった。
「とりあえず、リリオンをパーティーとしてギルドで登録だな」
「ですね」
俺たちがギルドにむかうと冒険者たちがざわついている。
「おい! あれレージだろ! 武道大会で優勝した!」
(ああ、もうひろまってるのか)
「ええ、前回優勝者のジェラルドを倒したティティもいるわ!」
「あれはリリオンだ! マジックアーツの天才武道家、やつもパーティーにはいったのか!」
「あっ、反則負けしたリヴァもいる。 卑怯ものめ!」
リヴァはブーイングされている。
「なんでウチだけそんな扱いやねん!! 予選は通過しとるやろ! ベスト16やろーが!」
「しかたないだろ。 反則まけしたんだから」
「くぅ!」
カウンターで受付嬢にはなす。
「おめでとうございます! すごいですね! まさか本当に優勝するなんて!」
「ああ、それで新しいメンバーをパーティーに登録したいんだけど」
「あのリリオンさんを! わかりました! ではこちらに」
「はい!!」
リリオンは書類をかいている。
「しかし、周囲のざわつきがすごいな」
「そうやな。 武道会上位者やからな。 それで1000万もある。 どないする? たこ焼き屋リベンジか」
「やめとけ。 もう他の店に勝てない。また全てを失うぞ」
「いやや! あれはもういやや!」
リヴァは頭を抱える。
「......ふふふっ! ついにこのときが来ました! 神殿をたてましょう!」
「神殿...... 誰の?」
「私のに決まってるじゃないですか!! 信仰心がいままでになく集まっているようです! この期を逃せません!」
「また金をどぶにすてるのか」
「なんで失敗するときめつけるんですか! 大丈夫! 今私たちは注目されています! この私たちが神殿をたてれば信者獲得もたやすいはず!」
「やめや! そんな下らんことするなや! お金がもったいないわ!」
「魔王を倒すのがあなたの使命でしょうリヴァ!」
「ぐぬぬ!」
「でも神殿なんて簡単に建てられんのかよ」
「事前に調べていました。 まず宗教法人をつくります。 これには信者と資金、ある程度の大きさの私有地が必要です」
「宗教か...... 苦手だな。 俺無神論者なんだよな」
「ずっと女神《わたし》がそばにいるのに!!?」
ティティがわがままいうのでしかたなく、俺たちは宗教をはじめることにした。
「それで資金はいくらかかる」
「資金は100万ですね」
「100万!? そんなかかるんか! やっぱやめへん!!」
「いいえ、やります。 が宗教はそう易々と作れないのです。 信奉する者が多くないと作れないようになっています」
「まあいい、それでまずは土地だな」
「不動産に向かいましょう」
俺たちは大きな不動産屋にむかう。
「いらっしゃいませ。 土地の賃貸、売買を行っている【ディフレ不動産】です」
「実は土地が欲しいんだ」
「できるだけ広くて安い場所ありませんか?」
「町中だと広ければ高いですね。 町ではなくかなり遠方か危険な場所ならありますけど......」
「危険というのはモンスターがいるとかか」
「はい、そういう場所はやすくなっておりますね」
「それでいいです! できるだけ安くて広いところをお願いします」
「そうですね。 それならこの辺りを」
不動産屋はいくつかの地図を見せて場所を指でさししめす。
「ここは......」
一枚の地図をみてリリオンが眉をひそめる。
「しってるのかリリオン」
「ええ【魔咬の森】、魔力が濃く強いモンスターの多い場所で、近づくものはいません」
「そこにしましょう!」
「ええ!?」
リリオンは驚いている。
「そんな危険な場所にいくつもりですか!」
「ええ、そんな危険な場所だからこそ、目立ちますし、威光もとどろきます」
ティティは胸を張る。
「本当によろしいので...... かなりの数のモンスターが徘徊する場所ですが、お止めになられた方が......」
「かまいません!」
止める店主を尻目にティティは強引に買い取った。
ティティとリヴァが心配そうにみていた。
「どうなった!」
「大丈夫や! お前は勝ったんや!」
「ちゃんと宝玉を手に入れましたよ!」
そういってティティは黄色の玉を見せた。
「そうか...... それでサクラスは」
「それは預けておきます、といって去っていきました」
「まだあきらめてないみたいやがな。 しばいたろか思うたけど、ギルガとかいうやつがめっちゃにらんできたから、許したったわ」
胸を張ってリヴァがいう。
(ビビッただけだろ)
「......まあ、なんとか守り抜いたか」
リリオンが元気なくうつむいている。
「リリオン...... リグソルは」
「かなりのダメージがあったようですが、サクラスについていきました。 流石ですあのリグソルを倒すなんて」
