ブラックボックス 〜禁じられし暗黒の一角〜

第二章 冒険の始まり

心のざわめき-3-

　「本当ですか、どこで見たんですか」
　受付嬢嬢は身を乗り出して、息良いよく言う。
　「村の洞窟。わかりづらい所にあってさ、たまたま、散歩してたらあって、そこでなんか掘ってた。いや～関わっちゃいけない系かなって」
　パドーが話終わると受付嬢は無言で、早歩きでその場を離れる。
　「パドー本当か今の」
　アーウェンは小声で喋る。
　「甲冑の廃人は見たし、みんな洞窟に得体の知れないのが居るって言ってたじゃない。パーティの戦士かはわからないけど、いたことは事実出し、もし、それが違う人でも、こう言えば多少は動いてくれるんじゃないの」
　パドーがニヤリと笑みを浮かべながら言う。
　しばらくすると、受付嬢が帰ってきた。
　村のことを兵士に伝えると、村の管轄も王国にあると言う。その村に、兵士は調査に行くみたいだ。
　これ以上話しても僕たちは情報を持っていない。不完全な情報を行って追い詰められた挙句、後手に回ることになりかねない。ここは速やかに退散しよう。
　「それでは僕たち疲れているのでこの辺でかえらせていただきまふ」
　アーウェンは自然とあくびが出てしまう。それを見た受付嬢は慌てて言う。
　「ああ、大変だったでしょう早めに宿でお休みになってください」
　アーウェンは頭を下げ、ギルドをあとにする。
　ギルドを出ると、いい匂いが広がっている。出店のスパイシーな香りが漂ってくる。
　「お腹空いたね…出店のものを買ってどこか人気がないとこに行こう。そこだったらみんなも呼べるし」
　皆は頷き、歩いて目ぼしいものを買い、そのまま道を進み人気がない空き地にいく。
　「皆、出てきて大丈夫だよ」
　アーウェンは周囲を確認して、ブラックボックスの皆に声をかける。外で買い物をしていた皆も集まる。
　各々買ってきた物を見せ合い、今回の村のことを聞くことにする。
　「ここのサンドイッチ、肉多めなのがいいんだって」
　「これ、すっごく美味しい水。飲んでみて、生き返るよ」
　「私たちは、適当に買って来たー」
　「ねー」
　「ねー」
　パドーはサンドイッチ、アーリーは水、フー、ルーは適当にと言っていたがかなり的確な物を買って来ていた。ミネストローネやフルーツ最高だ。
　「俺はパンを買ってきた」
　バゲットを使ったサンドイッチなので被ってしまったが菓子パンや惣菜パンも買ってきた。
　「人が多いい場所なので聞き耳を立てていたのでしょう。おかげで、兵士の動向もわかりましたし」
　バニラが言った後にアーウェンはそうそうと相槌を打つ。バニラに乗っかったみたいでちょっと癪だがしょうがない。バニラなりのホローだろう。