来る気がなかった俺の異世界冒険記 ~転生させた女神が承認欲求モンスターだった~

曇天

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第五十一話

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「おい、なんやあれ!」

 リヴァがいうと、地面から鎧を来た人骨がはいでてきた。

「なんだこいつら!!」

「スケルトンです。 死者が魔力によってよみがえったアンデッドといわれるモンスター化したものです」

 ティティが冷静にそう説明した。

 俺たちはスケルトンを倒していくが、すぐによみがえってしまう。

「ど、どうしましょう、倒しても甦ってきます...... 」

「臆することなどありません、女神である私がいるのですよ。 スケルトンごときに遅れはとりません」

 うろたえるリリオンにそうティティは余裕で答える。

「リターンアンデッド」

 ティティがそういうと、光りがスケルトンを包み、数体が崩れ去った。

「さあ、倒してください。 復活しないよう私が浄化します」

 ティティにいわれ這い出てくるスケルトンを倒す。 

「こんな奴ら余裕や!」

「復活しないならあまり強くはないです!!」

 リヴァとリリオンは次々とスケルトンを倒して城を進んでいく。

「これなら依頼も容易いか」

「いえ...... 後ろからかなりの魔力がきます」

 城奥につくと、玉座らしきものがある地面から、大剣をもつ頭のない騎士が這い出てきた。

「あれは!?」

「デュラハンです! 首なし騎士、報われぬ魂に魔力があつまりモンスターとなった騎士です。 生前かなりの強さのものしかなれません」

「そんなん! ウチらの敵やない!」

「ええ!!」

 リリオンとリヴァが向かう。

「ぐあっ!」

「きゃああっ!!」

 デュラハンがその大剣を振るうと衝撃波で二人は飛ばされた。

「リヴァ! リリオン!!」

「あのものには一度倒さないとターンアンデッドはききません! レージさん、私たちも!」

「わかった!」

 ティティと俺はデュラハンに剣と魔法で攻撃する。 だかものともせず、デュラハンは衝撃波をくりだしその大剣をふるう。

「くっ! 剣が鎧に阻まれる! 何て固さだ!」

「いえちがいます。 おそらく特殊な魔法のかかった鎧です! 魔力の力を弾いてるのでしょう」

「それで威力が弱いのか、それでどうする?」

「衝撃で肉体そのものに攻撃をくわえます! リリオン!」

「はい!」

 ティティとリリオンは左右に展開し、拳で鎧を攻め立てる。   

「魔練掌《マギカブレイク》!!」

「氷魔拳《アイスフィスト》!!」

 二人の拳がデュラハンにあたる。 その動きがとまる。

「よし! いや......」

 しかし、デュラハンはまた動きだしその大剣をふるった。 衝撃波があたりを吹き飛ばした。

「きゃあああ!!」

「大丈夫かティティ!!」

「なんとか...... ですが、おかしい。 魔法がきかなくとも打撃の衝撃は肉体にダメージを与えている。 中の肉体はそれほどの強度はないはずなのに......」

「ええ、ティティさん、私も攻撃が通った感覚はありました」

「攻撃がきかないのは死体だからか......」

「いえ、死体とはいえスケルトンとはちがい、デュラハンの肉体は有限、ダメージをうければ倒れるはず......」

「せやったら、どないせえっちゅうねん! あかん! スケルトンもどんどんでてきとる! あかん! これはもうあかん!」

(ヴァリアブルでもこの状況は......)

 そのとき囲んでいたスケルトンが吹き飛んだ。

 そこにいたのはギルガだった。

「ちっ、なんで貴様らが」

「おまえこそなんでこんなとこおんねん! わかったお宝目当てやな! いやしいやっちゃ! うおっ! 今はなしとる途中や!」
 
 デュラハンと戦いながらリヴァがいう。

(リヴァ、お前がいうのか)

「お前らと一緒にするな...... それより、そいつといくら戦っても無駄だ」

「しってるのか......」

「そのデュラハンはとてつもない再生力をもつ。 何度肉体にダメージを与えようが復活する」

「そんなことをなぜお前が...... いや、それよりこいつを倒す方法はあるのか」

「......お前ならできるんじゃないか女神......」

 ギルガはそうにらんでティティにいった。

「私が......」

(なんだ? なぜギルガがティティを女神だとしっている。 いや今は......)

「できるのか?」 

「ある魔法なら...... あるいは。 しかしできたとして、魔法を防ぐあの鎧が邪魔です」

「あの魔法の鎧か......」

「はよ! できるなら、はやくなんとかしてくれ! こっちがもたへん!」

 リリオンとリヴァがデュラハンにおされていた。

「【排魔の鎧】《リジェクトメイル》なら、ひとつ手がある」

 ギルガがそういう。

「なぜお前が...... そんなことをいっている場合じゃないな。 どうすればいい」

「あの鎧は外部の魔法を弾くが、中は違う」

「中で魔法を使う! そんなことできるのか!」

「鎧に穴を開ければいい。 お前の剣ならできるはずだ」

(俺の剣...... そうか!)

「だがあの鎧に剣が刺さらない!」

「穴なら俺があける。 そのあとお前たちがやれ」

 そういうと、ギルガの腕が黒い炎のような魔力をまとうと、一瞬でデュラハンに近づく。

「諸刃の剣《ダブルエッジソード》!!!」

 ギルガの腕から黒い閃光が放たれ、デュラハンにあたるが、その凄まじい衝撃でギルガが吹き飛ぶ。   

「い、いまだ! や、やれ!!」

 そう壁に飛ばされたギルガが頭から大量の血を流してさけぶ。

 みるとデュラハンの鎧に穴が空いていた。

「ヴァリアブル【魔力を収束、投げる】!!」

 俺は魔鏡剣《ミラーブレイド》をなげた。

 正確に穴を貫いたミラーブレイドはデュラハンに刺さる。

「ティティ魔法だ!!」    

「はい!! 『調和の律よりはずれし魂よ。 その歪みをただし、輪廻へと戻れ』【円環への回帰】《リーズンオーダー》」

 ティティがそう唱えると、まばゆい光りの帯が俺のミラーブレイドに当たった。

「解放!!」

 剣の力を解放するとデュラハンがまばゆい光りに包まれる。 目を開けるとそこには鎧が転がっていた。

「やったのか」

「ええ、あの円環への回帰《リーズンオーダー》は付与された力を喪失させる魔法。 なんとかいまの私でもギリギリつかえましたね」

 そうつかれたようにティティは微笑んだ。

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