ブラックボックス 〜禁じられし暗黒の一角〜

第1章 相棒と別れと

僕と、黒い箱

　セントディア教国につく。位が高い人は馬車で、登場する。馬も煌びやかだ。馬車はシックなものから彫り物がされているものもある。馬車から出てくる姿も煌びやかだ。平民は馬だ。着ている物は機能性重視、動きやすいものを着ている。ネルシャツ、中にTシャツスカーフを巻いている、ものもいる。黒めのジーンズで決めている。
　僕は、ジャケット、無地のＹシャツ、スウェットぽい感じでベルトが通せるようになっている。もちろん、ベルトもしてる。
　次々と、門をくぐり人々が入って行く。アーウェンも、門に向かうが、肩を押される。
　「お前みたいなやつは、一番最後だ。馬も持っていない平民がでしゃばって来るな」
　美形なのに勿体無い、自分を誇る事は大切だが横暴までいってはいけない。
　気を取り戻して、最後尾につき、門をくぐることにした。
　門をくぐると、紙吹雪は舞、人は踊り、出店は声を張る。お祭り騒ぎだ。道を通るたび、甘い香水の匂い、スパイシーな独特な匂い、聖ニシド大聖堂に向かう人の匂いが混ざり、酔う人もいるだろう。
　僕が大聖堂に入れたのは門を抜け2時間後だった。そこには、今まさに写身の儀が行われている。
　写身の儀とは対象ここでは人の望む物を反映して、具現化する。トカゲなどこの世にいる物でも、具現化したモノとは違い、魔力を持っていたり力が強い等特殊な物。
　大聖堂に入ってから女の子の声で何か耳元でつぶやく声が聞こえるが、言葉になっていない。順番が近づくつれ、女の子の声がはっきり聞こえ出す。
　右耳の方に振り返る。うっすら人の形をした何かが見えるが何かおかしい。
　（やっと気づいてくれたんだね、はぁ～あ疲れちゃった。もう諦めようとしてたとこだよ）
　女の子は右から左に浮遊して着地する。
　（おお、ちゃんと見えてるね。よかった…またあとでね）
　女の子は安堵して消えてしまった。僕の番は目の前だ。
　「アーウェン・スミス…」
　名前を呼ばれた。その後に土地、位、親の職業を言われる。
　「それではアーウェン・スミス、目をつむり、自分と向き合いなにを望むのかよく考えよ」
　アーウェンは従い、目を瞑る。
　（神様は、黒い箱と言っていたな）
　アーウェンは黒い箱、想像した。黒い箱は小さく現実味がなく想像が難しい。そこに獣の耳をつけた女の子が現れる。
　『先ほどぶり』
　アーウェンは尻餅つくほど驚いた、顔前からいきなり現れたのだから。
　『うんうん、はっきり見えてるみたいだね。ミストとでも言っておこうか。きみはなにを望む』
　急に問われた。今の自分を出せば良いか。
　（別に…平穏で幸せでちょっと、騒がしかったりしたら良いかなって）
　アーウェンは応えたが、黒い箱のことで頭がいっぱいだった。女の子は笑い出す。
　『ひひひひ、きみは面白い、答えは曖昧だけどこの世界から一番遠いかな、でもそれを望むなら私たちが叶えるよ』
　彼女以外に影のようなものが見えた。
　「アー…アーウ…ウェン…アー…スミス…アーウェン…」
　「はい」
　司祭に長い間呼ばれていたようだ。
　「アーウェン・スミス……大丈夫か、返事がなかったから心配したぞ」
　心配そうにこちらを見ている。
　「え、あ、はい、パートナーと会話が長かったかなと」
　アーウェンは笑いながらとぼけてみる。司祭はいぶしげな顔をしている。
　「パートナーとか…うむ、それでは、望むモノ今から現れる」
　司祭は召喚のため詠唱を始める。徐々に出てくる物は、生き物では無く物体だ。黒い箱が出て来た。