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第三十六話
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「どうです! この広大な森が全て、私たちのものですよ!」
ティティは満足そうに両手を広げる。
「しかしな......」
「ええ......」
「そうやな......」
その森はうっそうと木々がしげり、太陽の光りも届かず薄暗い、いかにもなにかかでそうな雰囲気だった。
「樹海だろ。 これ」
「こんなところに本当にすむつもりですか」
リリオンも不安そうにそうきいた。
「当然です。 安いとはいえ100万もしました」
「それで申請はすませたのか」
「はい、ただ信者が100名はいるので、今は仮の教団となります」
「同好会みたいなものだな」
「それでどないすんねん? なんもないで」
「ここに神殿を建てます! しかし、大工に話をしましたが、誰も仕事をうけてはくれませんでした......」
「だろうな。 ここにくるまで最低でも10回はモンスターに襲撃されたからな」
「しかも結構強かったです」
「こんな危ないとこ、誰もきてくれへん」
「ですが大丈夫! 私の信仰心は爆あがり中、奇跡を使えるようになりました!」
「なにができるんだ? 野良わんこを呼び寄せるとか?」
「ウチにゃんこのほうがいいわ」
「どれだけ私の奇跡をなめてるんですか! みててください!」
そういうとティティは目を閉じ両手をひろげる。
「我がしもべよ。 大地から生まれいでよ」
そういうと地面がもりあがり土が大きな人のような形になった。
「これは......」
「ゴーレムやな。 土でできた人形や」
「そうです。 【ゴーレムクリエイト】です。 ふぅ......」
そういってティティはへたりこむ。
「これはかなりの魔力を使いますね...... せいぜい一日一体が限度です。 ただ命令をきき働いてくれます」
ゴーレムは動き近くの木を倒し始めた。
「かなりの力だな。 大木を押し倒してる」
「ええ、これで整地して広げていきましょう! 私たちはその間に周辺のモンスターを討伐しましょう!」
俺たちは辺りにいるモンスターを倒して回った。
夕方になるまでモンスターを討伐してかえると、一面木々が倒されて根っこが抜かれていた。
「おお! 大分広げたな」
「やるやんこいつ!」
「すごいですね!」
「ええ、ですがまだ一体なんで整地までは難しいですね。 数を揃えるまでにかなりの日数が要ります」
「じゃあ、一度町にかえるか」
俺たちは整地をゴーレムに任せて一度町に戻った。
「あのゴーレムおいといていいのか?」
「ええ、あれは作ってしまえば周囲の魔力で動くので、ほっといても仕事を続けてくれます」
「お前より有能だな」
「ほんまやな。 こいつぬかしてパーティーにいれようや」
「なんてこというんですか!」
「でもできるだけ、早く建物が必要ですね」
リリオンがいった。
「そやな。 いちいち町まで帰るのは億劫《おっくう》やで」
「まあ、ゴーレムが揃えばなんとかなるでしょう。 その前に信者を集める方法を考えましょう」
「集めるって、教典でもかくのか?」
「そういうものはなかなか読んでもらえないので、歌ですかね」
「歌? 讃美歌みたいなものか?」
「ええ、人に伝えるには書物よりは伝わりやすいかと、一つつくってきたのできいてください」
「わかった。 期待せずきく」
『ともせ! その信念! もやせ!! その信仰!! 燃え盛れ!! その慈愛! 狂おしいほど燃え広がれ!』
(放火魔か)
「ええけど、なんかちょっと足りへんな。 ウチやったら......」
『切れ! その敵を! きりさけ! その悪を! 切り取れ! ありとあらゆるものを切り刻め!!』
(通り魔か)
「た、確かになにか心に来るものがありますね! 私も加えたいです!」
リリオンは目を輝かせていった。
「嘘だろリリオン......」
「この歌を伝えてみましょう!」
「......正気か」
この変な歌をティティたちは町へと広めた。
『ともせ! その信念! きれ! その敵を! もやせ! その勇気! 殴れ、蹴れ、その勇気を胸に!!』
町の子供たちがこの歌をうたっていた。 あの変な歌は流行っていた。
「ま、まさか、こんなのが流行るとは......」
(あの歌がこの世界の人間の感性にあったのか)
「まあ、こんなもんですね!」
「かー ウチらのセンスいうんかな。 どうやってもやっぱ隠しておけへんか?」
「なんかすごいことになってます!」
(ティティとリヴァの二人は完全に調子にのってるな)
「これアイドルとかになれますかも」
「そやな」
「あいどる?」
(またバカなことをいっているな...... まずい!)
「やりましょう! アイドル!」
「そやな! ウチらやったら人気間違いなしや!」
「あいどる??」
「やめろ! 神殿はどうする!!」
「わかっているのですか! アイドルとは偶像! つまり信仰のようなもの! 成功すれば信仰心もあつめられるはず!」
「そやぞ! こんなチャンスない! グッズやなんやでおおもうけや!」
「それで、あいどるってなんですか?」
(しまった! こいつらアホの行動力を忘れてた!!)
