やり直しの大魔王の弟子

曇天

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第二十六話 工房への潜入

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 オレたちはワーカードさんとわかれアレグリアの中でも工房の多いディグルの町に着いた。
 町中に金属をたたく音が響き、煙突から黒い煙がもくもくとあがっている。
 
「ここか、工房の町って」

「はい、ここがボクたち職人の夢の町ディグルです!」

 テンション高めで跳び跳ねてリーゼルが言った。

「確かに夢の町だな」

 目の前で跳ねる魅惑の球体をみてオレは言った。

「なにみてんのよー!!」

「ぐはっー!!」

 メルアに殴られた。

「それでどうやって探る」

「やはり、メルアとリーゼルの魔法で姿を消して運ばれるのを待つしかないだろ」

「でもこれだけの工房。
 どれかにしぼんないとわかんないわよ」

「リーゼルお主からみてどこの工房かわからぬか」

「そうですね。
 モノからみてかなりの腕をもっていることと、あと大量に出回ってることから小さな工房ではないと思います。
 ......となると二大工房、ハルン工房か、マイラー工房のどちらかかと」

「では、二手にわかれるか。
 オレとベル、メルアとリーゼルだな」

「見つけたらどうすんの?」

「危ないからいったん帰って合流してから行動だな」

「うむ、それがよかろう」

 メルアたちと別れオレたちはマイラー工房に潜入した。
 工房は暑い中、職人たちが金槌をふるい金属を加工している。

「別段変なとこは見つけられないな」

「うむ、普通の人びとだな」

 オレたちはくまなく探してまわったがこの工房で、おかしなものや場所は見つけられなかった。

「仕方ない帰るか」

「そうだな。
 向こうの方だったのかもしれん」

 オレたちは待ち合わせの宿で待ったが、夜になってもメルアとリーゼルは帰ってこない。

「......遅くないか?」 

「うむ、我らの方にないということは......」

「行くしかないな......」

「しばし待て...... 話がある」

 その後オレたちはハルン工房の方に向かった。
 工房は暗く閉じられていた。

 オレたちは中に入り奥の部屋まで行くと、聞き覚えのある騒がしい声がする。
 ゆっくりと部屋を覗く。
 
「あんた! 私たちをどうするつもりよ!」

(ああ、あのうるささはやっぱあいつか......)

 紐で吊るされたメルアが騒いでいた。
 そばには縛られたリーゼルもいる。

「ハルンさん! 
 あなたほどの職人がどうしてこんなことをするんですか!?」

 リーゼルがきいてているのは中年の趣味の悪い派手な服を着た男だった。

「誰かに頼まれてきたのでしょう。
 それが誰か言わないからです」

「そうではなくて、盗賊なんかにあんなものを与えるなんて!」
 
「ああ、魔力を感知させないハイドマントのことですか......
 実際に使った効果をみるためですよ。
 効果がないなら売れないでしょう。
 あいつらなら捕まっても構わないし、成果もわかる」

「怪我人だって出てるんですよ!」

「当然です。
 元々国に売り付けるために開発したものですから、戦闘に使えなければ意味がない」

「そんなことのために......」

「君も鍛冶屋なのでしょう。
 人を殺す武具を作り売っている。
 私とどこがちがうんですか」

「ちがいます! ボクはただ純粋にすごいものを作りたいんです!」

(よしいいぞリーゼル! 言い返せ!)

「ふん、ならばすごいものが作れれば善だとでも言うのですか」

(よし!言ってやれリーゼル!」

「ボクは、ボクは......
 善悪なんてどうでもいいんです!」

(ん?)

「とにかくすごいものが作りたいんです! 
 そのすごいものが世界を滅ぼしてもいい!
 そういい、すごくいい、えへ、えへへ」

 そういってリーゼル恍惚の表情を見せる。

(あかん! この子もあかん子や!!)

「な、なぜ私が攻められてたのかわかりませんが、まあいい」

 ハルンは困惑している。

(まあ、確かにそうだな)

「サイテーね」
 
 メルアは吐き捨てるようにいう。

「リーゼルは少なくとも、ものづくりへのプライドと情熱があるわ!
 あんたとはちがう!」

(おっ! よく言ったメルア)
 
「情熱などなくて構わないし、そんな薄っぺらいプライドなど一文にもなりません」

「か、完璧に論破されたわ......」

(論破されんな!
 ......まあわかるけども)

「何せ国に武具を売るだけで巨万の富をえられるのですからね」

「えっ? ほんと」

「ええ、どこの国も強い武具なら買ってくれるんです。
 君も一枚噛んでみませんか」

「ふざけないで!
 ......ただ取りあえず取り分だけ聞いておこうかしらね」

(おい!)

「噛みたいなら誰に頼まれたか言ってくたさい。
 1000万でどうですか」

「んー......
 でも額がねー」

「仕方ない......
 言わないならその羽を切って......」

「はい! レスパー商会とワーカード商会です!」

(あいつ秒で言いやがった!)

「なるほど......
 ワーカードが探っていたのは薄々知っていたが、レスパーもですか......」

「はい言ったから放して、そしてお金ちょーだい」

 ふっふっふっとハルンは笑う。

「残念ですが知られたからには逃がすわけないでしょう」

「だ、騙したのね!
 許せないあんたなんか、私の下僕が来てコテンパンなんだからね!」

(誰が下僕だ! もうこの二人おいて帰りたいな)

「それは二人のお連れさんですかね。
 確か幼い子供とアホずらの少年」

「な、なんでそれを!?」

(なんでそれをじゃねえよ!
 アホずらは否定しろメルア!
 いや、なんでそれを!?)

「この町に入った者はすぐ把握できますからね。
 そうでしょう!
 お二人さん!」

 突然振り向くと、剣を取り出しオレの前に突きつけた。

「動くな!
 この前にいるローブの子供の首が飛びますよ。
 この剣は魔法剣でゴーレムすら切り裂けますからね」

「どうしてオレがいるとわかった」

「ふっふっふっ、これ私が作った魔力のないものをみる眼鏡なんですよ」

 そういってかけている眼鏡を指で押した。

「なるほどな。
 魔力を消すマントを売ったあと、その眼鏡を売ればさらにもうけられるって寸法か」

「ご明察」

 工房に隠れていたものたちが回りを囲む。

「もう、えさの女性陣も必要ありませんしね。
 おとなしく死んでください」 
 
 
 そういってハルンは嫌な笑みを浮かべてオレをみた。
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