「いやティティの腕輪がなければ俺は死んでたよ」
俺は黒い空間で起こったことを話した。
「......あのリグソルが、私に......」
しばらくリリオンは黙っていたが、おもむろにこちらをむき頭を下げた。
「私も同行させてください! リグソルを止めたいんです!」
俺は困惑してティティとリヴァをみる。
「いいじゃないですか」
「そやな。 リリオン強いし、サクラスと戦うなら必要やで」
「そうだな。 わかった、一緒にいこう」
「はいっ! ありがとうございます!」
こうしてリリオンは俺たちの仲間となった。
「とりあえず、リリオンをパーティーとしてギルドで登録だな」
「ですね」
俺たちがギルドにむかうと冒険者たちがざわついている。
「おい! あれレージだろ! 武道大会で優勝した!」
(ああ、もうひろまってるのか)
「ええ、前回優勝者のジェラルドを倒したティティもいるわ!」
「あれはリリオンだ! マジックアーツの天才武道家、やつもパーティーにはいったのか!」
「あっ、反則負けしたリヴァもいる。 卑怯ものめ!」
リヴァはブーイングされている。
「なんでウチだけそんな扱いやねん!! 予選は通過しとるやろ! ベスト16やろーが!」
「しかたないだろ。 反則まけしたんだから」
「くぅ!」
カウンターで受付嬢にはなす。
「おめでとうございます! すごいですね! まさか本当に優勝するなんて!」
「ああ、それで新しいメンバーをパーティーに登録したいんだけど」
「あのリリオンさんを! わかりました! ではこちらに」
「はい!!」
リリオンは書類をかいている。
「しかし、周囲のざわつきがすごいな」
「そうやな。 武道会上位者やからな。 それで1000万もある。 どないする? たこ焼き屋リベンジか」
「やめとけ。 もう他の店に勝てない。また全てを失うぞ」
「いやや! あれはもういやや!」
リヴァは頭を抱える。
「......ふふふっ! ついにこのときが来ました! 神殿をたてましょう!」
「神殿...... 誰の?」
「私のに決まってるじゃないですか!! 信仰心がいままでになく集まっているようです! この期を逃せません!」
「また金をどぶにすてるのか」
「なんで失敗するときめつけるんですか! 大丈夫! 今私たちは注目されています! この私たちが神殿をたてれば信者獲得もたやすいはず!」
「やめや! そんな下らんことするなや! お金がもったいないわ!」
「魔王を倒すのがあなたの使命でしょうリヴァ!」
「ぐぬぬ!」
「でも神殿なんて簡単に建てられんのかよ」
「事前に調べていました。 まず宗教法人をつくります。 これには信者と資金、ある程度の大きさの私有地が必要です」
「宗教か...... 苦手だな。 俺無神論者なんだよな」
「ずっと女神《わたし》がそばにいるのに!!?」
ティティがわがままいうのでしかたなく、俺たちは宗教をはじめることにした。
「それで資金はいくらかかる」
「資金は100万ですね」
「100万!? そんなかかるんか! やっぱやめへん!!」
「いいえ、やります。 が宗教はそう易々と作れないのです。 信奉する者が多くないと作れないようになっています」
「まあいい、それでまずは土地だな」
「不動産に向かいましょう」
俺たちは大きな不動産屋にむかう。
「いらっしゃいませ。 土地の賃貸、売買を行っている【ディフレ不動産】です」
「実は土地が欲しいんだ」
「できるだけ広くて安い場所ありませんか?」
「町中だと広ければ高いですね。 町ではなくかなり遠方か危険な場所ならありますけど......」
「危険というのはモンスターがいるとかか」
「はい、そういう場所はやすくなっておりますね」
「それでいいです! できるだけ安くて広いところをお願いします」
「そうですね。 それならこの辺りを」
不動産屋はいくつかの地図を見せて場所を指でさししめす。
「ここは......」
一枚の地図をみてリリオンが眉をひそめる。
「しってるのかリリオン」
「ええ【魔咬の森】、魔力が濃く強いモンスターの多い場所で、近づくものはいません」
「そこにしましょう!」
「ええ!?」
リリオンは驚いている。
「そんな危険な場所にいくつもりですか!」
「ええ、そんな危険な場所だからこそ、目立ちますし、威光もとどろきます」
ティティは胸を張る。
「本当によろしいので...... かなりの数のモンスターが徘徊する場所ですが、お止めになられた方が......」
「かまいません!」
止める店主を尻目にティティは強引に買い取った。
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