こうしてティティたちは見当違いなアイドルへとむかっていった。
ティティは満足そうに両手を広げる。
「しかしな......」
「ええ......」
「そうやな......」
その森はうっそうと木々がしげり、太陽の光りも届かず薄暗い、いかにもなにかかでそうな雰囲気だった。
「樹海だろ。 これ」
「こんなところに本当にすむつもりですか」
リリオンも不安そうにそうきいた。
「当然です。 安いとはいえ100万もしました」
「それで申請はすませたのか」
「はい、ただ信者が100名はいるので、今は仮の教団となります」
「同好会みたいなものだな」
「それでどないすんねん? なんもないで」
「ここに神殿を建てます! しかし、大工に話をしましたが、誰も仕事をうけてはくれませんでした......」
「だろうな。 ここにくるまで最低でも10回はモンスターに襲撃されたからな」
「しかも結構強かったです」
「こんな危ないとこ、誰もきてくれへん」
「ですが大丈夫! 私の信仰心は爆あがり中、奇跡を使えるようになりました!」
「なにができるんだ? 野良わんこを呼び寄せるとか?」
「ウチにゃんこのほうがいいわ」
「どれだけ私の奇跡をなめてるんですか! みててください!」
そういうとティティは目を閉じ両手をひろげる。
「我がしもべよ。 大地から生まれいでよ」
そういうと地面がもりあがり土が大きな人のような形になった。
「これは......」
「ゴーレムやな。 土でできた人形や」
「そうです。 【ゴーレムクリエイト】です。 ふぅ......」
そういってティティはへたりこむ。
「これはかなりの魔力を使いますね...... せいぜい一日一体が限度です。 ただ命令をきき働いてくれます」
ゴーレムは動き近くの木を倒し始めた。
「かなりの力だな。 大木を押し倒してる」
「ええ、これで整地して広げていきましょう! 私たちはその間に周辺のモンスターを討伐しましょう!」
俺たちは辺りにいるモンスターを倒して回った。
夕方になるまでモンスターを討伐してかえると、一面木々が倒されて根っこが抜かれていた。
「おお! 大分広げたな」
「やるやんこいつ!」
「すごいですね!」
「ええ、ですがまだ一体なんで整地までは難しいですね。 数を揃えるまでにかなりの日数が要ります」
「じゃあ、一度町にかえるか」
俺たちは整地をゴーレムに任せて一度町に戻った。
「あのゴーレムおいといていいのか?」
「ええ、あれは作ってしまえば周囲の魔力で動くので、ほっといても仕事を続けてくれます」
「お前より有能だな」
「ほんまやな。 こいつぬかしてパーティーにいれようや」
「なんてこというんですか!」
「でもできるだけ、早く建物が必要ですね」
リリオンがいった。
「そやな。 いちいち町まで帰るのは億劫《おっくう》やで」
「まあ、ゴーレムが揃えばなんとかなるでしょう。 その前に信者を集める方法を考えましょう」
「集めるって、教典でもかくのか?」
「そういうものはなかなか読んでもらえないので、歌ですかね」
「歌? 讃美歌みたいなものか?」
「ええ、人に伝えるには書物よりは伝わりやすいかと、一つつくってきたのできいてください」
「わかった。 期待せずきく」
『ともせ! その信念! もやせ!! その信仰!! 燃え盛れ!! その慈愛! 狂おしいほど燃え広がれ!』
(放火魔か)
「ええけど、なんかちょっと足りへんな。 ウチやったら......」
『切れ! その敵を! きりさけ! その悪を! 切り取れ! ありとあらゆるものを切り刻め!!』
(通り魔か)
「た、確かになにか心に来るものがありますね! 私も加えたいです!」
リリオンは目を輝かせていった。
「嘘だろリリオン......」
「この歌を伝えてみましょう!」
「......正気か」
この変な歌をティティたちは町へと広めた。
『ともせ! その信念! きれ! その敵を! もやせ! その勇気! 殴れ、蹴れ、その勇気を胸に!!』
町の子供たちがこの歌をうたっていた。 あの変な歌は流行っていた。
「ま、まさか、こんなのが流行るとは......」
(あの歌がこの世界の人間の感性にあったのか)
「まあ、こんなもんですね!」
「かー ウチらのセンスいうんかな。 どうやってもやっぱ隠しておけへんか?」
「なんかすごいことになってます!」
(ティティとリヴァの二人は完全に調子にのってるな)
「これアイドルとかになれますかも」
「そやな」
「あいどる?」
(またバカなことをいっているな...... まずい!)
「やりましょう! アイドル!」
「そやな! ウチらやったら人気間違いなしや!」
「あいどる??」
「やめろ! 神殿はどうする!!」
「わかっているのですか! アイドルとは偶像! つまり信仰のようなもの! 成功すれば信仰心もあつめられるはず!」
「そやぞ! こんなチャンスない! グッズやなんやでおおもうけや!」
「それで、あいどるってなんですか?」
(しまった! こいつらアホの行動力を忘れてた!!)
こうしてティティたちは見当違いなアイドルへとむかっていった。
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