宝石箱

愛梨

文字の大きさ
上 下
1 / 1

宝石箱

しおりを挟む
キラキラと輝いている宝石
だけどどれも偽物
本物の宝石なんてない
いつも貰うのは偽りの愛の言葉
それでもほんの少しだけ
私の心を明るく光らせてくれる
真実を求める事なんて無かった
私が手に出来るのは偽物だけ
本物は決して手に入らない

宝石箱
中に入っていた偽物の宝石
そんな物を宝石箱に入れて
心にある闇を消してきた
だけどもう必要ない
全て捨てて
やっと見つけた
大切な大切な愛の欠片
欠片でもいい
あの人を愛した私の
初めて心から愛した人のほんの少しの輝き
それだけを宝石箱にしまって
この胸の中に抱き続ける

私の傍にあの人は居ない
どんなに愛しても
あの人の輝きは私には眩しすぎる
だから…
だから最初にあの人がくれた
この欠片で充分
それだけでも私の心にはずっと光が存在する
決して消えない
やっと見つけた
本物の宝石
偽物なんてこの宝石箱には
二度と入れない
入れてしまったら
小さな欠片は偽物に埋もれてしまう
あの人の輝きが消えてしまう
だからこの宝石箱に私は鍵をかけた
もう偽物に騙されないように
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...