来る気がなかった俺の異世界冒険記 ~転生させた女神が承認欲求モンスターだった~

曇天

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第四十三話

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 何とかリッチを倒してギルドに戻ってきた。

「えっ!? これはリッチの魔力!! 遥か昔現れたことがある伝説のモンスターですよ! それを倒した......」

 受付の男性が声をあげた。

「嘘でしょ...... そんなものがいたの。 軍隊が必要なレベルじゃない......」

「......確か昔、いくつかの町を滅ばしたあと、どこかの遺跡に封じられたっていう文献をみたことがあるが......」

「あいつらが倒したのか。でもまだCクラスなのに......」

「あれが噂の至高の女神と最強の精霊刀《ディーヴァブレイド》か!」 

 周囲がざわざわと騒いでいる。

「え、ええと、これが報酬です」

「ありがとう」

 俺たちは宿に戻ると、宿の主人から、ゾームから連絡があったことを教えてもらった。


「きたな」

 ゾームはそう工房にいくと、笑顔で迎えてくれた。 

「もうできたのか」

「ああ、つい寝ずに作ってしまったよ」

 そう笑いながら机を指差した。 そこには刀がおかれていた。

「これが! ウチの刀か!!」

 折れた短剣からリヴァが声をあげた。

「まさかその剣、折れたのか! あの強度が、たった一週間でか!?」

「すまない...... リッチと戦って折れたんだ」

「リッチ!? なにと戦ってんだよ...... よくそんな化け物とであって生きてかえれたな」

 あきれたようにゾームはいう。

「ああなんとかな」

「まあ、それなら剣が折れたのもしかたない。 それよりリヴァ、これは器になるか?」  
 
「ちょっとまっててな」

 折れた剣をとなりにおくと、剣が仄かに輝いた。 その光が刀にうつり消えた。 

 すると刀がリヴァの姿になった。

「うおお!! 入れた!! 入れたでぇ!!!」

「そうか!! よかった!!」

 リヴァとティティとリリオンは手を取り合って喜んでる。
 

「これが俺の剣? ふつうの剣だが」

「魔力をまとって形を思い描いてみろ」

 そういわれてやってみると剣の形がかわる。

「これは、思考で形状を操作できるのか!」

「ああ【思形剣】《ソートブレイド》だ。 思った形に剣の形をかえられる」

「すごいな!」

「ゾームさん、私のこれは!?」

「それはリリオンの【魔拳甲】《オーバーナックル》だ。 魔力をためておける小手だ。 魔力をためたあと解放できる」

「ありがとうございます!!」
  
「で、で、私のは?」

「ティティにはこれだ」

「これってただの短い鉄の棒ですが」

「ふむ、【晶刃】《クリスタルエッジ》だ。 その柄に魔力を注ぐと魔力が結晶のように固まる」

「ほぉ! なるほど確かに出力で魔力が結晶化されますね!」

「ウチは! この刀は!?」

「それはただ魔力と強度をました剣【魔刀】だ」

「ええ!? なんかみんなみたいなギミックは!?」

「正直大きな魔力を保て、硬度を維持するだけで手一杯だった。 もっと魔力を保てる鉱物があればつくれるが、これ以上は今の鉱石じゃ無理だな」

「しゃーないか。 これで人の姿になれるからよしとしよう」

「ああ、あとなにか珍しい鉱石を見つけたらもってきてくれ」

「わかった。 ありがとうゾーム」

 俺たちは断るゾームにお金を無理やり渡してかえる。


「とりあえず、土台はできたが......」

 困惑したように大工のガフレインはいう。 

「ええ、このままを神殿を建設してください。 これは追加の代金です」

 俺たちは報酬をガフレインに渡した。

「こんなに...... わかった。 それより小さくするつもりはないか」

 不安げにガフレインは受け取りながらいった。 

(どうやら資金が足りなくなることを危惧しているな)

「いいえ、このままつくり続けてください!」

 ティティがそういうと、ガフレインはうなづく。

「まあ、あんたたちがそういうなら作るが、金が足りなくて完成しなくてもしかたないぞ」

「大丈夫です! お金なら必ずお支払します」

 ティティは自信満々に答えた。

「わかった。 なら作業を続けるぜ」

 そういって作業に戻っていった。

「やはり金か」

「再び塔にいきましょう! リヴァが戻ったので探索が可能です!」

「あそこはいやや!」

「えええ!?」

 リヴァはくびをふる。

「なんでですか!!」

「もうおれるんはいやや! あそこのモンスターは固すぎる!」

「な、なんてことを! ダンジョンのお宝なくして神殿はたてられませんよ!」

「なんといわれても、ウチはもういやや!!」

 がんとしてリヴァは譲らない。

「......どうしましょう」

 言い争ってるティティとリヴァをみて、リリオンが不安げにいう。

「しかたないな。 またおれるかもしれないし...... 他の方法を探そう」

 冒険者ギルドにむかった。

「ああ、レージさん!」

 ギルドにはいるなり、あわてたように受付嬢が声をかけてきた。

「なにか用?」

「ええ、実はベルアイユ大臣から、皆さんに緊急の呼び出しがありまして......」

「大臣が、わかった、いってみよう」

 俺たちは大臣にあいに城へとむかった。

「おお! レージ! まっておったぞ!」

「大臣、用というのはなんでしょう?」

「実はな。 モンスタースタンピードが起こるという前兆があったのだ」

「モンスタースタンピード?」

「モンスターが大挙として押し寄せる現象です。 かつて魔王が起こしたとされます」

「そうだ。ティティのいうとおり、ここからすぐ近くにモンスターが集結しておる。 無論軍を出したのだが、モンスターが各地で増加しており、すぐにここに兵力を集中しきれない」

「それで俺たちになにを?」

「モンスタースタンピードはリーダーとなるモンスターが組織しておるという。 そのモンスターを倒せば散っていくと文献にある」 

「それは魔王ですか」 

「わからん...... とてつもない数らしく、全容が把握できておらん、 増援がくるまで砦を死守するのが精一杯だろう」

「それをウチらにたおせいうんか?」

「そうだ。 他の冒険者もやとってはいるが、リーダーの討伐を頼んでもほとんどがしり込みしての」

「まあ、仕事ですからね。 そこまでリスクが高いとプロは受けないでしょう」

「そこで、そなたたちにたのみたい。 そなたらはあのリッチすら倒したときいておる。 モンスターは我らが押しとどめるゆえ、統率するモンスターを倒してほしいのだ」

「......しかし」

「報奨は言い値で払おう」

「ならばやりましょう!」

「そやな! あの塔やなかったらウチもやれる!」

「そうですね! このままだと町の人々に被害がでますから!」

 その時、慌てて兵士が部屋にはいってきた。

「大臣! 大変です! 砦にモンスターが迫っています!」

「なんだと!? もうそんなところまで!」

「しかたない...... わかりました! 俺たちは統率しているやつをうちます!」

「ああ! たのむ! 我らも市民を待避させるが、なんとしてもリーダーを倒してくれ!」

 俺たちはスタンピードを止めるため行動を開始した。

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