ブラックボックス 〜禁じられし暗黒の一角〜

parip Nocturne

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第3章 守るべきか、攻めるべきか

いい出会いに乾杯-12-

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 「わぁ、すごいですね。ぎゅうぎゅうに入ってる」
 ゴブリンの耳が圧縮され、ゴロゴロと何個か塊で出て来る。ほぐれたのか、一塊で出せた。ゴブリンとはいえ、耳だ、耳の塊だ。単品の時は何も思わなかった。半ば作業の用に取っていたからだ。耳の集合体はそれだけで気持ち悪くなる。
 受付嬢は慣れた手つきで、水をかけ、耳を解していく。魔法で綺麗に並べる。並び終え、次の袋に手をかけ、洗浄からのなかみ見る。ボロボロの布と赤い帽子が出て来る。
 「シャーマンゴブリンとレッドキャップゴブリンですね。提出件数は少ないですが、こんなにあるなんてビックリです。……すみません、あまりのことにはしゃいじゃいましたが相当大変でしたよね…」
 受付嬢は喜んだり、反省したりする。
 「相手が本気を出す前にサクッと倒してくれたから、そうでも中たんですよ…」
 アーウェンは言う。受付嬢は呆然とした後、笑い出す。アーウェンも笑う。
 「———あっそれでは最後にこちらですね」
 受付嬢は気を取り戻して、最後の袋を洗浄して中身を見る。
 「はっはっは…これはゴブリンキングの耳ですね」
 魔法の使いすぎだろう。かなり辛そうだが、受付嬢は仕事を全うする。
 「そう。本拠地となっていた洞窟の近くにはゴブリンはいなかった…」
 アーウェンが言い終わると、受付嬢は足を八の字して太ももを、合わせて力み、なんとか立っている。
 『魔力ぎれになりかかっている。クロム、バニラ彼女を支えてあげて』
 アーウェンは駆け出しながら言う。大きさの違いから横からクロムとバニラに追い越される。
 先に着いた、クロムとバニラは受付嬢の脇に手を入れて、担ぎ上げる。
 (何か想像と違う。なんか、こう女の園みたいな。人魚みたいに座るお姉様二人座って受付嬢を介護するみたいなのだと思っていたのに…これじゃまるでどこかに攫われる人みたいだ)
 アーウェンは急いで、受付嬢の元に行く。そこに着くまで数十秒受付嬢が浮かせれていた。良く見ると、マグロやカジキにも見える。
 「はい…おろして。魔力入れるから」
 アーウェンは呆れ気味に言う。バニラとクロムはそこそこ勢いで下ろす。受付嬢さんは足に傷をつくり、四つん這いになりへたり込む。前に立っていたアーウェンは巻き込まれる様に、押しつぶされる。力が抜けていて、思ってる以上に重い。
 体を翻し、受付嬢のお腹の上に座る形になる。
 魔力が効率よく供給できるのが、心臓部あるいは丹田になる男が女性に対して触っていいところではない。"命の危機だ"とか嘯いてやることもできるが、受付嬢は見るからに、息もあり、苦しそうであるがそこまで瀕していない。なのでおへその下あたりに魔力を込める。
 
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