ブラックボックス 〜禁じられし暗黒の一角〜

第二章 冒険の始まり

一難去ってまた一難-2-

　アーウェンは、アーリーを人形みたいに腕の中に収め、アーリーはアーウェンの首に手を回してもらう。
　アーウェン立ち上がり、「木にテントかけよう」と言う。ノリに任せて言って、ついて来てくれないなら、それまでだ。
　「私は木に登って、テントをかけるね」
　パドーが言う。パドーが抜けた隙間からアーウェンは通る。皆の音が聞こえない。最後になるのはこの言葉を言ってからかな…。
　「何してんの行くよ」
　アーウェンが言うと、皆に静々と歩き出す。
　木の枝を切り落とし、テントの真ん中に、立て、はじにちょっと穴開けて、棒を刺す。床には余った生地を広げる。
　「はあ～、出来た」
　アーウェンは疲れながらも作り上げた。
　パドーとアーリーが手伝い、その後から、フーとルーが生地を引く。その後から、バニラ、クロム、アメリアが来る。
　「俺は休んでいたから、このまま見張りをする。皆はテントで休んで…でも、寂しいから話し相手は欲しいかな」
　そう言い残して、テントから出る。テントの中は騒がしい。パドーが口パクで（ひ、と、り、じ、め）とか挑発的な態度取ったからじゃない。それで、主人に謝らせて、パドーが一番抜けるなんて卑怯よ。主となんで話せばいいかわからない。
　今わかったことは俺が全ての原因じゃないらしい。
　…でもちょっとあの嬉しそうな顔はどうかと思うよ。まぁー。
　そうか、表情にも気をつけないとか。
　えっ、話すのは簡単だよー。それじゃあ私が最初の話し相手だね。
　大きな声でパドーの声が聞こえる。
　（パドーが来るのか）
　パドーを気持ちよく送り出すものはいなく非難が飛ぶ。
　それじゃあどうするの、バニラ行く、クロム、それともアメリア。
　テントの中に沈黙が流れる。
　話し相手がいないと、シュー君寂しくなちゃうよ。といい、テントを開け、パドーが出てくる。
　「さっきは、ごめんね、皆をからかっていたら、こんなことになちゃって」
　パドーが喋り出すと、テントから気配を越えて視線を感じる。
　「いや、皆、納得してくれているならいいや。また仲良くできるなら…」
　アーウェンが言うとパドーは黙って聞いている。
　「これも多分僕が皆とお話しや、ちゃんと接して入ればこんなことにはならなかったと思うんだよね。だからパドー———」
　そう言い、アーウェンはパドーの手を握る。
　「パドー…ぎゅってしていい」
　パドーが握り返してくる。その手を少し浮かせ、引き寄せる。パドーをアーウェンの前に座らせ、後ろから抱きしめる。パドーはイタズラや反応が見たいから自分からすることはあっても、人からされたことがないから、固まってしまう。